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第8話 愛されモブ令嬢の幸せな日々

どれぐらい時間が経ったのだろうか。

私が泣いている間ずっと頭を撫でて側にいてくれたお母様。私はここで育って本当に幸せでした。本当にありがとうございました。

落ち着いた後、お母様にお礼を告げてそのままお兄様の部屋に走る。

 「お兄様!!私町で一緒にお出かけしたい!!いいでしょ?」

 泣き腫らしたみっともない顔だったけど気にしない。全力の笑顔でお兄様に話しかけた。

 「うん。行こう。とても楽しみだよ。」

 マリオお兄様は優しく答えてくれた。

 「マリアと二人で出掛けるのは初めてだからオシャレしていかないとな。」

 私も出掛ける準備をする。準備を手伝ってくれるアリアもご機嫌そうだった。こんなに嬉しそうなアリサはとても珍しい。どの色のワンピースにするか。髪型はどうするか。アクセサリーは何をつけるか。

いつもは淡々と選んでくれるのに

 「お嬢様はこのワンピースが一番似合うと思って用意したのです。動きやすいですし、お嬢様にはピンク色がよく似合います。」

 と饒舌に話してくれる。しかも笑顔で。なんだかとても嬉しくて抱きしめる。

 「ありがとう!アリサ!大好きだよ!!」

 とびきり極上の笑顔でお礼を言う。

 「……はしゃぎすぎると服が破けるのでお気をつけて下さいね。」

 いつものアリサに戻ってしまった。アリサのお陰でとびきりオシャレして出掛ける。

 「アリサ!いっきまーす!!」

 「お気をつけて。」

 扉を締めて玄関に用意してある馬車へ向かう

 

 

 

 部屋ではアリサが一人で泣いていた。

 「マリアお嬢様。私も大好きですよ。」

 

 

 馬車に乗る前にマリオお兄様の姿が見えた。

 「わぁー!!お兄様すっごくかっこいいです!」

 マリオお兄様はパンツスーツのような格好だった。まだ十二歳なのにスラッとした手足だからとてもよく似合ってるいた。

 「ありがとう。マリアもとっても可愛いよ。」

 「大人になったらお兄様と結婚できたらいいのに〜。」

 「マリアはきっと僕よりももっとかっこいい王子様が結婚してくれるから大丈夫だよ。」

 「お兄様よりかっこいい人なんていないもーん。

 お兄様が世界一カッコいい。」

 にっこり上目遣いで言う。

 「マリアお嬢様は世界一可愛いです!」

 護衛についてくるレイが急に割って入ってきた。

 「えへへー!レイありがとう!!」

 レイに抱きついてお礼を言う。レイは抱き上げて抱っこしてくれた。

 「マリアお嬢様が世界で一番好きです。ずっとお側で守られてくださいね。」

 「ありがとう。でも世界一好きなのはマリオお兄様だからごめんね。」

 イタズラってぽく笑いながら言う

 「マリオ御坊ちゃまと比べたら勝てないですよー。」

 といつもの調子で答えてくれた。

 馬車に 乗る時にマリオお兄様がエスコートしてくれる。かっこいい。こんな些細なことでとても幸せを感じる。三人馬車に乗った時にもずっとお話しをして過ごした。降りる時はレイが手を出してエスコートしてくれた。目が合い、にっこり笑いかける。

レイも笑顔で返してくれた。その瞬間レイの手をすり抜けて首に手を回し、抱きついた。レイは驚いたけどそのまま抱っこして抱きしめてくれた。

 「二人が仲良すぎて嫉妬しちゃうな。」

 マリオお兄様が言う。

 「レイも好きだけど、お兄様が世界一好きだもーん!」

 マリアお兄様がにっこり笑って

 「僕も抱っこできるぐらい大きくなりたいな。」

 「お兄様は紳士的で王子様なところがいいんだからそのままで最強にかっこいいよ!レイそろそろ下ろしてー」

 「嫌でーす。このまま抱っこして町を周りましょうよー」

 「今日はお兄様とデートなんだからダメー!」

 「ちぇー。マリアお嬢様から抱きついてきたのにさー。そういうの小悪魔って言うんですよーお嬢様ー。」

 「私は小悪魔じゃなくてヒロインらしいよー。」

 「確かにそうっすね笑」

 そう言いながらレイが下ろしてくれた。

 マリオお兄様の手を握り

 「お兄様とデート出来て嬉しい。今日は誘ってくれてありがとう。」

 「マリアがお嫁に行く時は泣いちゃうだろうな。こんなに可愛い妹がいて僕は幸せ者だよ。」

 「私も優しくてかっこいいお兄様がいてとっても幸せ。」

 「フフフ。ありがとう。かっこいいなんて言ってくれるのはマリアだけだよ。」

 「私が一番で特別ってこと!?えへへー嬉しいー!私もお兄様が誰かと結婚する時は大泣きしちゃうよー!!」

 「でも今日はマリアだけのものだよ!」

 本当に十二歳なのだろうか。キュンキュンして死んじゃうかも。

 「じゃあ私だけのお兄様?」

 「うん。」

 なんていうの。こういうの。前世ではそう

 尊い。だ。胸がキュンキュンしすぎて死にそう。

 「えへへ。今日だけはお兄様のお姫様でいさせてね。」

 「うん。」

 手を繋ぎ、町を歩きオシャレなカフェに入り有名なケーキを頬張る。めちゃくちゃ美味しい。目がキラキラしてしまう。お兄様は

 「僕の分も分けてあげる」

 と言って分けてくれた。お兄様はやっぱり世界一優しい。

 「嬉しい!ありがとう!」

言ってパクッと分けて貰った分も食べる。

 「どう?」

 「お兄様から貰ったケーキ今まで食べた中で一番美味しいです〜」

 「そんなに美味しく食べてくれるなら僕がケーキ作ってあげたくなっちゃうな。」

 「お兄様は料理したことあるのですか?」

 「ないよ。でもマリアが幸せそうに食べてくれるならやってみたいと思うね。」

 「お料理するお兄様もかっこいいんだろうなぁ」

 「下手かもしれないよ?」

 「お料理は愛情ですよ。愛さえあればいいのです。私の為に作った料理はそれだけで世界一の価値があるですよ。是非食べてみたいです。」

 そんな会話をしながらカフェで楽しく過ごした。

 お兄様は不器用だ。多分初めての料理は失敗するだろう。でも…涙が出るほど嬉しい料理だろな。

 

 

 

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