最終話① 歴史書という悪夢──レオンハルト、現実に戻る
王都・庭園。
卒業パーティー前日の午後。
レオンハルト王子は、
なぜか現実と間違うほどの没入感を感じる、手元の分厚い本を震える手でめくっていた。
ノラ(エレオノーラ)
「……というわけで、殿下の“婚約破棄”が発端となり、
三王子大戦が勃発。
王国は焼け野原になり、
殿下は大事な親友や仲間、代々の臣下と自らの足を失って民から恨まれ、
泣きじゃくりながら許しを乞う――
と書かれてますね。さらにとんでもないことになるみたいですが、続き読みます?」
レオンハルト
「読まなくていい!!!???」
ノラは本を閉じた。
タイトルにはこう書いてある。
『婚約破棄されたんだけど、その後とんでもないことになった
──大陸史最大の内乱:三王子大戦──』
◆◆ レオンハルト、蒼白
レオンハルト
「こ、これは……
私が……婚約破棄して……
全部の元凶に……!?
え……?
いや……?
待って……?」
ノラ(微笑)
「はい。
殿下が“トチ狂った”せいで、
国も臣下も民も家族も兄弟も燃え上がるそうです」
レオンハルト
「侯爵とイルヴァンが死ぬ!?
三王子大戦!?
王都炎上!?
え?もっと死ぬの!?
慈愛軍壊滅!?
なんで兵じゃない民が大量に死ぬの!?
わ、私の脚が……!?!?
婚約破棄がきっかけで!?」
ノラ
「まあ、その……
殿下、真実の愛に目覚めるのは自由ですが」
ノラ
「婚約破棄だけは、絶対にダメです」
レオンハルト
「ダメな理由が重すぎるッッ!!」
◆◆ 現実世界、ちゃんとまだ平和
レオンハルトは慌てて周囲を見回した。
・王宮は燃えていない
・兵士たちも普通に働いている
・セドリックは穏やかに書類整理している
・アレクは木陰で読書している
・王妃も寵姫もまだ怒っていない
レオンハルト
「よ、良かった……!!
まだ戦争始まってない……!!
誰も死んでない……!!
足も……ある!!」
ノラ
「ええ。
今なら全部“回避”できますよ?」
◆◆ レオンハルト、決意の震え
レオンハルト
「ノラ……私……
今まで本当に軽率だった……
真実の愛?
知らん!!
知らん!!」
ノラ
「殿下、だいぶ戻ってきましたね」
レオンハルト
「婚約破棄はしません!!
しませんとも!!!
二度としません!!!
なにがあっても私、
ノラと婚約を続けます!!!
お願いします!!!」
ノラ
「はい。
未来の王国の平和のためにも、
正しい判断です」
レオンハルト
「未来の惨劇を回避できるなら、
婚約続行だ!!
むしろ結婚する!!
いや結婚してください!!
愛してる!!
結婚しよう!!!」
ノラ
「(言わせすぎたかしら……)」
◆◆ そして平和が続いた
王妃
「レオンハルト、急に真面目になったわね?」
寵姫
「まあ、殿下が素直になったのなら私たちも安心ですわ」
セドリック
「兄上らしくて安心しました」
アレク
「お兄様……なんだか眩しい……」
王
「ようやく落ち着いたか……」
そしてレオンハルトは、
ノラに向かって深々と頭を下げる。
レオンハルト
「私は一生あなたを大切にします!!
いまの暮らしがなんと幸せなことか!!
(しないと戦争に……なる……)」
ノラ
「(最後の小声聞こえましたけど?)」
「まあ、いいです。
殿下が改心したなら」
歴史は書き換わった。
三王子大戦は起こらない。
“悪夢”は回避されたのだ。
終幕:本当の平和エンド
こうして、
第一王子は“婚約破棄という歴史的愚行”を未来の歴史書で知らされ、
震えながら破棄を諦めた。
今も時々震えている。
そして、
王国史上最大の悲劇は、
一人の令嬢が“固有スキル:未来歴史書”を読んで聞かせたことで阻止された。
王国は今日も平和である。
このお話しの暗殺者が凄腕すぎる気がする。
隠密100のドラ〇ンボーンが異世界召喚されたのかもしれない。
あと、レオンハルトは膝に矢を受けてしまった(脛だけど)から冒険者から衛兵になるといいと思う。




