表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私のわたし  作者: Miko
15/20

仮面

それから私は、コンクールに入選できるような絵を描くことを意識した。

構図や色彩についての勉強も沢山した。

行き詰まったときには、両親に相談した。

私が聞くと、両親は絵に真剣な私を見て嬉しそうにしながら答えてくれて、ときには部屋まで来て絵を見てアドバイスをしてくれた。

そのおかげで、小学校6年間はいつも入選することができ、そのたびに両親に祝って貰えた。


でも中学1年生のとき、初めて入選できなかった。

学校の勉強が途端に難しくなり、絵に集中できなかったからだった。

両親には、いつもコンクールのテーマについて話していたから、コンクールはなかったなんていう言い逃れはできなかったし、別に大丈夫だと思っていた。

この頃は、両親がうざったくなり一人の時間が逆に大事になっていたから。

入選できなかったことを伝えると「私達の娘なのに」というような内容をいつまでも話され、両親が納得のいくコンクールテーマの絵を描けるまで部屋から出してもらえなかった。

これを私は"反省会"と呼んだ。

反抗期はこれで終わった。

私が[いい子]の仮面を被ることを覚えたから。

失望されるのが怖くなったから。

2年生からは美術部にも入部したため、コンクールの機会が増えた。

絵は上手くなったが目標が入選から優秀賞に変わり、反省会の回数も比例するかのように増えた。


中学校ではテストの順位が張り出され、学力が可視化されたために問題が起こった。

順位がかなり高かった。一桁に入るかどうかぐらいだった。

だからクラスメイトや先生から期待された。

"絵が上手くて、頭が良い"

いつも言われた。

いつも考えた。

順位が下がったら?絵が入選すらできなかったら?

クラスメイトと関わるのが怖かった。

失望されたくなかった。

だから[優等生]の仮面を被った。

"本当のわたし"でいるから怖いんだ。

「勉強しなきゃだから、また今度遊ぼ!」

いつの間にか私の口癖になっていた。

本当はみんなと遊びたい。

可愛い服を着てショッピングしたり、放課後集まってカフェとか行きたい。

でも[優等生]に、[いい子]に見えるの?

もう分からなくなっていた。

仮面が馴染んで、取るのが怖くなっていた。


いつの間にか仮面が"私"になっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ