表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/280

第62話 クロネコガール

びっくりした…

あんなに恥ずかしいことを恥ずかしげもなくまっすぐ言うなんて…

こっちが恥ずかしくなるよ

人から告白されることも

好意を向けられることも

よくあることだけれど

こんなに恥ずかしい気持ちになったのは初めてだった

今までの人達とは圧が違うよ

断ったのにこんなにぐいぐい攻めてくるなんて

ハァ…

正直ドキッとしてしまった

私も最強ヒロインだけど

相手も最強の王子様なんだ

女子達を虜にさせる天才だ

誰にも恋をしたことない私でさえ心が揺らいでしまった

恐ろしい男だ

恐くなって脱兎ごとく教室から逃げ出してしまった

逃げることだけは私は天才的に上手い

人気のない演劇部の倉庫のような場所に入り現在、現実逃避中だ

もうすぐ一限目が始まる

一限目はサボりになるだろう

真面目に生きようと決めたのに

朝一番でその目標も崩れ

自己嫌悪に陥る

いつもの癖でまた衝動的に逃げてしまった

あーーーーーーー

もうやだーーーーーー

私はいつもこうだーーーー

嫌なことから逃げ出してーーーー

問題を先送りにしてーーーーーー

逃げるだけで何も解決なんかしないのにーーーー

寧ろ問題が悪化するだけなのにーーーーー

クリス様とこれからどう接したらいいのかわからないーーー

頭を抱えて悶える

か、考えろ!

このまま恋に堕ちていいのか?

クリス様の恋人になれば

将来この国の王妃に?

え!!絶対やだ!!

そんな荷が重いこと出来るわけない!!

クリス様には悪いけどやっぱり私のことは諦めてもらう方向で話をしたい

どうすれば諦めてくれる?

私が嫌われるようなことをすればいいのかな

関係性も浅いしお互いのことを知らない部分が多い

私のダークな一面を見せれば幻滅される!!

いける!やれるぞ!!

考えて行動!!成長してるぞ!!私!!!

少し希望が見えて気持ちを持ち直す

二限目からは教室に入って授業を受けよう

私は一限目のチャイムが終わり、二限目までの休み時間に移動をしようと思い、倉庫のドアを開けようとすると

廊下で話し声が聞こえてきた


「おい。聞いてんのかよ。生徒会長さんよぉ。」

「た、タバコは校則違反だ。私の権限でタバコを許可する校則なんて出来ない…。」

「お前がこの学園のトップで支配しているんだろう?校則を変えるなんて簡単なことだろう?」

「そんなこと出来ません…。」

「あぁ?肩書きだけが立派で役立たずだなぁ!!」

無茶苦茶言う生徒はボコッと生徒会長のお腹を思いっきり殴った

「ゔっ」

生徒会長は思い切り殴られてその場で蹲る

「ハハハッ!!何も出来ないくせに偉そうにしてるから…」


「オラァァァァァァァァォァ!!!」

私は暴力をした生徒に思い切りビンタをして正義の鉄槌を下す

「スカーレット学園の悪を滅ぼす!!!私が来たからにはこの学園で悪事はさせない!!姿は漆黒!!心は純白!!正義の審判は中立を!!我が名はクロネコガール!!!」

私は演劇部の倉庫にあったクロネコのお面を付けてポーズを決めて参上する

思いつきで考えた登場セリフは中々良いのではないだろうか

「せ、聖女様…?」

生徒会長にあっさりとバレる。私の髪色は黒色でこの学園には私しかいない。すぐにバレた。

「クロネコガールだ。」

「あ、あの聖女様…。」

「姿は漆黒!!心は純白!!正義の審判は中立を!!我が名はクロネコガーーーーーール!!!」

「…クロネコガールさん。」

「なんだね?生徒会長君。」

「暴力はよくないかと…。」

「目には目を歯には歯を。暴力には暴力を。私が審判だ。」

「…さすがは聖女様。悪には厳しいですね。こんなに手荒な方法で正義を振りかざすとは予想外でしたが。」

暴力した生徒が私に話す

「聖女ではない!!クロネコガールと呼べ!!この愚民が!!!」

私は思いっきりそいつの腹を蹴っ飛ばす

「グハッ」

暴力生徒はその場に蹲った

「お前は三年のスーザン・クロードだな。タバコを吸う校則なんて出来るわけもない。何故ならこの国の法律で二十歳以上は吸えないのだから。それなのに理不尽な暴力をふるい、生徒会長に怪我をさせた。だから私が厳罰に処してやった。暴力で解決してやったんだ。安いものだろう?次にまたやればこの国の王様に報告をしてスーザン家は国から追放して貰う。」

「お前にそんな権限あるわけないだろうが!!白魔法がたまたま使えただけの平民ごときが!!偉そうに説教するんじゃねぇよ!!」

「権限あるんですよねー。それが。私の頼みは何でも聞いてくれると王様が言ってくれてますから。マブダチなんですよ私達。説教するのに血筋は関係ないでしょう?」

「あるに決まってるだろうが!!俺は!!有名なスーザン伯爵だぞ!!口答えするな!!」

「権力を振りかざし、暴力を振りかざす。そんなやり方では誰もついてきませんよ?貴方の血筋は尊いものです。でもそれを理由に人を傷つけることは許されません。」

「昔は上の者が下の者を従えていた。それでこの国は平和だったんだ!!下の者が偉そうに俺を見下すのが我慢ならねぇんだよ!!」

「それは貴方が努力して手に入れた力ではないものを振りかざして命令しているからです。貴方が相手のことを思いやり信頼関係を築いていればそんなことにはならないはずですよ。」

「何故下の者を気遣わないといけない!?黙って言うこと聞けばいいんだ!!」

「今も、昔も同じです。下の者が上の者の言うことを聞くのは信頼しているからです。昔だって上の者が嫌なやつだったら反乱や革命はよく起きていたでしょう?同じですよ。どの時代もね。」

「…。」

「何事にも歩みよってあげて下さい。それが上の立場の仕事ですよ。」

「チッ…。萎えた。もういい。わかったよ。」

「貴方はスーザン家を守るいい当主になれますよ。きっとね。」

「…。」

スーザン・クロードは去って行った

「…本当にスーザン・クロードはいい当主になれると思っているんですか?」

生徒会長のガーネット・スリーが言う

「あれはおまじないみたいなものだよ。言霊。お前はダメだとか出来損ないとか言われて育ったんじゃないかな?だから荒れてるんだよ。きっと大丈夫だよって誰かに言われるだけて少し救われるものだから。あとは彼次第だけど前よりはよくなると思うよ。」

「えっと…助けて頂きありがとうございました。クロネコガールさん。」

「また困ったことがあるならいつでも呼びなさい。」

「本当ですか?」

「え…まぁ…手が空いてる時なら…。」

「では生徒会の助っ人としていじめ撲滅に手を貸して頂けませんか?クロネコガールさん!!」

「え…?あの…そんな…。」

「とてもかっこよかったです!!俺感動しました!!学園にいる生徒達みんなに楽しい学園生活を送れるように是非協力して頂きたいです!!お願いします!!クロネコガールさん!!」

「姿は漆黒!!心は純白!!正義の審判は中立を!!我が名はクロネコガール!!この学園平和は私が守る!!」

「ありがとうございます!!」

とんでもないことに足を突っ込んでしまった

考えて行動するという決意はどこへいったのだろうか

でも目の前でいじめが起きていたら誰でも助けるものじゃないか

人はすぐに変わることが出来ない

衝動的で短絡的な自分に

おかえりと言っておこう








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ