表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私のわたし  作者: Miko
17/20

演じる

その後私は家へと帰ることにした。

美久ちゃんの家を出る前に、明日の放課後に色んなことを調べる約束を付けて。

もっと美久ちゃんと話したかったが、見つけた問題の解決の一歩として、一刻も早く両親と話をしたかった。


外は夕日で赤く染まっていた。

時計を確認しようとしたとき、18時を知らせるチャイムがちょうど鳴った。

私はまだ湿っているバッグを肩にかけなおし、水溜りのある道を歩き始めた。

家への足取りは、朝とは比べ物にならないほど軽かった。

体の不調も回復したようだ。

人に話すことで気持ちが楽になるという話を聞いたことがあったが、こんなに効果があると思わなかった。

いや、きっと美久ちゃんだからだろう。

他の人の過去はあまり聞いたことはないが、聞いても私の本心が見えたか分からない。

本当に感謝しかないな。


そんなことを考えながら歩いていると、私の家が見えてきた。

いつもの、見慣れた家なはずなのに、どこか違って見える。

異様な雰囲気を感じつつも、私は勇気を振り絞り家に入った。

「ただいま」

いつも通り、玄関先から声をかける。

今の時間なら母がいるはずだ。

「あら、お帰りなさい。...何かあったの?」

「部活がなくなったから友達と帰って来てたの、途中で夕立にあって濡れちゃった」

「なら早くお風呂に行きなさい、風邪引いちゃうわ」

「わかった」

「あとでお友達のこと、教えてちょうだいね」

私は頷き、お風呂に向かった。

母は私のことをよく見ている。

今の私の様子が違うこと、いつもと帰ってくる時間が違うこと、全部わかっている。

でもわかっているのは表面的なことだけ。

エスパーではないから、気持ちまではわかってくれない。

いつも言えないでいた。

それを今日、伝える。

でも父も揃ってからがいい。

だからそれまでは、"いつも通りの私"でいることにする。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ