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第88話 一学期終了

バイオリンコンクールでニック様が優勝し、私の肩の荷が降りたかと思ったが

まさかこれから本選があるなんて

しかもキッカ国といえばクラシック音楽の本場の場所だ

国民的にクラシック音楽を愛し、楽しんでいる国だ

貴族はホールでプロの演奏を聞くことが日常だし

平民は修道院で無料のコンサートを楽しむことが日常的にされている

クラシック音楽を国民が楽しんでいる国として有名だ

この世界のクラシック音楽は元の世界のクラシック音楽と変わりない

元の世界の有名な音楽家、バッハ、モーツァルト、ベートーヴェン、ショパン等は全てキッカ国出身の設定にされている

元の世界の現代音楽は全くないが

元の世界のクラシック音楽は寧ろこの世界に根付いている

音楽といえばクラシックなのだ

この世界の文明はあまり進んでいない

スマホもないし

テレビもない

何故かラジオはある

そして飛行機もないので

キッカ国に行くのは船旅になる

三日間船に乗りやっと着く国だ

この世界は魔法があるのに瞬間移動とかワープとかそんな万能な魔法はないから長距離の移動は不便だ

短距離移動なら風魔法で楽に移動できるのに

なんでこんな不便な設定にしたのか

今度アルテミスに文句を言ってやろう

私とニックは夏休み期間中、キッカ国へとバイオリンコンクール野為に船旅をすることになった

移動に六日間。滞在期間も六日間野予定だ

本番後、三日間は自由に遊べるらしいので

キッカ国の観光が出来るというモチベーションを頼りに

私はピアノを弾く

そうじゃなきゃ弾けない

ニックの為だけにまた一ヶ月地獄の特訓をするなんて

モチベーションがもたないよ

私は音楽を極めたくてやってるわけじゃなくて

自分に自信をつけたり

努力出来る人間になりたくて

ピアノを弾いているのだから

何かしらご褒美がないとやってらんないよ

でも、プロのニックに並んで演奏することはいい経験をさせて貰えてると思ってる

直接指導を受けて弾かせて貰えてるから

期待に応えるようにまた頑張ろう

そして優勝したらキッカ国の有名なオーケストラ楽団を聞きに行くんだ


夏休みに入る直前にクリス様の自宅謹慎が終わった

「クリス様お久しぶりです。二週間の謹慎お疲れ様でした。ちゃんと反省出来ましたか?」

「あんなことをしたのにマナから話しかけてくれるなんてマナはやっぱり優しいね。」

「謹慎の激励がぐらいしますよ。」

「マナは誰にでも優しいね。俺にもレックスにも…ベルチェにさえ。他のやつと同じだなんて我慢出来なかったけれどマナの特別になれるまで我慢するよ。」

「おお。そうして貰えると助かります。王城って凄いね。教育者が優秀なのかな。」

「…そんなことないよ。」

「反省もしてるみたいだし、約束通りデートしてあげるよ。」

「ほ、本当に!?」

「私はニックとキッカ国にコンクールの為に旅行するから帰国してからね。」

「…は?二人で旅行?」

「うん。」

「俺も行く。」

「絶対ダメ。」

「何故!?」

「コンクールの演奏に行くのに気が散るようなことしたくない。」

「大人しくするって約束するから!」

「無理。絶対ついてこないでね。私の嫌がることはしないんでしょう?」

「…わかった。」

「帰ってきたらデートしてあげるからさ。」

「俺もマナと旅行に行きたい!」

「ダメ。一日デートだけ。」

「ニックは何日も二人きりなのに不公平だ!」

「うるさい!私を殺しかけた人間に対して一日デートしてやるって言ってんだから破格の扱いでしょう!?文句言われる筋合いなんかないわよ!!」

「…。」

「本気で好きなら私に恋させてみてよ。」

「俺は最高の男ではなかったけれど、それでも絶対マナだけは誰にも譲らないよ。最低最悪の男でも最後まで諦めずに墜としにいくから。覚悟してね。」

「それはそれは。楽しみです。私は恋をすると今よりももっと素晴らしい人生になるらしいので。」


私もベルチェ様のように

失恋しても

誰かを愛おしく

美しく

語れるような

そんな素敵な恋がしてみたい


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