第60話 魔塔の家族団欒
私は葉月ちゃんに別れを告げて魔塔へと帰る
私は帰ってすぐに夕飯の準備をしようと思ったが今日はミケお爺ちゃんが用意してくれていた
部活終わりに女子寮にも寄ったから時刻はもう19時になっていた
「おかえり。遅かったな。学園生活を謳歌しているようです何より。」
ミケお爺ちゃんが言う
「ありがとうございます。夕飯の準備は私の係なのに用意して貰って…。すみませんでした。遅くなって。」
「どうだった?」
「まぁ悪くはなかったと思いますよ。友達になれそうな人も何人かいますから。」
「それはよかった。」
「マナ。嫌だったり、辛いことがあったらいつでも言ってね。」
マオが言う
「マオありがとう。マオは優しいね。」
「今日は大丈夫だったの?嫌なことなかった?」
「嫌というか…ちょっと困ったことはあったけど助けて貰ったし大丈夫だよ。」
「何!?どうしたの!?」
「そんなたいしたことないから…。」
「いいから何があったか言って!」
「クリス様が…告白してきて…断ったのに抱きついたまま離してくれなくて…。」
「おい!!大事件だろうが!!なんですぐに言わない!!」
「でもローズ様が助けてくれたんだよ!!かっこよかったなぁ…。ローズ様が攻略対象なら全力で堕としにいくのになぁ…。」
「な、なんでそこでローズが出てくるんだ!!」
「ほんとにね。私を助けてもいいことなんて一つもないのにさ。借りがあるからって理由だけで助けてくれたんだ。めっちゃ好き。大好き。惚れた。」
「お、お前!!ローズと恋なんかしたら世界崩壊だぞ!?わかってんのか!?」
「この世界のルール意味わかんないよね。自由恋愛させてよね。」
「もうローズとは近づくな!」
「やだよ。ローズ様好きだもん。ローズ様は私のこと好きじゃないし大丈夫だよ。」
「僕は知ってるんだぞ!マナはローズとキスしてるって!!」
「な、なんで知ってるの!?」
「僕は元魔王だ!魔王の時はこの世界の全てが見えていたんだ!全部知っている!!」
「淡い初キッスだったなぁ…。」
「ローズの方からキスしてたじゃないか!ローズもまんざらでもないんだろ?危ないから近寄るな!!」
「禁断の恋って燃えるよね。」
「ふざけるな!!そんなことで世界崩壊させるつもりか!?」
「わかってますよ…。マオは冗談が通じないなぁ。真面目すぎるよ。ねぇミケお爺ちゃん?」
「マナが不真面目すぎる。マオは悪くない。」
「ねぇ。ミケお爺ちゃんは私に厳しくて、マオに甘くない?」
「マナは優しくするとダメになる。マオは厳しくするとダメになるからな。教育方針は子供によって変えるのは当たり前だろ。」
「私も褒めて伸びるタイプです!」
「マナは褒めたら調子に乗って暴走するタイプだろ。マナが暴走したらろくなことにならん。」
「人と関わらない引き篭もりのくせに謎に教育方針しっかりしてるのむかつく!!」
賑やかに夕食をみんなで食べなら三人で話をした。
食べ終わって食器を片付ける。
ミケお爺ちゃんがお風呂に入ったので私とマオが二人でリビングでくつろぐ
「ねぇ…マナ。攻略対象とはどうだったの?この人なら好きになれそうとかあった?」
「うーん。やっぱり恋は苦手だな。よくわからないや。」
「僕は?」
「え?」
「僕もこの世界の攻略対象者だよ?僕じゃダメなの?」
「そうなの!?」
「知らなかったの!?」
「こんな子供も攻略対象なんて倫理的におかしいでしょ。どういう設定してるの。」
「たぶんだけどマナが早くに魔王を倒すから俺の姿が十歳の子供なんだよ。二年で人間の成長で十歳になるのなら、僕は本来の設定では三年後に人間なるから二十五歳の大人の姿のはずだったんだ。」
「はぁ…。なるほど…。」
「学園生活も恋も嫌ならこのまま僕と恋人になれば世界崩壊しないよ?」
「ふむふむ。なるほど。」
「ね?僕と恋人に…。」
「じゃあちゅーしよっか。」
「え…。」
「恋人になるんでしょう?」
「そ、そうだけど…そんな急に…。」
「どうして?私とキスして恋人になれば世界崩壊しないんでしょう?私が好きでこの世界が救えて何を迷う必要があるのかなぁ?」
私はマオに顔を近づけて迫る
「あの…心の準備が…!!」
バシーーーーーンと私の頭が叩かれる
ミケお爺ちゃんがお風呂から出てきたようだ
「いったーーーい!!」
「何をやっとんるじゃ!!このバカ!!!」
「ちょっとした冗談でしょう?」
「タチの悪い冗談をするな!!お前はいつも思いつきで考えなしに適当に人を誑かしては地獄に墜とす!!悪魔のような女だ!!」
「ひどい!!そんなつもりないのに!」
「悪気がないのがさらにタチが悪い!!お前の顔面は凶器なんだよ!男はそんな風に迫られたら狂うんだ!!自覚しろ!!」
「だって…マオが私と恋人になりたいって言うからちょっとからかってやろうと思って…。」
「ふざけるな!!こんな子供誑かして遊ぶなんて!!お前の魔性のせいでマオがおかしくなるだろうが!!」
「そんなつもりないもん…。」
「口答えするな!!二度とするな!!」
その後、私はミケお爺ちゃんにニ時間程長々と説教をされた
泣きべそかいて反省してたのに全然許してくれなかった
もう二度とマオを誘惑しない…