第73話 班決め
「あの…私でよければ同じ班になりませんか?」
とても小柄で可愛らしい女の子が話しかけてきた
「え…どうして私と?」
「わ、私もローズ様が推しで!!同担の方と仲良く出来たら…。」
私はその言葉を聞いて抱きしめる
「嬉しいーー!!本当に私でいいの??」
「はい!ローズ様推し同志仲良くさせてください!」
「天使かな!?」
正に救世主である
「私、アンシャル・ミメットと申します。」
「あれ?アンシャル家の御令嬢だったんですね。以前は眼鏡をかけていたので気づかずすみません。」
「聖女パレードの時にマナ様の白魔法で視力がよくなり眼鏡が不要になったのです。」
「ああ!なるほどー!!」
「お陰様で裸眼でよく見えるようになりました。ありがとうございます。」
「えへへ!ちょっとでもお役に立てて何よりです!」
なんていい子なんだ
こんないい子と同じ班になれるなんて
嬉しいーーー
「男の人は誰を誘いますか?」
「誰でもいいよ。ミメットの仲良い人でいいよ。」
「残念ながら私は親しい男の友人はいないので。」
「余った人でいいよ。ミメットが一緒ならそれだけでいいよ。」
私は満面の笑みで答える
「誰もいないなら俺が入ろうか?」
そう声を掛けてきたのはレックス様だった
「いいんですか?レックス様は人気者だからどこの班でも大歓迎してくれるのに。」
「マナともっと仲良くなりたいと思って…ダメかな?」
「本当に?嬉しい!!」
「え?う、嬉しい…?」
「うん。嬉しいー!!ありがとうー!!」
私の心配をよそに意外とみんな声を掛けて貰えるものなんだな
やっぱりクリス様が近くにいると話しかけてづらかったのかな
「じゃあ俺もマナと親睦を深めようかな。入れてくれる?」
「ニック様!?えぇー!!嬉しいー!!私のこと嫌いなのかと思ってたー!!」
「マナのピアノはすぐに手抜きになるから厳しくしているだけだよ。」
「今、その話聞きたくないです!音楽関係なく一緒に遊べるの嬉しいです!ニック様音楽の話しかしないから。」
「遊園地でも音楽の話はするけど?」
「…まぁそれでも!嬉しいです!」
あっさりと班のメンバーが決まった
私とミメットとレックス様とニック様
とても平和で素晴らしいメンバーだ
「浮気だ…。マナと親しくしたいと言ってる男なんかと一緒に遊園地に行くなんて…」
クリス様がそう呟く
「ジャンケンの敗者は黙って下さい。班は男女二人ずつなんだから…誰かとは必ず組まないといけないんですから仕方ないでしょう?」
「そんな…親しくなる為に…男女が一緒に遊園地なんて…デートじゃないか!!」
「課外活動です。」
「デートだろう!?俺は!!マナと一緒に初めての遊園地に行けるとずっと前から楽しみにしていたのに!!」
「振られた女のこといつまでも粘着してないで、今は恋人のベルチェ様との未来の為に親睦を深めたら如何ですか?」
「親が勝手に決めたんだ!!俺には関係ない!!」
「クリス様はハーバランド国の王子様でしょう?この国を背負うリーダーになるんですよ。私はクリス様と付き合うつまりはありません。いい加減目を覚まされてはどうですか?私のことは忘れて、また国の為に努力するクリス様に戻られては如何です?」
「…何故そんな残酷なことを言うんだ。」
「私はいつも残酷ですよ。どれだけ愛を伝えてられても私はその気持ちに答えることは出来ませんから。だからいつも告白を断る時はキッパリと私に気持ちが残らないように言うことにしてるんですよ。私に未練がなく、次の恋愛が出来るようにね。」
「…。」
「さよなら。クリス様。どうかベルチェ様とお幸せに。」
「無理…。」
「え?」
「絶対に無理!!!マナを諦めるなんて天地がひっくり返っても絶対に無理!!!」
「えぇ…。」
「この恋が消えることなんて一生ない!!俺がマナを諦めるなんて絶対にありえない!!一生掛けて振り向かせてみせるからな!!」
「…。」
「男に二言はないから今回の遊園地は諦めるが、いつかマナと二人で遊園地デートしてやるから!!」
「無理だって…諦めな…。」
「俺に不可能はない!!何故なら俺はこの世界の選ばれしマナの王子様候補なのだから!!」
「なっ…なんでそれを知ってるの?」
「やっぱりそうだ。」
「あ…。」
「諦めないよ。絶対に。マナだけは誰にも渡さない。」