表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
からくりすごろく-将軍の覚醒-  作者: 水前寺鯉太郎
バトルシティ編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

26/43

第26話「黒龍の咆哮」

第26話「黒龍の咆哮」


 路地裏に立ち込める、不吉なマブイの霧。

 レアハンターの三つのレンズが、赤く明滅した。

 「……気づいているぞ、片倉克也。その重機の外装ガワの、真実を」

 《サイレント・リーパー》が鎌のような多脚をアスファルトに突き立てる。

 「その重装甲は、ただの『封印』だ。かつてエジプト卿が、氏胤の《皇龍》の原型として開発しながら、あまりの狂暴性に廃棄を命じた欠陥機——《黒龍》。マブイを喰らい、破壊を撒き散らす、黒き呪いの機体だ。貴様はキングダムの余波でそれを呼び醒ました」

 片倉の背中に、嫌な汗が流れた。

 《アイアン・ベア》の装甲の奥底で、何かが——ドクン、と脈打った気がした。

 「……何のことだ。こいつと一緒に泥を啜って生きてきたんだよ。龍だの何だの、お呼びじゃねえ」

 「ならば、力ずくで引きずり出すまでだ」

 レアハンターがダイスを振る。「一」「一」「一」——驚異の制御能力で同じ出目を出し続け、片倉を移動不能の盤面に閉じ込める。一歩動けば地雷、止まれば狙撃。どこにも逃げ場がない詰みの盤面。

 「ガハッ……!?」

 《アイアン・ベア》の腕が、不可視の狙撃によって吹き飛んだ。モニターに警告が点滅する。

 「終わりだ、凡骨。その封印ごといただく」

 薄れゆく意識の中、片倉は装甲の奥に感じる「脈動」を見つめた。

 これを解放すれば、助かるかもしれない。だが、水前寺の爺さんが言っていた。この機体を初めて見た時に、一度だけ。「これは、まだお前の手に負えるもんじゃない」と。

 (……ハルト。お前は、将軍の力を自分の意志でねじ伏せたよな)

 ハルトが「一」を積み上げるなら、俺は——「一」さえも捨ててやる。

 「……おい、バケモノ。俺の体ごと使え。……美咲の空を汚す奴らを、一匹残らず食い殺せッ!!」

 バキィィィィィンッ!!

 《アイアン・ベア》の重厚な装甲が、内側から引き裂かれた。封印が解けていく。剥落する鉄の外装の向こうから、深淵のような黒を纏い、漆黒の稲妻を全身から放つ、痩せ細った龍の機体が現れた。

 《黒龍》。

 その瞳が赤く輝いた瞬間、詰みの盤面を構成していたレアハンターの「一」が、物理的な咆哮によって粉砕された。

 「な、なんだ……マブイ値が計測不能!? そんな——!」

 レアハンターの悲鳴を、黒い牙が飲み込んでいく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ