表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/280

第51話 閉じた世界

私とマオは魔塔で暮らすことになった

魔塔はミケお爺ちゃんが一人で自給自足して暮らしていたようだ

魔塔の近くには畑があり、畑で野菜を育てて食べていたらしい

食にはあまり関心がないらしく、野菜をそのまま食べていた

街へ買い物に行って食べ物を購入すればいいのにと言うと

めんどくさいから嫌だと研究する時間が減るからと言われた

野菜を育てる時間の方がめんどくさそうなのにと思ったけれど口にはしなかった

私とマオは育ち盛りなので野菜だけ食べる生活に合わせるわけにはいかないので街へ買い出しへ行く

思えば貴族社会で十五年間暮らしていたから食材の買い物や料理をすることは前世ぶりになる

異世界とはいえ、私の知っている食材が多くてよかった

久しぶりの料理はカレーを作ることにした

定番だし、失敗しにくいからだ

マオに包丁の使い方や調理方法を教えながら料理をすることは楽しかった

出来上がったカレーはとても美味しく出来て

ミケお爺ちゃんとマオに褒められた

「お前にも人に役立つ特技なんてものがあったんだな。」

「僕、人間になって初めてマナが凄いと思ったよ。」

と言われた

棘があるが、とても喜んでたくさん食べてくれたので嬉しい

朝食、夕食は私が担当することになった

掃除、洗濯はマオが担当

ミケお爺ちゃんは昼食にサラダを作る担当

そして魔法実験もとい私達の魔法修行が始まる

私の白魔法は制御が難しくなってしまっていた

少しだけ白精霊を呼び出そうとするが大量に集まり、体に負担がかかる

覚醒してからすぐに魔王を浄化するほどの大きな力を使用したから白精霊達も感覚がバカになってしまっているらしい

少しだけ魔法を使う練習をミケお爺ちゃんと行う

白魔法の効果は三つ

一、魔物の浄化

二、回復魔法、治療魔法

三、他の魔法使いの力を倍増させること

私は三つめのミケお爺ちゃんの魔法を少しだけ強化する修行をした

初めはミケお爺ちゃんの魔法をすぐに暴走させてしまい

、失敗ばかりだった

「心を落ち着かせろ!浮かれて頭のネジがいつも緩んでいるから白精霊が暴れるんだよ!」

「白精霊達をすぐに喜ばせるからこんなことになるんだ!」

「もっと卑屈になれ!」

「世の中全員お前が嫌いだと思え!!」

「私は人をイラつかかせるゴミ人間ですと言え!!」

「わ、私は人をイラつかせるゴミ人間です…。」

「もっと大きな声で言え!!」

「私は!!人をイラつかせる!!ゴミ人間です!!」

「そうだ!!お前ゴミだ!さあ!白魔法を使ってみろ!」

「はい!!」

この時、初めて力を抑えることに成功した

「白精霊はゴミ人間には力をあまり貸さないらしい。よかったな。力を抑える方法が見つかって。」

「どの精霊もゴミ人間は嫌に決まってるじゃないですか…。」

こんな修行を続けてたら私の心が折れる


マオの修行は順調だった

マオも力を制御する練習だが、私も違って精霊の力を借りているわけではなくマオの魔王の力だから

心を落ち着かせて使用することで制御することが出来ていた

問題のくしゃみはスノーから薬を貰っているようでくしゃみが出なくてなっている

一人で買い物程度ならすぐにできるようになりそうだ

マオの力で今確認出来ているものは

一、破壊

二、触れた対象の心を読む

三、洗脳

今確認出来るのはこの三つだ

マオが魔法を使う度にミケお爺ちゃんは大興奮していた

「素晴らしい!!」

「この目でまさか黒魔法を見れる日が来るとは!!」

「うおおおおおおおおおおおおおお!!」

とうるさく叫んでいた

私の時は人の尊厳を奪うような修行なのに

マオは存在の全肯定するような反応する

でもまぁ…この世界でここまでマオを好意的に見てくれる人なんてほとんどいない

マオは元魔王であり、約30人殺した罪がある

一般的に好意的に見られることはまずないだろう

しかし、このミケお爺ちゃんはマオの存在に大喜びだ

マオの魔法にしか興味がないのかもしれないけれど

それでもマオのことを気に入ってくれているのは嬉しい

この世界はまだまだ元魔王にとっては厳しいことばかりだ

まだ魔塔で引き篭もって閉じた世界でしか見せてあげれないけれど

それでもここが心地よくて幸せだと感じてほしい

私達は約束したから

二人で笑顔で寄り添って生きようと


私は魔塔で

閉じた世界で

最上級の幸せを噛み締めて一ヶ月程過ごしていた


「探したよ。エラート・マナ。体はもうよくなって学園にはもう行けるんだろう?いつまで遊んでいるつもりだ?」


八階の魔塔の窓から侵入してくる

聞き覚えのある声

かつて私のお兄様だった人

アーネルド・マリオ


「遊びはもうおしまい。お前にはまだ役割があるだろう?世界最強のヒロイン様。」


閉じた世界で暮らす幸せな日々は終わり


学園という恐ろしい世界へ旅立つ時間が来たようだ








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ