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私のわたし  作者: Miko
16/20

探したい

私は仮面をたくさん作った。

みんなが望む、私になるために。

失望されないために。

[天才] [話しやすい子] [クラスのリーダー] etc...

いつも付けて、はずれないように。

そうしているうちに、仮面は一つになった。

[私]

この仮面はどんなわたしも完璧にしてくれた。

周りが望み、思っているわたしに。

誰の前でも外すことなく付けたままにしていたら、外した顔を、わたしを忘れていた。

分からなくなっていた。

でもそんなのどうでも良かった。

周りさえ、両親さえ良ければ。

そんなふうに考えていたら、仮面を付けていることすら忘れていた。

何も分からなくなっていた。

今の今まで、そのことにすら気が付かないほど。


「___だから、ありがとう」

美久ちゃんの話で気がついた。

話してくれていなかったら、会うことがなかったら、一生このままだったかもしれない。

「私、自分のしたいこと探したい」

本当にしたいこと。

誰かが望んでいる、期待している、当たり前だと思っている、そんな未来じゃない。

私が望む未来を、他の誰かじゃない 私 が見つけたい。

けど、今のままじゃ見つけられない。

だから、

「協力してくれないかな?」

私と同じだった美久ちゃんと一緒になら、見つけられる気がする。

美久ちゃんなら、きっとどんな私でも失望しないでくれると思う。

初めて本音で語り合えたから。

「うん!…あの、あたしのしたいこと探しも協力してくれる?」

美久ちゃんは少し不安そうに聞く。

そんな質問、選択肢なんて1つだけなのに。

「もちろん!」

私は大きく頷いた。

まだ問題の解決策もゴールもわからないけど、今よりきっとわたしらしくいられる。

根拠も何もないが、何故かそう思った。

外はいつの間にか雨がやみ、灰色の雲の隙間から光が溢れていた。

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