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第61話 為せばなる

昨日、ミケお爺ちゃんに鬼のように怒られて反省をして心を入れ替えました

ニュータイプのマナです

昨日の私と今日の私は別人だ

昨日の自分との決別をして新しい自分に生まれ変わるということだ

生き様が変わると

人格が変わり

人格が変わると

運命が変わると

誰か偉い人が言っていたような気がする

とにかく私は心を入れ替えて生まれ変わったのだ

思いつきで行動しない

よく考えて行動をする

物事を楽に片付けようとしない

悩んで苦しんで苦労して手に入れたものに価値が見出せるんだ

そんなことをミケお爺ちゃんには教えられた

子供を誑かした児童ポルノの犯罪者とかも罵られたりもしたが

もう一度マオを誑かせば、私だけ追い出されることになった

アーネルド家も前世の親も厳しい方だと思っていたが

ミケお爺ちゃんが一番厳しい

そしてそれがとても嬉しい

スノーには本当に感謝しないとな

とてもいいお爺ちゃんと家族になれた

まぁ昨日は心バキバキに折られて

泣きながら怒られてたけど

それぐらいしてもらわないと

私のバカさ加減はよくならないだろし

そして人格が変わり真面目に生きていくと決意した私ですが、昨日の出来事で確認しないといけないことがあることに気がついた

“攻略対象と恋をする”

この定義が結構曖昧でわかりにくいこと

昨日のマオとのキスは未遂に終わったけれど、本当にキスすれば条件をクリア出来た可能性もなくはない

これはこの世界の神であるアルテミスに聞かないといけない

今はアルテミスと話せる聖杯はマリオお兄様が持っているらしいから

私はマリオお兄様にお願いをしてアルテミスと話をすること

それが今日の目標である

目標を持って行動をする

なんて真面目な人間なんだろう

真面目に生きると決意を胸に私はスカーレット学園へと登校する

下駄箱を開けると

死ね

アバズレ女

等のたくさんの恨みつらみのお手紙が入っていた

人が前向きに頑張ろうとしている時にこの仕打ちである

人生上手くはいかないものだ

昨日、クリス様に告白された後に断って、その後もずっと溺愛されているマナが女子からの好印象は得られるわけもなく

この状況は仕方のないことなのだろう

たくさんの人間からの恨みを買ったという事実に今日の学園生活に不安を抱えながらも

強く心を持って

教室に入る

「マナ。おはよう。今日も可愛いね。」

教室でクリス様に開口一番話しかけられる

「おはようございます。クリス様。」

私は微笑んで挨拶を返す

「笑いかけてくれるなんて。嬉しい。昨日は怪訝な表情ばかりだったから。そんなマナも可愛かったけどさ。」

クリス様をよくわからない宇宙人として接するのではく、私は向き合わないといけない

適当に遇らうのではく

私はこの宇宙人と会話をしないといけない

わからないことをわからないままにしない

手間でも面倒でもやらなくちゃいけない

本当に手間だし面倒くさいしやりたくないけれど

真面目に生きると私は決意したじゃないか

ここで頑張ればミケお爺ちゃんは褒めてくれる

…かもしれない

とにかくコミュニケーションをとらないと

為せば成る為さねば成らぬ何事も成らぬは人の為さぬなりけり

誰か偉い人が言ってた気がする

「私のどこが可愛いんですか?」

「全部だよ。」

「それではわからないです。私は会ってまもないクリス様に全部好きだと言われても信じることができません。具体的にどうしてなのか教えて貰えませんか。」

「…最初はマリオと仲良く話をしている笑顔に惹かれた。無邪気なその笑顔がとても眩して羨ましくもあった。俺にも笑いかけてくれないかなとそう思った。でも実際に話をすれば全然そんなことはなくて。むしろ嫌がって嫌悪感丸出しだった。仮にも一国の王子様に対してそんな態度をするなんて夢にも思わなかったからさ。凄く面白くて。もっと仲良くなりたいって思った。音楽室で初めて俺に笑いかけてくれたこと。俺は一生忘れないだろうな。本当に可愛くて嬉しくて独り占めにしたくて。マナに恋をした。その後、ニックと仲良さげに話をしている姿を見て嫉妬した。だから無理やり部屋に連れ込んだ。…天罰が下ったんだ。俺は君を失った。あの時の絶望も一生忘れないだろうな。聖女のパレードを見て一目でわかったよ。君だってね。そしてもう二度と君を失いたくない。誰にも渡したくない。そう思ったんだよ。」

「意外と…ちゃんとした理由があったんですね。初めからそう教えてくれたらよかったのに。」

「だって全部好きなのも本当だから。」

「理由はわかりましたが、それだけでは私がどんな人間なのかわからないですよね?本当はとんでもない大悪党かもしれませんよ?魔王を討伐して信用を得てこの国を乗っ取るかもしれませんよ。」

「マナにこの国を支配されるならそれはそれでいい国になるんじゃないか?」

「そう言うことを言ってるんじゃなくて。愛した人を信用しすぎるのはよくないと言っているんです。愛は世界を救うなんて言葉がありますが、この世界を滅ぼすのもまた愛ですよ。愛なんて不安定なものを信じてはいけません。最後に信じられるのは自分の努力だけです。」

「俺は今までの努力を捨ててもいいからマナが欲しいよ。マナは平凡な暮らしを望んでいるんだろう?マナが望むなら俺は全てを捨ててマナと駆け落ちして逃げてあげるよ。」

クリス様は本気で言ってる

平凡な暮らしを夢見てた私にとってそれは

心揺さぶられる誘惑だ

「…そんなの夢物語だよ。私はこの国の聖女で、クリス様はこの国の王子様だ。たとえ逃げたって捕まるよ。私達は逃れられない運命を背負って生きていくしかないんだよ。」

「俺は君が望むなら…」

「やめてよ!!!」

私は声を荒げてクリス様の言葉を遮る

「平凡な暮らしなんて望んでない。私はこの運命を背負って生きると決意した。だからもうそんなこと言わないで。」

「…ハハッ。怒る姿は初めて見たな。少し悲しい気持ちになるんだね。マナと一緒にいると新しい感情がたくさん芽生えるよ。」

「…ごめんなさい。クリス様は悪くないのに。声荒げちゃった。」

「いいんだ。俺が無神経だったよ。仲直りはこんなに暖かい気持ちになるんだね。」

「友達と喧嘩したことないの?」

「ないよ。マナが初めてだ。」

クリス様は嬉しそうに愛おしそうに言う

「マナ。愛してる。大好きだよ。マナの全部が好き。」

コミュニケーションに成功し

私はクリス様の言葉を信じることが出来てしまった

嘘偽りなく

私を愛おしそうに見つめるその瞳に

恥ずかしくなって

私は逃げ出した






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