第48話 見守り姉妹(瑠海奈視点)
「な、なんなのよあの子……!?」
あたし――風祭瑠海奈は、物陰からこっそり露崎律の様子を伺っていた。
もちろん、あいつが仮にも風祭の使用人を名乗る者として、妙なマネをしないか監視するために来たわけ。
「初っ端から露崎律と手を繋いじゃってるじゃない!」
あの距離の詰め方、只者じゃないわ……。
「やべーな。あたしの見立てだと、露崎は押しに弱いはず……」
「この調子だと、律くんは今日にもあのポッと出の女性にホテルに連れ込まれて美味しくいただかれてしまう可能性があるな」
「律くん、悪い女の子に捕まっちゃったのかしら」
あたしの後ろから、久華、実紅、純礼姉さんの顔がひょこひょこと出てくる。
本当はあたし一人で監視するつもりだったんだけど、みんな露崎律のことを気にして付いてきちゃったのよね……。
「こうなったら、露崎を横取りされる前に力尽くで取り除くしかねえか?」
「物騒なことはやめなさいよね」
「大丈夫だよ、瑠海奈姉。あたしに任せろ。傷つけることなく気絶させるくらいの技術はあるからよ」
「全然大丈夫じゃないじゃない」
短気な久華をストップするあたし。
「もう少し様子を見ましょう。どういうわけか露崎律は、あの女に妙にデレデレしてるし、きっと何かしら縁のある人のはずよ。変にあたしたちが介入したら、あいつからの印象が悪くなるかも」
「ほう。瑠海奈姉は、律くんに嫌われるのが嫌だと? 変わったな、瑠海奈姉」
「ち、違うわ! そういう意味じゃないわよ!」
「あらあら、それならどういう意味なのかしら?」
「純礼姉さんまで!」
「いいじゃねぇか! あたしが露崎に惚れられたら、ちゃんと瑠海奈姉とも共有してやるから! あたしは別に瑠海奈姉の裸が視界に入ってもノイズとは思わねえからさ、一緒に仲良ししようぜ!」
「いらないわよ! あっ! ほら、露崎律がどこか行くわよ!」
やたらとからかってくる姉妹を置いて、あたしは露崎律の行方を追った。




