繧翫g縺?@繧のため
PM10:02という文字が表示された時計を見る。
課題と構図のラフを終わらせていたら、こんな時間になっていた。
少し休憩しよう。そう思い、椅子にもたれながら背伸びをする。
ラフのできた絵を眺めながら、夕食時親に話した内容を振り返る。
結果だけ言えば、許可はもらえた。
代わりに、条件がついた。
「次の公募展で、入選することか…」
親に言われた言葉を口に出し、反芻する。
公募展はプロの芸術家を夢見る人たちが通る一つの道。
入選できるのはたった数点。
しかも入選倍率は約13倍になる狭き門。
正直自信がない。というより、気乗りしない。
もちろん、芸術家になるには通らなければならない道の一つだし、
日置さんを招待するための交換条件だということも理解している。
でも
「違う、こんなんじゃ」
色を載せ始め、まだ3分も経っていない。
私は描きかけのキャンバスを壁に立てかけ、新しいものを取り出した。
光の表現が上手くいかない。
イメージはできているはず、イメージのままかけているはず。
それなのに、なんで?
私はスケッチブックを取り出し、構図のラフを見返した。
テーマである『光と影』を上手く表現できない...!
いつもならすぐ、完成できるのに。
心の奥が冷たくなる。
上手くできないと、そうでないと、
入選できない。
日置さんとの約束が守れない。
両親との約束が守れない。
日置さんを、両親を、
失望させてしまうかもしれない。
両親の評判を落としてしまうかもしれない。
両親の期待を裏切ってしまうかもしれない。
両親の、両親の、両親の!
あれ、わたし
「誰のために描いてるんだろう」
ふと、そんなことが頭によぎった。
何でだろう…?
考えた事も無かったな。
誰のためだっけ?
…今はそんな事どうでもいいや、
私は作品完成のため、キャンバスに向かう。
新しく色を取るため、筆に付いていた絵の具をバケツに貯めた水で洗った。
バケツの水は、色が混ざりすぎて黒くなり底は既に見えなくなっていた。