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第37話 笑った顔がみたい

まさか風魔法で逃げ出すとは…

余程アーネルド・マリオはアーネルド・マリアと俺を引き剥がしたいらしい

学園では授業以外では魔法を使うことを禁止されているのにも関わらず、堂々と国の王子の前で逃げる為だけに使うとは

異常な執着に見える。

俺は始業時間まで時間を潰し、始業時間前にアーネルド・マリアのBクラスに尋ねに行った。

「アーネルド・マリアはいるか?」

俺がBクラスの生徒達に尋ねると、とても驚いていた。

「マリアは今日体調不良で休みです。」

一番近いBクラスの生徒が答えてくれた。

「今日早朝水やりをしているのをみたが?」

「その後体調不良になったらしいです。お兄さんのマリオ様が連絡してくれました。」

「そうか…。ありがとう。」

俺はそのまま立ち去ろうとすると

「あの…マリアは何かしたのでしょうか?」

呼び止めたのはイベルト・カイ。Bクラスの生徒だ。

「いや。何も。」

「そうですか…。よかったです…。」

「アーネルド・マリアと親しいのか?」

「え?えぇ。普通に親しいクラスメイトです。」

「アーネルド・マリアは人見知りじゃないのか?」

「いえいえ。クラスメイトともよく話すし、よく笑う普通の女の子ですよ。」

「今日俺の前では兄の後ろに隠れて一言も話さなかったが。」

「何故かマリオ様は過保護なんですよね。マリアが誰かと親しくすることが嫌みたいです。」

「そうか。ありがとう。教えてくれて。」

「大丈夫です!いつでも聞いて下さい!!」

俺はBクラスを去った。

アーネルド・マリオは人見知りなんて嘘を吐いてまで交友関係を引き裂こうとしているのか。

アーネルド・マリアが可哀想じゃないか。

あのシスコンの前では話かけない方が良さそうだな。

その後、何事もなく一日を過ごした。


次の日、アーネルド・マリアが一人で水やりをしているかもしれないと思い、朝早く起きて中庭へ向かう。

そこには一人で水やりをしているアーネルド・マリオの姿があった。

まだ体調不良で休んでいるのか。

俺は特に用もないので立ち去ろうとすると

「クリス様。先日は急に姿を消してしまい申し訳ございませんでした。」

マリオに話しかけられた。

「学園で禁止されている魔法を使って堂々と逃げるから流石に驚いたよ。」

「申し訳ございませんでした。妹が急に体調を崩してしまい…」

「本当に体調不良なのかな。少し前まで元気にはしゃいでいたように見えたけど。」

「急に崩したのです。無礼で申し訳ございませんでした。罰則なら受けます。」

「いいよ。気にしていない。誰かに話して罰則をなんて思っていないから。」

「寛大な心遣い感謝致します。よかったら如何でしょうか。一緒に水やりしませんか?」

「今日はいいよ。」

「どうしてですか?水やりを一緒にやりたがっていたのに…。…興味があるのは水やりではなく、マリアですか?」

「そうだと言ったら?」

「何故話したこともないマリアを?」

「別にいいだろう?シスコンも大概にしろよ。」

「よくないです。二度と関わらないで下さい。」

「いい加減にしろ。何故お前が決める?マリアはクラスでは人見知りをしないよく笑う女の子だと言っていたぞ。何故人見知りだなんて嘘をついてマリアの交友関係を閉ざす?マリアが可哀想だろう?」

「その話をどこで聞いたのですか?」

「Bクラスでだ。」

「わざわざBクラスまで行ってマリアを探しに行ったのですか?」

「しつこいぞ!お前には関係ないだろう!!」

アーネルド・マリオは頭を下げる

「お願いします。マリアと二度と関わらないでください。」

「…どうしてそこまでする?お前異常だよ。」

「あいつには前世の記憶があるのです。」

「前世?」

「はい。あいつの前世はとびきり可愛くて美人でモテまくった為苦労したんです。」

「モテていたのに?」

「誘拐、監禁、痴漢…色々な犯罪に巻き込まれたそうです。」

「それがどうして私がマリアに近づいてはいけない理由になる?」

「あいつが望んでいるのは平凡な幸せです。普通の暮らしに誰よりも憧れを抱いています。国の王子に気に入れたら平凡な平和が崩壊します。恨みや嫉妬を買ってあいつは苦しむことになる。」

「…。」

「あいつには平凡な暮らしをして欲しいんです。お願いします。二度と関わらないで下さい。」

「…わかった。」

「ご理解して頂きありがとうございます。」

俺は中庭を去った。

前世?なんの話だ?

そんな話をでっちあげてまで俺とマリアを関わらせたくないのか?

アーネルド・マリオのシスコンは筋金入りだな。

やはりアーネルド・マリオの前では話しかけられないな。

Bクラスで見かけたら話しかけよう。

早く笑った顔がみたいな。

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