表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私のわたし  作者: Miko
13/20

分かる

「え。」

今度は日置さんが放心状態になる番だった。

私は先程まで俯きがちだった顔を上げ、真っ直ぐ日置さんを見つめる。

「私は迷惑だなんて思ってないし、むしろ嬉しかったくらい」

靴を汚してまでも私を探してくれていたのを思い返し、顔が綻ぶ。

そのまま私は話を続けた。

「私、美久ちゃんが話しかけてくれたこと、すごく嬉しかった、それと探しに来てくれたことも。美久ちゃんの優しさが嬉しかった」

そう伝えると、美久ちゃんは静かに涙を流した。

泣かれると想像していなかった私は動揺した。


「あたし、仲間はずれが嫌で、誰かと一緒にいたくて、悩んでることとか、一緒に解決したくて、でも、いつも空回りして、みんな離れちゃって、ひとりになって、」

美久ちゃんはところどころ声を詰まらせながら話し始めた。

私はうんうんと頷きながら話に耳を傾けた。

「あたし、お兄ちゃんがいるの。でもね、生まれつき、足が動かなくて、いつも、お兄ちゃんには、パパかママが、一緒にいて、あたしはいつもひとりだったの、羨ましかったの。でもね、お母さんの手伝いをしたら、"いい子"って褒めてもらえて、あたしを見てくれて、すごく、すごく嬉しかったの、」

そう話す美久ちゃんは、とても悲しそうだった。

「だから、いっぱい手伝ったの。掃除も洗い物も、できることは何でも。褒めてほしかった、いい子って、ありがとうって、もっと言ってほしくて。そしたらね、手伝うのが、当たり前になっちゃって、褒めてもらえなくなって、またひとりになって、。だからね、クラスの人の悩みとか解決して、"ありがとう"って言われたとき、嬉しくて、もっと頼ってほしくて、やりすぎちゃって、うざがられて、また、ひとりになって、」

そこまで話すと、美久ちゃんは俯いてしまった。


わかる気がする、美久ちゃんの気持ち。

私も、両親に認めてもらいたかったんだ。

誰かの期待に答えたかったんだ。

全部誰かのために動いていたことから始まったんだ。

このことを気づかせてくれて、こんな辛かったことを話してくれて

「ありがとう」

今度は私が話す番だね

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ