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第42話 魔王討伐

私達は魔王の森へ降り、魔王がいる森の奥へと進んで行く

奥に進むにつれて化け物も多くなってきた

襲ってくる化け物達は触れて浄化させて元の動物に戻していった

そして遂に魔王の姿が見えた

魔王は全長30m程ある大きなドラゴンだった

魔王がこちらに気づいて振り向く

その瞬間、魔王の鼻息がこちらに吹き

風圧だけでこの一帯全てを跡形もなく吹き飛ばした

私は白精霊に守られて無事だった

スザク様も私の後ろに咄嗟に隠れた為、無事だった

鼻息に触れていたら吹き飛ばされて死んでいただろう

なるほど。これでは誰も近づかないのも納得だ

すぐに即死した理由も納得だ

「スザク様すみません。さすがに守りながらは戦えなさそうなので逃げて貰えますか?」

「バカ言え。俺はお前を生きて連れて帰らなければそれはそれで極刑だ。鼻息だけで全てを破壊するんだ。もう引こう。姿を報告するだけでも大収穫だ。」

「見てください。私はかすり傷一つありません。このまま魔王を倒しに行きます。」

「ダメだ。危険すぎる!」

「危険と判断したら逃げます。30分だけ私に任せてくれませんか?30分以内に全てを片付けます。」

「…10分だ。10分経っても倒せなかった場合必ず逃げろ。」

「早くないですか?」

「長いぐらいだ!一瞬で無に消すような力相手に10分も戦うんだ!」

「うーん…わかりました。」

「無理だと思ったらすぐに逃げろよ!」

「はい。」

スザク様は風魔法で遠くへ逃げて行った

「さてと。魔王さーん。意思疎通が可能なタイプでしょうか?話すことは出来ますか?」

ドラゴンの魔王は怯えたように震えている

私とスザク様が話している間も反対方向を向いた状態で何もしてこなかった

私は一歩一歩魔王に近づく

「こ、来ないで!!」

魔王が喋った

魔王はこちらを向かず、震えた状態だ。

「どうして?近づいたらダメなの?」

「も、もう…誰も殺したくないのに…ここに来る人間は僕に近づくだけで皆死んでいった。」

「私を殺したくないの?」

「もう誰も殺したくない!」

「この世界が憎くないの?人間が醜くて嫌いじゃないの?」

「…この世界はこんなにも美しいのに憎むわけないだろう?」

「…ブッ。フフフフッ。アハハハハハハ!!あーお腹痛い!!」

「何がおかしい!!」

魔王がやっとこっちをみた

息だけでまた全てを吹き飛ばす

白精霊に守られているとはいえ、少しだけ服が破けた


「まさか魔王に世界の美しさを説かれるとは思わなかったからさ。」

「この世界が美しくても、好きでも僕は人を殺したり、動物を化け物に変えたり、破壊することしか出来ないんだ!!僕はなんで生まれたの?こんなことしたくないのに!!」

「もうしなくていいよ。」

「したくなくてもしてしまうんだよ!だからこうやってなるべくしないように森で息を潜めているだろう!?」

「そうじゃなくてさ。私がその力浄化してあげる。普通の人間にしてあげる。」

「…本当にそんなことが出来るのか?」

「できるよ。私を信じて。」

私は手を差し出す

「僕に触れたら死ぬよ?」

「死なない。約束する。貴方に二度と人殺しなんてさせない。」

魔王の目から涙が溢れる

「無理だよ。そんなの。剣で僕の心臓を貫いて殺してよ。」

「私に殺す才能はないの。私が出来るのは救うことだけ。」

「僕は救われるような存在じゃない。たくさんの人間を殺した。」

「貴方の意思ではないんでしょう?」

「そうだとしても僕のやったことは許されるべきことではない。」

「…世界中の人間が貴方を許さなくても、私だけは貴方を許します。」

「なにいって…」

「貴方の罪を私も背負って生きていく。だから…私の罪も背負って一緒に生きてください。」

「…。」

「私はこの世界が嫌いになったのでここに来ました。貴方の世界征服の理由次第では、魔王の手下になって一緒に世界征服でもしようかなと思っていました。それに別に死んでもよかった。私の人生は終わったようなものだったから。」

「…。」

「でも…フフフッ。まさかこの世界が美しいなんて言われると思わなかった。魔王の方がこの世界に希望と未来を抱いてるんだもん。笑っちゃう。」

「…。」

「…貴方と一緒にもう一度この世界を生きてみたくなった。まさか魔王に救われるなんてね。」

「…僕が君を救ったの?」

「うん。ありがとね。貴方は破壊するだけじゃない。私と一緒ならなんでも出来る。光と闇の最強が揃えば怖いものなんてないわよ!」

「…僕はもう破壊なんてしたくない。一人でここでいるのはもういやだ…誰かと一緒に寄り添って生きてみたい。君と笑ってこの世界を過ごしてみたい!!」

魔王が私の手を取る

私の手は鉄板で根性焼きしてるかのように熱く痛かった

浄化が追いついていない

どんどん腕まで火傷が酷くなっていく

このままでは体が燃えて死んでしまう

でも…

貴方に二度と人殺しをさせないと誓った

負けるわけにはいかない!!

「お願い…白精霊達!!もっと力を貸して!!私はもう二度とこの子に絶望を与えたくない!この子をもう二度と一人になんてさせない!…やり直すんだ。もう一度。この子と一緒に私の人生!!この世界は美しいって言ったこの子を私は信じてる!!」

私と魔王は白く神々しく大きな光を放つ

「はあああああああああああ!!!」

魔王の姿はドラゴンではなく、人の姿へと変わっていき、十歳ぐらいの男の子になった

私の手と腕は大火傷したものの、魔王は浄化され

世界は平和になった




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