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第6話 モブ令嬢になるために

「神様ーーーー!!」

 まだまだ聞きたいことがあったので聖杯を振りながら神様を呼ぶ

 すると聖杯は眩い神聖な白い光を綺麗に灯しながら神様が答えてくれた

 「早速使ってくれて嬉しいよ♡そんなに僕と話したかったのかな?華ちゃん!でも聖杯を振るのは辞めようね!その聖杯壊れちゃうと困っちゃうからね!」

 「神様!葉月ちゃんと原田さんは元気にしてるの?大丈夫なのかな?」

 「まぁ元気にしてるよ。」

 よかった…みんな幸せになってほしい

 「ねぇ…このままだとまずいの?」

 「まずいねぇ。精霊の力に目覚めるのは本来なら十二歳頃だけど、王家や貴族は早くに覚醒することがあるんだ。天才と言われたりするんだけどさ。華ちゃんは精霊達が待ちきれなくてあと半年ぐらいで覚醒しそうなんだよ」

 !?!?

 「本来のゲームの設定でもヒロインの白魔法覚醒は十歳でそれでも凄い事なのに華ちゃんは七歳で覚醒しそうだよ〜流石ヒロインの鏡だね!」

 「いやいやいやいや!?あの私が白魔法覚醒したら葉月ちゃんと私の魂入れ替えさせられるんでしょ!?」

 「もちろん。その約束だからね」

 どうしよう…どうしよう…どうしよう…

 「アーネルドらしく大人しくすればいいって神様言ってたよね?そしたら大丈夫なの…?」

 「可能性があるだけ。精霊達はみんな華ちゃんのことを待ち遠しくしてるぐらい愛してるよ。葉月ちゃんの魂に行くことはほぼないと思うけど」

 「そう…なんだ…」

 やっぱり私のせいで葉月ちゃんに迷惑かけちゃったな。それにアーネルド家の家族、アリサ、レイ…大好きなみんなとお別れになっちゃう…

楽しい毎日で本当に…楽しい毎日で……ちゃんと気をつけなくてはダメだったのに私ホントにバカ

 「そんなに落ち込まないでよ。あっちのヒロインの家族もとてもいい人達だからさ!」

 でもそのヒロインの家族の娘は葉月ちゃんだよ。入れ替わって私になったらガッカリされるんだろうな…

 「華ちゃん〜元気出して〜」

 「フフッ」

 神様が落ち込んでる私を必死で慰めようとしてくれる声がしてつい笑ってしまった

 「私バカだけどこれからアーネルド家らしく頑張ってみるよ」

 「華ちゃん…」

 「私はもう佐々木華じゃないよ。アーネルド・マリア。この国の伯爵家の娘であり知的な参謀役はこの国の危機を多く救ってきた由緒正しき家系。」

 私はアーネルド・マリアとして育った証をこの家の娘であることを必ず見せてやる

 「神様忠告ありがとうございます。私頑張りますね。」

 「神様じゃないよ。」

 「え?」

 「アルテミス。僕のこと聖杯で呼ぶ時はアルテミスって呼んでね。」

 

 

 次の日。私は朝食を食べて図書室で勉強をする。とにかく知識をつける。貴族らしさとは何か。マナーや教養をとにかく身につけよう。レイに頼んでダンスのレッスンをして、お母様のように気品溢れる落ち着いた貴族になれるように

 「マリアお嬢様いきなりどうしたんですか?ダンスのレッスンなんて…」

 レイが言う

 「別に。昨日アーネルドらしくないって怒られたからアーネルドらしくなろうと努力してるだけよ。」

 「そんな…マリアお嬢様はまだ子供なんだしそんな急いで貴族らしくしなくても…」

 「ダメよ。私はアーネルド家の一員として落ち着いた立派なレディになるんだから」

 次の日もその次の日も…努力した。馬鹿みたいに笑わない。落ち着いて冷静なアーネルド家の一員として生きていきたい。こうして一ヶ月が過ぎた

 

 

 「なぁ…マリアお嬢様ホントにこれでよかったのかな?俺は前みたいに笑顔ではしゃいでるマリアお嬢様が見たいよ…」

 「……」

 「まだ六歳の子供が毎日勉強漬けで生活しててどんどん笑わなくなるし…」

 「……」

 「俺もう耐えられねーよ。マリアお嬢様とまた毎日笑って…遊んで…暮らしてぇよ…」

 「それは…私達が口出せる問題ではないわ。マリアお嬢様は私達のような庶民ではない。人の上に立つ立派なアーネルド家の人間よ。」

 「別に前のお嬢様だっていいじゃないか!なんで笑わねーんだよ!マリアお嬢様何も話してくれないし、もう見てられねーよ!これが立派な人間を目指す貴族の教育なのか?おかしいだろうが!!」

 「やめなさい。追放されるわよ。」

 「だって…」

 「誰もマリアお嬢様に今の生活を強要なんてしてないわ。マリアお嬢様自らが望んで取り組んでいるのよ。私達はマリアお嬢様の成長を見守るべきよ」

 「アリサ本当にそう思ってんのかよ…」

 「…そうよ」

 「嘘つけよ。マリアお嬢様がこうなってからお前だって笑わなくなったしいつも心配そうに見てるじゃねーか。本当はやめて欲しいんだろが」

 「…私はずっとマリアお嬢様にアーネルド家らしくするように説教してきたわ…だから今更…前のように戻れだなんて…」

 そういいながらアリサの目から涙がぽろぽろと流れる。レイもその姿を見て涙を堪える。

 

 「もう…泣かないでよアリサ」

 図書室から帰ってきた私が声をかける

 「心配しないで。本当に私のやりたいことをやってるだけなの。だから泣かないで。私はアーネルド家として今頑張りたいだけなの。」

 私はただ…大好きなみんなと離れたくないだけだよ

 

 

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