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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。

AS MARINE

作者: 春鳥
掲載日:2026/02/22

なぜだろう。

私、(あずま) (りん)は今、知らない街中にいる。


果物屋らしき露店では、見たことがないような青色の果実が売られ、

私の横では、大きなトカゲのような生き物が馬車をひいている。


この現象は、いわゆる()()だろう。

そう──


「異世界転移してしまった、、、」







とりあえず状況を整理しよう。

私は数分前まで、いつも通り友達と教室で話していたはずだ。

帰宅部なので放課後は暇なのだ。

そして急に視界が真っ白になって、気付けば異世界。

ふざけんじゃねぇぞ。

まぁ起こったことはしょうがない。

キレればストレスが溜まるだけだ。


まわりの露店からは「買ってけ!買ってけ!」などの声が聞こえてくる。

幸い、ちゃんと言葉は通じそうだ。

知らない言語だったら多分詰んでいただろう。

英語でさえ厳しいのに他の言語も覚えられるはずがない。





──「こんにちは。」


声をかけられ振り返ると、

そこには私と同い年ぐらいの茶髪の女の子が立っていた。

とりあえず挨拶を返そう。


「ど、ども。」


「他の国から来られた方ですか?珍しい格好をなされていますけれど。」


確かに今は制服だった。

まぁ見知らぬ人に「異世界から転移してきたんです」なんて言えるわけがなく、


「ま、まぁそんなとこです。」


「あぁ、自己紹介がまだでしたね!私はメアリーと申します!

 よければお名前をお伺いしても?」


「え、あ、ぁず () ()()です。」


やばい。一気に距離を詰められてビビってしまった。


()()()さんですね!マリンさんはどちらから来られたんですか?」


名前も禄に伝えられなかった。

まぁ名前は間違えられたままでいいだろう。今だけの付き合いになるだろうし。


「黄金の国ジパングから」


「へぇ!初めて聞く国です!だいぶ遠い国なんでしょうか?」


「ま、まぁ」


間違ってはないだろう。うん。


「あ、もしよかったら、私がこの街をご案内しましょうか?」


これから生きていくなら、

まずはこの世界を知る必要があるだろう。

現地のガイドがついてくれるのはありがたい。


「じゃあ、お願いします。」





二時間ほどメアリーのガイドをうけながら歩いてみた感じ、

この異世界は案外、普通の世界である。

気候や動植物の生態が違うだけで、

特に魔法のようなものはない。

この時点で異世界転移無双はないわけだ。

いやうん、別にいいけどさ。


ガイドが終わる頃には、辺りは少し暗くなってきていた。


「どうでしたか?この街は。」


「綺麗な街ですね。住んでいる人達もみんな優しそうです。」


「良かったです!ところで、今日はこの街に泊まるんですか?」


「あ、、、」


今急に重大な問題を思い出した。

そう、私はお金を持っていない。

前の世界のお金でさえ教室のバックの中にある。

どうしたものか。


「あ、遠い国から来たなら、この国のお金を持ってないかもですよね」


そうなんです!


「は、はい、今気付きました、、、」


メアリーはしばらく考えてこう言った。


「よかったら、うちに住みます?」


「え?」





結局メアリーの家に住まわせてもらうことになった。

本当にありがたい。


「親御さんは大丈夫そう?」


「あ、私一人暮らしなんです。17歳はもう成人ですので。」


「同い年ですね。」


「そうなんですか?ますますこれからが楽しみです!」


「お世話になります。」


「はい!あ、着きましたよ。ここです。」


メアリーが指した先には、二階建ての一軒家があった。

温かい黄色の壁と三角の屋根が特徴だ。




それから一緒に食事をとってお風呂に入った。

お風呂の文化があるのは嬉しい。

というか、

本当にここまでよくしてもらって何も返さないのはまずい。


「メアリーさん、なにかお礼をしたいのですが、してほしい事とかありますか?

 ここでの仕事が見つかるまでは、お金を払えませんし。」


「じゃあ体で払いますか?」


「え!?」


え!!??


「冗談ですよ。家事を手伝うぐらいで大丈夫です。そこまで求めません。」


びっくりした。めちゃびっくりした。


「は、はい。じゃあ私は床で寝ますので。」


「え?一緒に寝ましょうよ。」


「え、えぇ?ま、まぁメアリーさんが良いなら。」


メアリーのいるベットに一緒に入る。

一人用のベットなので、当然ながら近い。

わぁ目きれい。

髪さらさらしてる。

おっと。

シェアハウスで下心が沸いたらだめだろう。本当に。




「マリンさん、やっぱり少し求めても大丈夫でしょうか。」


「え──


何を─と聞く前に口づけをされてしまった。

心拍数が上がり、自分の顔が熱くなっているのがわかる。


「ふふ、これでしばらくお礼はいりませんよ。」


やばい。好きになる。





結局私はほとんど眠れなかった。


「おはようございます。マリンさん。」


「お、おはようございます。」


昨日の夜の出来事を思いだして、赤面する。


「今日はなにかご予定はありますか?」


「は、はい。仕事を探しに街の中心の方へ行こうかと。」


なんで何もなかったように振る舞えるのだろうか。


「了解です!頑張ってくださいね!」


あぁ好きだ。

こう思うと本当に異世界転移して良かったと思う。

だから──


私、(あずま) (りん)はこれから、マリンとして生きていく。

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