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第79話 観覧車

一日中遊園地を満喫して、十分すぎるほど楽しんだ

残り時間を考えるとあと一つぐらいなら回れそうだ

「あと一個ぐらいかー。レックスは何かやりたいことある?初めての遊園地で乗りたい物とか。」

マナが俺にそう話しかけてくれた

「うーん…観覧車かな。」

「なるほど。遊園地の象徴だもんね。じゃあ最後は観覧車に乗ろうか。」

そう言って俺達は観覧車に向かった

「俺とミメットは乗らない。」

ニックが観覧車に乗る直前に急に観覧車に乗ることを拒否した

「え?なんで?」

「高い場所はもうこりごりだから。」

「じゃあ別の乗り物でも…」

ドンっとニックが俺とマナを押して観覧車に乗せた

「じゃあな。頑張れよ。」

観覧車は俺とマナだけを乗せて動く

突然密室に二人きりになり緊張する

なんだこの状況は…!?

本当にデートに来たみたいだ…

チラッとマナを見ると俺に話しかけることもなく外の景色を眺めていた

いつもうるさいぐらいによく喋るくせに

…マナって黙っていると美人だよな

話したり、笑った顔とかは可愛らしいけど

こうやって黙った状態だと

整った顔立ちが際立って本当に綺麗だな

正面からの顔も好きだけど、こうやって横顔を見ると本当に美人だ

まつ毛長いし、鼻もスラっと通っていて…

マナがこっちを見て目があう

密室で見つめ合うことに心臓が止まるかと思うぐらいドキッとした

「ねぇ。私のこと見過ぎだよ?観覧車は外の景色を楽しむものなのに。」

ずっとマナを見ていたことがバレている

恥ずかしい…

穴があったら入りたい

「ご、ごめん…。」

「別にいいけどさ…。ねぇ。私に何か言いたいことがある?」

心臓が止まるかと思った

「ど、どうして…?」

「なんとなく。」

どうしよう。こんな急に決定的なシチュエーションになり俺は心の準備がまるで出来てない

でも…今言わないと一生言えないようなそんな気がした

俺は今ここで覚悟を決めないと

マナにとって俺は一生友達だ

…それでも幸せなのかもしれない

彼女の隣で一生友人でいられるなら

それでも俺は幸せかもしれない…


“頑張れよ”


ふと、先程ニックに背中を押された時の言葉を思い出す

特に何も意味もない言葉かもしれないけれど

きっとニックは俺の恋を応援してくれたんだと思う

頼もしい友人に背中を押されて

俺はようやく覚悟することが出来た


「マナが好きです。俺をマナの恋人にして下さい。」


言った。言ってしまった。もうマナの友人としては生きていけない。でもこの恋を見てみぬフリをして終わらせることは嫌だ。マナの反応がこわいが、俺は覚悟を決めてまっすぐと見つめて告白をした。

「…ごめんなさい。」

俯きながらマナはそう言って返事をした。

振られてしまった。

「そう…だよね。マナは恋愛は嫌いだしね。」

マナは少しニコっと微笑んだ

「レックスにこの世界の秘密を教えてあげる。」

「…この世界の秘密?」

「この世界は私の為に神様が作ったの。」

「…え。」

「私が恋愛をして幸せなハッピーエンドを迎える為だけに作られた世界。」

「ほ、本当に?」

「私がこの学園生活の三年間で恋愛をしないとこの世界は崩壊します。」

「…は!?なんで!?」

「仕組みは全くわからないけれど。」

「マナは…誰かと恋愛するの?」

「そうだね。せっかく命懸けで救った世界を崩壊させたくないし。この世界には私の大事な人達がたくさんいるからね。」

「じゃあ…俺と付き合えば…」

「きっとそれではダメなの。私がちゃんと恋をしないとダメ。」

「で、でも!!付き合ってからでも恋は出来るんじゃ…」

「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。レックスと付き合ってから私がどうしても好きになれなかったらお互い不幸になるだけでしょう?」

「それは…でも…!!」

「私の恋人候補は実は神様が決めてるの。」

「は!?え!?そんなことまで!?」

「その中にレックスもいる。」

「…え?本当に…?」

「恋人候補は何人かいる。だからちゃんと好きになってから誰かと付き合いたいの。誰を選ぶかは平等に決めたい。今ここでレックスと付き合うわけにはいかない。不平等になるから。」

「そう…。」

暫く沈黙が続く

信じられない話だが

おそらく真実だろう

マナがそんな嘘をつく理由がない


「私は…恋愛が苦手です。私に恋した人達は恋に溺れて破滅の道に堕ちるような人達がたくさんいました。告白されることも何回もありましたが、何回経験してもなれません。気持ちに答えられず断るとみんな絶望した顔をします。私は…私に恋した人達を全員不幸にしました。」


「それは…違うと思うよ。マナに恋をした時間は光り輝いていた。今日も笑ってくれるかなとか、何を話してくれるかなとかそんなことを考えるだけで心が満たされた。確かにミメットに写真を渡した時とかニックがお姫様抱っこした時とか怪盗ニャンコに夢中になってる姿とか嫉妬で苦しい思いをしたよ?マナに振られた時だって辛かった。でも…それだけじゃない。マナに出会う前は何をしていたのか思い出せないくらい毎日マナで頭も心もいっぱいで、俺は幸せだよ。マナに出会えてよかった。マナに恋をしてよかった。胸を張って言えるよ。マナに恋をした人達もおそらくみんな同じじゃないかな。悲しい結果になってしまったのかもしれないけれど、マナと過ごした時間に後悔はないよ。みんな宝物のように大事にしているよ。きっとね。」

「本当に…?」

「うん。マナは好きになった人達をみんな不幸になんかにしてない。マナに与えて貰えた全ての感情に喜びを感じているよ。」

「そうかな…そうだといいな。」

「マナに恋をしてよかった。」

「…ありがとう。私。レックスに恋をして貰ってよかった。」

ああ…そんな風に言ってくれるなんて思わなかった

告白してよかった


「三年間。三年間でマナが夢中になる魅力的な男になって必ずマナに恋をさせるよ。俺を選んで貰えるように頑張るから。」

「フフッ。もう十分魅力的だけどね。」

俺はマナの手を取り、手の甲にキスをする

「貴方のハート頂くにゃん♡」

「フフフッ。私のハートは簡単には渡せないよ?」

「マナに恋愛がこわくないことを理解して貰えば勝機はあるよ。今日少しわかってもらえたし、まだまだこれからだよ。三年もあるんだ。暫くは片思いを楽しむよ。」


「あつっ!!!」

急に観覧車が炎に包まれる

熱気で観覧車は熱くなっていく

俺は急いで水魔法で消化をした

「マナ!?大丈夫か!?」

「ちょっと火傷しただけ。」

そう言いながらマナは白魔法で治療をする

地上を除くと下でクリス様が暴れて火魔法を暴走させて観覧車を燃やしている姿が見えた

地上は大パニック状態の修羅場だ

「ねぇ…。やっぱり恋って人をおかしくさせてるよ…。こわいよ…。」

せっかく恋への恐怖心が少し薄れたと思ったのに

何してくれてんだクリス様

「まぁ…たまに恋心が暴走しちゃうこともあるかもしれないけれど…。」

「恋心の暴走じゃすまないでしょ。ただの犯罪者だよ。」

冷淡な声で

冷めた目をして

マナは言う

マナの恋嫌いを治すのはまだまだ先のようだ









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