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私のわたし  作者: Miko
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悪夢の兆し

カーテンの隙間から朝日が射し込む。

外で小鳥のさえずる声がする。

そんな平和な時間とは場違いな程に、私の心は不安で満ちていた。

結局絵は完成させることができたが、どこか納得がいかない。

心がモヤモヤしたままで、一睡もできなかった。

でもみんなを、両親を心配させるわけにはいかない。

私は疲れ切っている体に鞭を打ち、朝食を取るため一階に降りた。


「おはよう、お母さん」

「おはよう。あら、何だか疲れてる様に見えるけど大丈夫?」

「…大丈夫!ちょっと怖い夢見ちゃっただけだから」

「そう、なら良かったわ」

母はいつも私の違和感に気づいてくれる。

そのせいで沢山心配をかけている。

熱があったときも、テストが心配なときも、いつも私を気にかけてくれる。

今回は私が夜更かしをして、絵に不安を抱いているだけ。

しかも日置さんを家に招待してもいい、という許しの条件付きの絵。

いつもならアドバイスを貰いに声をかけるけど、今回は違う。

この絵の心配はしてほしくない。

きっとアドバイスの代わりに、許しの条件が変わってしまう。

今でも厳しい条件なのに、これ以上難易度の高いものを設定されたら、達成は夢のまた夢だ。


「いってきまーす」

「行ってらっしゃい。今日は雨が降るみたいだから、傘を持っていくのよ」

「はーい」

いつも通り母に声をかけて家を出る。

足取りは重い。

今の空のように、頭は雲がかかっているようにぼんやりする。

いつもはしっかり睡眠を取っているから、こんな状態は"あれ"以来だ。

「…ッはぁ」

よろめき、倒れそうになったがなんとか踏みとどまる。

気を抜くと倒れてしまいそうだ。

学校までの道のりが、いつもより長く感じる。

私は今にも雨が降りそうな空の下、楽しそうに通学路を歩く小学生を横目に、重い体を引きずるようにして学校へ向かった。

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