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5話 カードショップ

 入学式が終わり、Eクラスでの顔合わせが終わった後、俺は新たに出来た友人たちとある場所へ向かっていた。


「しかし驚きました! まさかカード1枚しか持ってない状態で学園に入学する人がいるなんて」

「しかもその1枚がとんでもなく高レアリティって、どういう冗談かと思ったよ」

「流石の俺でも、最低限5枚は持ってるってのに……」


 新たに知り合った同級生は二人。

 一人目は海のような髪色を持つ少年ナクル。知的なタイプのようで、研究目的で入学したとのこと。

 二人目は新緑の髪色を持つ少女オルフェリア。見た目に違わず風魔法が得意らしい。

 それに加えてクオーレと俺の4人で、学園都市内にあるというカードショップに向かっていた。

 

 カードショップ自体は学園の建物内にも一応あるにはあるが、割高な上、新たな友人と交流する上で定番スポットとなっていることから今日は特に混雑しているため、敢えて街に繰り出したというわけだ。

 というのも、知り合って早々どのようなカードを好んで使っているかという話題になり、俺は手持ちのカードがその場で創り上げた1枚しかなかったことから、カードは買った方がいいと言われみんなで買いに行くという流れになってしまったのだ。

 ちなみにクオリティを下げれば10枚でも20枚でも即座に創ることが出来るが、あれ以下のカードはプライド的な問題で創りたくない。

 どうせ低品質のカードを使わなければいけないのなら、そんな間に合わせのカードよりも今の時代のやり方に合わせて買いに行く方がまだマシだ。


 ……ってあれ、俺って今金持ってたっけか?

 ないならないで適当に宝石でも錬成して売り払えばいいが、今人間たちがどういったものに価値を見出しているかの情報が足りない以上、手間がかかる。

 いっそ通貨そのものを複製してもいいが、子供たちの手前、流石にそれは見栄えが悪いのであまり気が乗らない。

 確か母さんが持たせてくれた財布に――ああ、あるな。お札が何枚か入っている。だが、これがどれほどの価値を持つのかは分からん。

 この体の記憶を辿っても、田舎では呪文(スペル)カードに触れる機会がほぼ皆無な上、そもそも子供が金を使う機会が少ないので欲しい情報は手に入りそうにない。

 自分で調べてもいいが、せっかく生の情報源が目の前にいるのだから聞く方が手っ取り早いか。


「なあ、この金でどれくらいカード買えるかな?」

「え? あー、ちょっと失礼……全部で5万レグルありますね。これならだいたいC級カード5枚くらいは買えるんじゃないでしょうか」

「ふむ、ちなみに他のランクのカードってどれくらいの値段で買えるんだ?」

「そうですね……僕の知る限りではD級は数百から数千レグル、B級だと最低でも10万レグル、A級となると100万を超えるものも少なくありません。それ以上となると……個人ではなかなか手に入らないと思います。そもそも数が少ないですからね」

「なるほどな。ありがとうナクル」

「いえいえ、このくらいならいつでも」


 案の定、千年前の人間界の通貨事情とはだいぶ変わっているようだ。

 まあ、ここまでで耳に入れたランクごとのカードの価値情報と合わせると、一般学生なら奮発してB級カードを手に入れられればいい方ってとこか。

 そうなるとC級カードを複数枚、貯めれば後々B級1枚くらいは買えるくらいの金を持たせてくれたことは、ありがたいと思うべきだろう。

 まあ、もし俺が目覚めるのが遅れていたらこいつはほぼ0からカードを用意しなきゃいけなかった訳だから、これくらいは当然の出費なのかもしれないが、俺のために無理をしてくれたのは何となく分かるからな。いつか礼はせねばなるまい。


「絵っとおそらくここを曲がった先に……ありました!」

「へぇ、ここがそうなのか」

「早く入ろうぜ! 都会のカードショップに来るのは初めてだからちょっとワクワクする!」

「あっ、行っちゃった……もう、一応アルメスくん用のカードをみんなで見るって目的があったのに……」

「はは、大丈夫だよ。自分で使うカードくらい自分で選べないとだしね。さ、とりあえず入ろう」 


 学園都市に複数ある小規模なカードショップの一つに到着するや否や、クオーレが勢いよく入店し、それにオルフェリアが若干あきれている様子だった。

 さて、あまり期待はできないが、果たしてまともなカードはあるのだろうか。なかったらD級の適当なカード何枚かとC級1枚だけ買って少しだけ改造しよう。

 呪文(スペル)カードをカスタムしてはならないという決まりはないらしいからな。

 敢えてこの学園のルールに従って生活していくなら、ルールの中で出来る限りのこと尽くすべきだ。

 呪文(スペル)カードなど完全に無視して子供たちを一方的に叩き潰すのはナンセンス。そんな下らん遊び方をしていたら半年も保たんだろう。

 飽きるまでは現代式の魔法でせいぜい楽しませてもらうとするよ。


「あっ!」

「ん? たしかキミは……」

「アルメス! まさかこんなところで再会するなんて!」

「やあ、今朝ぶりだね。ミストリア」


 扉を開け、適当に店内を物色しようと思ったら、そこには見知った少女がいた。

 近いうちに探して会いに行こうと思っていたからこれは好都合だ。

 

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