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第54話 新生活

私は泣き疲れてそのまま寝てしまったらしい

目が覚めるとお兄様の姿はなく

隣でマオがいつも通りにベッドで一緒に寝ていた

鏡を見ると泣き腫らしたブサイクな顔が映り込む

私は白魔法で腫らした目を治す

朝食は私が担当なので、朝食を作りにキッチンへと向かう

「お前が泣き喚くからうるさくて寝れんかった。」

朝一に小言をミケお爺ちゃんが言う

この時間は寝ていることが多いのに起きているのは珍しい

しかも、昨日は眠れなくて睡眠時間が短いはずなのに

「ちょっとノスタルジーに浸ってしまいました。」

「十五年しか歴史がないくせに一丁前にノスタルジーに浸るな。」

「人間は日々進化しているんですよ。昨日の自分でも私はノスタルジーに浸れます。」

「過去に浸る暇があるなら現実を生きろよ。時間なんてすぐに過ぎ去る。やりたいことやしたいことをたくさんやればいい。」

「私特にないんですよね。やりたいことって。」

「つまらん人生だな。」

「ふふっ。そうですね。私は人生プラスマイナスゼロ信者なんですよ。大きな幸せには大きな代償が必要であり、リスクが伴う。小さな幸せなら小さい代償で済む。私は小さな幸せを積み重ねていくことが目標ですね。」

「じゃあなんで魔王を倒して世界平和にした?」

「私はどうも困った人とか見過ごすことが苦手な性格でして、助けて欲しい人を放っておく方が罪悪感で後悔してしまうんですよ。だからいつも助けてしまう。これは私が罪悪感を残さない為だけの行動であり、ただのエゴだ。周りの人達は優しい人だと見えるかもしれないけれど、私は優しさで助けてるわけじゃない。自己中心的な人間だよ。だから世界が救われたのもこの世の全てを平和にしたいとう理念なんてあるわけもなく、私の我儘でしかない。」

「それで世界が救えるのが恐ろしいな。」

「この世界の神様が私推しなんですよ。チート機能が搭載されてます。」

「それで世界を救った代償は大きなものだったか?」

「死にかけはしましが、本当に代償を払うのは今日からの学園生活ですね。」

「だからサボっていたのか?」

「まぁ…そうですね。」

「お前は苦労した方がいいから学園に通った方がいいだろうね。」

「えぇ…。井の中の蛙でありたかった…。」

「お前のような人間は味方も多いだろうが、敵も多いだろうからな。」

「はぁ…。行きたくない…。」

「まぁお前神経図太そうだし、大丈夫だろ。」

「…もしかして心配してくれてます?」

「頭が花畑で何よりだな。ワシはお前が社会不適合者のクズで苦しんでる姿を面白がっているだけだ。」

「人と関わるのが嫌で魔塔に何年も引き篭もってる人に言われたくないんだけど。」

「お前もあわよくばこのまま引き篭もって生活するつもりだったくせに。昨日はサボりがバレて泣いてたんだろう?」

「泣いてたのはノスタルジーに浸ってたからです!」

「はいはい。わかったよ。学園生活でたくさん苦労してこい。いつかその苦労をしてよかったと思える日がくるよ。何か嫌なことがあったら話してみろ。笑ってやるから。」

「ミケお爺ちゃん好き。」

「じじいに色仕掛けするな。」

やはりミケお爺ちゃんは私が泣き喚いていたことを気にして朝起きて様子を見にきてくれたようだ

どうやら私が不登校児で学園に行くのが嫌で泣いていると思ってそうだけど

まぁ半分はそうなんだけど

ミケお爺ちゃんに慰められて少し心が軽くなって学園に行くことが出来そうだ

お礼の気持ちを込めて今日はミケお爺ちゃんの好きな秋刀魚を焼いて朝食にした

マオも起きてきて三人で食事をする

そして私はエラート・マナとして初めて学園へと向かう

特進クラスへ初めて入った

クラスに入った瞬間ざわつく

どこに行ってたの!?

旅に出たって聞いてたけれど…

早く!!クリス様に伝えろ!!

と騒ぎになった

クラスの誰かがクリス様に伝えたらしく、クリス様がすぐに教室にやってきた

私の姿を確認すると抱きしめてきた

「よかった…!!!この一ヶ月探したけれど見つからなくて…。」

「あ…心配かけてすみません…。」

「もう絶対に離さない。姿が変わっても愛してる。俺の恋人になってくれ。」

「お断りします。」

教室の空気が凍る。

「…どうして?俺はこの国の王子様だし、顔もいいし、勉学も出来るし、魔法も強いし、剣術だって出来る。俺以上にいい男はいないぞ?」

「いや。興味ないですね。これっぽっちも。そろそろ離してくれませんか?」

「…。」

「私達会話もそんなにしたことないし、何も接点なかったですよね?私はクリス様のこと全然知らないし、いきなり告白されても困ります。私のどこを好きになったんですか?」

「全部。」

「…。」

「マナの全部が好きだ。愛してる。結婚しよう。」

「クリス様は私のこと何も知らないですよね?何故全部好きなんて言うのですか?」

「お前がたとえ大悪党だったとしてもこの気持ちは変わることはない。」

「だからーー!!なんで?どうして??話したことほとんどないのに??」

「理屈なんかない。惚れたから。お前しか見れない。」

真剣な眼差しでずっと抱きしめられながら言われる

理解が出来ない

わからない

信用できない

私の何をみて惚れたのか

何故そんなに心酔するのか

全然わからない

幻想の聖女様を愛してるだけじゃないのか

思ってたのと違ったとすぐに幻滅するんじゃないのか

恋って本当によくわからない

こわい




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