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第93話 日々精進

朝食が終わった後、ニックが部屋に案内すると言うのでついていく

案内された部屋は客室ではなく、ピアノが一台置かれた部屋だった

「…これは?」

「俺がマナが船上でもピアノの練習が出来るように防音室にピアノを運ばせて用意した部屋だよ。」

「わぁ…すごーい…。」

私の為にピアノを船内に運んでもらうように手配して貰うなんて…

嬉しいような

悲しいような

いや、正直言います

ピアノの練習なんかより

豪華客船で遊びたかったです

「鍵もついてるから安心して何時間も練習出来るよ。」

「せっかく初めて豪華客船に乗ったんだし、プールとか行ってみたいな〜なんて…」

「朝食ビュッフェだけで誘拐されかけたのに、プールで水着姿なんて晒したら危険に決まってるだろう?」

「…。」

「ここは安全だし、コンクールの練習も出来て最高だろう?それに音楽より楽しいものなんてないよ。何時間もここでピアノが弾けるなんて天国だろう?」

「ニックは練習を苦に感じたりしないの?」

「めちゃくちゃ辛いけど。」

「ほら!!そうじゃん!!ちょっとぐらい息抜きしようよー!!」

「そんなこと言って休んでコンクールで失敗したら俺は嫌なんだ。何もかも出し切って失敗するなら悔いが残らないけれどね。本番までは全力で走り抜けたいんだ。」

「うぅ…わかりました…。」

すぐに怠けようとする私とは大違いだ

成功する人間というのはニックのような人間なのだろう

辛いけれど

本番まではニックの言う通り全力で駆け抜けよう


私達は二人きりで食事の時間以外はここの防音室でひたすら練習を続けた

マオは一人で豪華客船を楽しんでいるらしい

「ねぇ。白魔法で回復出来るなら睡眠を取らずに弾き続けることも出来るんじゃ…」

「絶対いや!!流石に寝かせて!!」

「睡眠なんて一番つらまらないじゃないか。睡眠する時間がもったいない…。」

「いいですか?睡眠は人間の三大欲求の一つです!!睡眠を取ることはストレス解消にもなるし大事なんですから!21時に寝ますよ!!」

「早すぎ。3時ぐらいまで大丈夫でしょ。」

「まさか早朝の3時と言ってますか?そんな夜遅くまで無理ですから!21時ですよ!夜更かしは美容にも良くないですから!」

「白魔法がある限り美容なんて関係ないだろうに。わかったよ。24時までにしよう。」

「22時!これ以上は嫌です!!」

「早すぎだよ。」

「私は一日中練習してるんです!!絶対22時になったら自室に戻ります!!」

「うーん…わかったよ。」

白魔法のせいで三日間徹夜で弾き続けさせられるところだった…

必死の説得でなんとか22時に練習を終えることが出来た

練習が終わった後、マオの部屋に行き様子を見に行く

「マオ。ごめんね。ずっと一緒に居られなくて。」

「大丈夫だよ。」

文句言われると思ったのに

あまりに気にしてない様子だったので意外だった

「私が居ない間何してたの?」

「暇だったから図書室で本を読んでいたよ。」

「へぇ。何の本を読んだの?」

「魔法哲学。」

「ま、魔法哲学…?」

「魔塔にはない本で面白かったよ。」

「そ、そう…。」

魔法哲学ってなんだ?

そんなジャンルの本があるなんて知らなかった

マオは魔法の本が好きなことは知っていたけれど

難しい本を読んでいるから

会話についていけるか不安になるよ

「…友達が出来た。」

「へ!?は!?と、友達!?」

「うん…。」

「それは…よかったね。」

「うん。」

照れ臭そうにマオが答える

可愛い

世界で一番可愛いのはマオだ

「どんな子なの?」

「僕と同じ歳の男の子だよ。魔法が好きなんだって。」

「明日、私も会ってみたいな。」

「え。いいよ。恥ずかしいから。」

「なんで!?」

「えへへ。」

マオに初めて友達が出来たことはとても嬉しい

私とミケお爺ちゃんとスノーぐらいしか接点がなかったから

新しく交流が出来ることは凄いいいことだ

でも少し寂しくも感じるな

私に隠し事をするなんてね

私の知らないマオがこれからたくさん増えていくのだろうな






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