表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
からくりすごろく-将軍の覚醒-  作者: 水前寺鯉太郎
からくりキングダム

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/43

第21話「拒絶の一音」

第21話「拒絶の一音」


 エジプトは倒れた氏胤を一瞥もしなかった。ハルトへと視線を向ける。

 「水前寺くん」

 その呼びかけは、祖父への言葉だった。エジプトが虚ろな目の巌を一度だけ見て、それからハルトへと笑いかける。「君の孫は、実に素晴らしい器だ。……さあ、ハルトくん。そのボロボロのガラクタを捨てて、この黄金の機体を受け取るといい。私の隣で、世界を統べる王になるんだ」

 背後の空間が歪み、神々しい黄金の機体が姿を現した。

 「そうすれば、君のお祖父様のマブイを、今すぐこの場で返してあげよう。……どうだい? 君の望みは、たったそれだけで叶うんだよ」

 ハルトの足が、一瞬だけ止まった。

 すぐそばに、虚ろな目の祖父がいる。

 懐のメダルが、激しい拒絶の振動を始めた。

 『——小僧。その椅子に座るな』

 将軍の声だった。命令ではない。

 『王の座は、孤独だ。……我という存在が、それを証明している。その男の差し出す偽りの王座に、貴様の魂を売るな』

 将軍が、初めて「自分の孤独」を語った。その言葉の重みが、ハルトの止まった足を、動かした。

 「……エジプト。あんたの提案は魅力的だよ」

 ハルトは顔を上げ、エジプトを真っ直ぐに見据えた。

 「でも、じいちゃんが教えてくれたのは、黄金の椅子への座り方じゃない。……このガラクタと一緒に、泥を跳ね飛ばして走る方法なんだッ!!」

 ハルトはヴィンテージ機の歯車を鳴らした。

 玉座の間の隅、城に先回りして影に紛れていたセナが、その光景を見て微かに口角を上げた。

 「……やっと、始まりの一音を鳴らしたか」

 エジプトの笑みは変わらなかった。ただ、胸元のペンダントが——怪しく、静かに——輝き始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ