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第71話 悪女のような聖女

私達はその後教室に戻り授業を受け、昼休みになった

昼休みも学食を食べに行くのだが

いつもと同じようにクリス様もついてくる

まるで何事もなかったかのように

私達は今朝大喧嘩をして冷戦状態であるのに

私達は学食を注文して席に着く

「私まだ怒ってるんだけど。顔も見たくない。少しは私に気遣って一人にしようとか思わないのかな。」

「一人にするとマナはすぐに男を惑わせるからな。モテる女を守るのは大変だ。」

「そんな話をしてるんじゃない!!私達喧嘩中でしょう?ずっと一緒にいるなんておかしいって言ってるの!」

「ハハハッ!喧嘩するほど仲良くなったんだね俺達。嬉しいなぁ。」

…ダメだ。全く会話が噛み合わない…

アルテミスは私と恋愛しても攻略相手は狂うことはないって言ってたけれど

狂ってるだろこれ

サイコパスだよ。こわいよ

やっぱりあの神様の言うことは信用出来ない

なんでこの状態で仲良くお昼ご飯を食べようとしているのか

面の皮厚すぎるだろ

図太い

自己中

恋愛だけ下手くそすぎるだろこの王子

元のゲーム設定から恋愛はポンコツ設定だったのか?

だめだ…。怒りで頭の中がクリス様の愚痴しか出てこない

考えることを放棄してはいけない

…一応謝罪は受けたんだ

真に遺憾であるが、こちらから歩みよる努力をしよう

嫌だと言っても毎日ついてくるんだ

こんな大喧嘩の状態の時でさえも

大人になれ私

冷静な会話を心掛けよう

「…今朝の手紙は私がマリアだった時の友人からの手紙です。手紙の内容はラブレターではなく自分の出世の為に書かれた私利私欲にまみれたものでした。」

「どうしてその手紙が宝物になる?」

「だってもう二度と会えないかもしれない友人から貰ったんですよ。嬉しくて。」

「浮気だ。」

「はぁ?」

「俺には会いたくても会えなくて切ないみたいな感情向けてくれたことないじゃないか!寧ろいつも邪魔そうに扱われているぞ!!」

「毎日ストーカーのようにくっついてくるからでしょう!?」

「ずるい!!俺だって愛されたいのに!!俺には態度が冷たすぎる!!」

「すぐに部屋に連れ込んだり、思い通りにならなかったらキスするようなやつに優しくするわけないでしょう!?」

「俺は一つ気づいたことがある。マナは全人類とキス出来る恐ろしい悪女だ。」

「そんなわけないでしょう!?」

「ほっぺにキスなら出来るだろう?」

「それなら…まぁ…誰でも出来るかな。」

「ほれみろ。この悪女め。」

「聖女です。」

「とにかく。誰にでもほっぺにキス出来る悪女のくせに俺には迫ってこないんだ。他の男にはキスしまくるくせに。」

「他の男にキスをしまくった事実はありません!それにクリス様に私が迫ったら冗談で済まないでしょう?初日に部屋に連れ込むような男相手にそんなことしたらどうなるかわからないからやるわけないでしょう?」

「何もしない。約束する。」

「信用ならない…。」

「本当にしない。だからここから先は仲直りの為の取引だ。マナが浮気したら俺にキスしろ。」

「はぁ?私クリス様の彼女でもないのに?」

「いずれはなるんだ。」

「…絶対に何もしない?」

「しない。神に誓って。」

私は対面に座っているクリス様のネクタイを強引に引っ張りクリス様のほっぺにキスをした

驚いて固まってるクリス様を見て

私はクリス様の顔に近づけて微笑んで言う

「取引成立ですね。クリス様。…何もしちゃダメですよ?約束しましたよね…?」

私は誘惑して挑発して言った

目の前のクリス様は理性を保とうと必死に震えていた

あんなに衝動的にキスしてきたから

絶対に手を出すと思ったのに

「…マナは本当に悪女だな。」

「聖女です。」

配役ミスだよ。アルテミス。私が聖女なわけないのにね

「そっちが取引するなら私も取引するわ。」

「いいよ。何を取引するんだ?」

「今日みたいに私を悲しませたり怒らせたら…」

「なんだ?何をすればいい?」

罰則って何があるっけ?

難しいな

クリス様が嫌がること…

一週間口聞かないとか?

すぐに破られそうだしなぁ

うーーーーん

「えっと…嫌いな食べ物ってある?」

「トマトが嫌いだ。」

「じゃあ私を悲しませたり怒らせたらトマトを食べて貰います。」

「…。」

私は学食でミニサラダを購入してテーブルに置く

ミニサラダにはミニトマトが二つ入っていた

このミニトマト二つで今朝の騒ぎをチャラにするつもりなのか?私?

罰則になるのか?これ?

「では食べてください。」

「…。」

前言撤回。クリス様めちゃくちゃ効いている。

今朝喧嘩しても傷ついたり苦しい顔なんてしたことなかったのに

今、一番苦しそうな顔をしている

最高に愉快だ

もっと苦しめ

トマトの前にひれ伏すがいい!!

「一つじゃダメか?」

「ダメです。私は泣いて怒ってとても悲しかったんです。トマト二つ分は味わって貰わないと。」

クリス様がトマトを一つ口にする

めちゃくちゃ不味そうに

今にも吐き出したい気持ちを抑えながら食べていた

あぁーー最高!!

もっと苦しめ!!このバカ王子!!

「まだもう一個残ってるよ。」

「わかってる…。」

「しょうがないなぁ…食べさせてあげるよ。好きな女から食べさせて貰えるなんてご褒美でしょう?私って優しいなぁ。」

「…。」

私はミニトマトのヘタを取り

「はい。あーん♡」

「…。」

「あれ?口開けてくれないとほら早くぅ。」

「もう少し待ってくれ…。」

「ダメ♡」

私は無理矢理口にねじ込む

クリス様は悶絶して苦しんでいた

あぁーー気分いい

しょうがないから許してやるかぁ






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