第70話 事情聴取
私とクリス様は校長室に呼び出され校長室のソファに座る
私達のクラスの担任のイシュタル・ヤクモが私達へ質問をする
「何があったのかな?」
「クリス様が私の手紙を破ったんです。」
「マナの手紙ではない。ただのゴミだから破っただけだ。」
「私宛ての手紙でした。」
「なるほど。つまりマナ宛ての手紙をクリスが嫉妬して破ったということだね。」
「そうです。」
「その後何故殴り合いの喧嘩になったのかな?」
「私が破られた手紙のことを怒ったらいきなりキスしてきたんです。だからビンタしました。」
「なるほど…ビンタすることはよくないけれど、年頃の女の子の唇をうばうことはダメですよ。クリス君。今のマナさんの主張に反論はありますか?」
「俺が手紙を破ったことも事実だし、無理やりキスしたことも事実です。」
「クリス君…あまりにもマナさんが可哀想ですよ。欲望を押し付けるだけではマナさんを傷つけるだけです。このことはクリス君の両親にも報告させて頂きますからね。」
「…マナがずっと俺のことを避けるから…。」
「避けられていたことに苛立ちが募っていたからこんなことをしたのかな?」
「それだけじゃない!昨日は俺の護衛騎士とキスしたとか言ってその後、二人きりで逃亡したんだ!俺のことを置いて!!」
「マナさん?護衛騎士の方とキスしてたんですか?」
「死にかけてた時に口移しでポーションを飲ませて貰っただけです!人命救助です!!私がスザク様を誘惑したような言い方はやめてください!」
「昨日スザクに色仕掛けしていたじゃないか!」
「人聞きの悪いこと言わないでください!王城へ連れて行って欲しかったのでお願いしてただけです!」
「押し倒して顔を近づけることがただのお願いなのか?」
「私の護衛騎士のカイはこうすると絶対言うことを聞いてくれたのでつい…。」
「誰にでもあんなことをしているのか!?俺にはすぐに逃げて避けるくせに、スザクには誘惑するし、ラブレターを嬉しそうにニヤニヤ読んでいるしそんなことをされたら嫉妬で頭をおかしくなるのは当たり前だろうが!!」
「そう…ですね…マナさんはもう少し配慮してあげて欲しいですね…。」
「恋人でもないのに何故私が配慮する必要があるんですか?」
「学園の風紀の為ですかね…。」
「わかりました…。今後は気をつけます…。」
「はい。ではクリス君もマナさんに謝罪しましょう。」
「嫌だ。」
「ほら!見てください!この反省の色のないこの態度!!殴りたくなるでしょう!?めちゃくちゃむかつく!!」
「俺はマナの恋人になるんだ。俺は悪くない。浮気しているマナが悪い。」
「ほら!!聞きました!?全然話が通じないんですよ!!私がクリス様の恋人になる未来なんてないのに!!」
「マナがお父様にマナを口説いていると報告をしたから俺には無理矢理婚約者が付けられた。」
「それはそれは!おめでとうございます!私は無能で怠け者なので、クリス様には相応しくないですから。王様選んだ婚約者ならさぞかし優秀で働き者なんでしょうね。これでこの国も安泰ですね。」
「お父様が婚約者と無理矢理結婚させようとするならこの国を捨ててマナと逃亡する。」
「そんな恐ろしい計画に私を勝手に入れないください。」
「俺はマナとしか結婚しない。」
「そんなこと言ってるけどさ。私のこと王様に報告してなかったじゃん。私が相手だと反対されるとわかっていたからでしょう?所詮その程度の気持ちだったんだよ。クリス様は。」
「恋人になればすぐに報告するつもりだった!!すぐに恋人なれると思っていたから報告してなかっただけだ!その程度の気持ちなんかじゃない!!俺は世界で一番マナを愛している!!」
「クリス君。世界で一番マナさんを愛しているなら謝るべきだよ。君が泣かせて怒らせたんだ。愛している女の子にそんなことをしてはいけないよ。」
「…。」
「愛しているなら傷つけたことを謝りなさい。」
「ごめん。マナ。」
「はい。では両者謝罪をしたので今回は喧嘩両成敗ということで仲直りしましょう。」
「え。いやですけど。謝罪は受けましたが怒りと悲しみは収まりませんよ。」
「俺も謝罪はしたが許してはいない。浮気をするな。」
「…では一旦冷戦ということで。キスを迫ったり殴ったりする喧嘩はやめなさい。時間をかけて気持ちに折り合いをつけなさい。いいですね?」
「はい。」
「わかりました。」