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私のわたし  作者: Miko
10/20

温度

雨はどんどん強くなり、大雨と言えるほどになった。

制服は濡れたことにより肌に張り付き、重くなった。

靴にも水が入りこみ、不快感が募る。

視界も悪くなり、段々と歩みが遅くなる。


そして悪天候の中、とうとう私の足は完全に停止した。

どこかで雨宿りしようと急ぐような声、私の横を怪訝そうな顔をして通り過ぎていく人々。

私は立ち止まったまま、空を無意味に見上げる。

黒い雲がいつもの空を覆い隠している。

私のこともいっそ、隠してくれたらいいのに。

あまり働かない頭でそんな事を考える。

少し、寒気がする。

動くのをやめたせいで、雨に濡れた体がどんどん体温を奪われていく。

家に帰らなきゃ。

でも、母になんて言おう?


突っ立ったまま考えていると、私の横をトラックが走っていった。

その際水溜りがあったらしく、全身に水しぶきを浴びた。

「惨めだな、わたし」

小さく呟いた言葉は雨音にかき消され誰にも届かなかった。


けど

「どうして逃げたの?」

後ろから声がした。

振り返ると、傘を差している日置さんがいた。

履いている赤のスニーカーは、濡れて色が変わっていて泥もついている。

…もしかして、私を探してくれていた?

だとしたら、本当に申し訳ない。

急にいつもと違う私になったり、置いてきぼりにしたり、約束についての進捗も話さずに、体調不良で迷惑かけたり。

「...ぁ、ぇッと」

なんて言おう。

置き去りにしてごめん?

ごめんで許されるのかな?

いや、質問されたから先に答えたほうがいいのかな?

いつもみたいに言葉が浮かばない。

答えられず立っているだけの私を、日置さんが痺れを切らして手を引っ張った。

「やっぱ後で聞く!風邪引いちゃう」

そのまま私を持っていた傘の下にいれ、私の家とは別の方向へ少し急ぐように歩き始めた。

握られた手は、雨で濡れた体にはとても温かく感じた。

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