非日常の始まり
大学4年生になり、材料系の研究室に配属され、調査と実験に明け暮れる毎日。院への内部推薦も決まり、代わり映えのない日々、こんな平穏が続くはずだった――あの日までは。
いつも通り、自転車で最寄り駅に行き、電車に乗り、到着まで目を閉じようとした時、ふとある違和感を全身に覚えた。
速い。いつもよりレールのつなぎ目から受ける車体の振動間隔が速いのだ。高校の時から利用している路線であったため、不安に感じた瞬間、スピーカーからノイズ混じりのアナウンスが流れた。
『―――ご乗車頂き、ありがとうございます。この電車は急行、終点行です。途中電車は他の駅には止ません。約50分後に終点駅に到着いたします。到着の際は大きな衝撃と爆発にご注意ください』
「え.......?」
心臓がドクッと呻くのを感じた。冗談かあるいは聞き間違いか。思考が真っ白になる中、無機質な音声が再び流れ始める。
『繰り返し、ご案内いたします。本電車は約45分後に終点駅に衝突。全車両に設置している爆弾が起動し、皆様もろとも車体が爆破します。皆様が安全に下車していただくには、後方車両から二両目にあります、「問題」の回答をお願いいたします』
これが本当なのかイベントなのかを考えようとした時、体を振るわす音と振動が私を襲った。
後方車両だ。私がいるのは後方車両から3両目、この電車は八両編成であるため、少しためらいながらも急いで確認しに後方車両へと移動した。
七両目に入ったところ、学生服を着た少年とスーツ姿の男性が八両目に続く車両の扉付近に倒れこんでいた。
「ひどい........」
迷っている暇はない。扉付近の損傷に戦慄しながら、私は叫びながら近づいた。
「どうしたんですかっ!大丈夫ですかっ!」
少年と男性にの方に駆け寄り肩をたたきながら、双方意識があるか確認した。
「っ........いっ痛てぇー、クソッ」
弱弱しくスーツを着た男性が答えた。男性は意識があり、体を起こしその場に座り込んだ。少年は近づいてわかったが、頭を打ったらしく額から出血しており、意識は確認できなかった。ただ、呼吸は安定している。回復体位を取らせ、あまり体をゆらさず、車両の揺れの影響を受けさせないように軽く体を抑えつけた。
スーツを着た男性が落ち着いたのを見計らって、私は尋ねた。
「すみません、何があったんですか?」
スーツについた埃を落としながら男性は言った。
「後ろの車両が急に爆発したんだよ.............。そんとき、連結側の窓が吹き飛んでガラスが散らばって、揺れの衝撃で座席から床に倒れこんじまったんだよ」
「そうだったんですか.......。あとアナウンスは聞かれましたか?」
「あの衝突だの爆破だの言っていたおかしな放送のことか?。信じられるかよあんなの」
「.................自分でも言っていてもばかばかしいのですが。私たちは命がけの脱出ゲームに放り込まれたのだと思います。」
―――――車両の電光掲示板には「残り40分」と示されていた。
前から物語を書いてみることに憧れがあり、はじめて物語を書かせて頂きました。どんな些細なことでもいいので感想を書いていただけると嬉しいです。




