第324話 ストーカー
冬休みが終わり、3学期が始まる
スカーレット学園生活ももうあと残り3ヶ月だ
進路も決まり、卒業の準備が始まる
私達が所属していた生徒会も引き継ぎの準備をしている
今はマリアちゃんと2人で生徒会室の断捨離をしているところだ
「あっという間にもうすぐ卒業ですね。」
「聖女様は波瀾万丈の3年間だったんじゃないですか?」
「揶揄わないでよ〜。まぁ何回も死にかけたし、そういう意味では波瀾万丈だったかな。」
「卒業したら平和に過ごせるといいわね。」
「どうだろう?世界唯一の聖女という肩書きは需要か高いみたいだから命は死ぬまで狙われそうだけどね。」
「入れ替わらなかったら私が聖女だったのにね。マナちゃんは平穏な生活を望んでいたのに…」
「入れ替わったのは私のせいだから。入学前までマリアとして生活することが出来たこと感謝してる。マリアちゃんには苦労かけちゃってごめんね。」
「少しでもマナちゃんの役に立ててよかったわ。今も支えてあげれたからいいんだけど…モブ令嬢なんて力ないからね。見守ることぐらいしか出来なくてもどかしいわ。」
「マリアちゃんに見守ってもらえてるだけで私は幸せだよ。」
「私が手伝えることがあればいつでも言ってね。」
「ありがとう。マリアちゃんはいつも優しいね。」
「マナちゃんほどじゃないけどね。」
「マリアちゃんは卒業後は何をするの?」
「私もキッカ国へ行くわよ。」
「え!?ピアノを本格的に学ぶの!?」
「いいえ…私はレックスと一緒に組んで音楽活動をキッカ国でするのよ。」
「アイドル文化を広めようってこと?」
「そうね。私が前世の知識から楽曲提供してレックスにアイドルとして歌って踊って貰うわ。」
「えぇ…すごい競合相手だ…黒船襲来だよ…」
「マナちゃんもクラシックやめてアイドルに転身したら私がプロデュースしてあげる。」
「私は1日で引退したからいいの。」
「もったいない…」
「1日だけだから伝説のアイドルとして語り継がれるのよ。復活なんてしたれ冷めちゃうでしょう?」
「全人類喜ぶと思います。」
「私はアイドル向いてないから。」
「アイドルになる為に生まれてきたような圧倒的なカリスマだけどね。」
「クラシックの方が老若男女誰でも楽しめるからいおのよ。刺激はなくても長く楽しめるからね。アイドルは短命だから。」
「3年でレックスには武道館立たせてあげたいわね…」
「キッカ国に武道館あるの!?」
「冗談よ。アイドル文化がないからクラシックのステージしかないのは難点ね。初めは野外ステージをゲリラライブさせてファンを増やしていくつもりよ。」
「初ゲリラライブ行きたいなぁ。私も1日中音楽漬けにされるだろうから行けるかわからないけれど…」
「フフッ。でも好きなことして生きていける未来になってよかったわ。」
「マリアちゃんはレックスと一緒に音楽活動することが好きなことなの?」
「レックスはおまけよ。私はマナちゃんの側で見守れるからそれが嬉しいの。」
「えぇ〜?そんなこといって本当はレックスが好きなんじゃないの?」
と私が言った瞬間に空気が凍った
マリアちゃんの雰囲気はピリピリと気が張り
視線は冷淡だった
失言
まさに失言をしたなと痛感する
「…私はマナちゃんが1番好きなの。この命もこの人生も何もかも捧げられるぐらいマナちゃんが大好きなの。他には何もいらないの。」
力強く凄みを感じる
マリアちゃんは私の為に魂の入れ替えを行った
私の為に人生を捧げて命を賭けた実行犯だ
それなのにその気持ちを否定するような言い方をしたのは失礼だ
怒らせて当然だ
「…ごめん。」
「謝ることないよ。私はマナちゃんが好きだとわかってくれたらいいだけ。前世も今世も来世も私は絶対にマナちゃんに恋をする。この恋が前世も今世も来世も実らなくても、私の恋心は失恋したりしない。この恋は永遠にマナちゃんにだけを愛する。」
「…それで幸せ?」
「永遠にマナちゃんを愛することが出来るなんてこんなに幸せなことはない。この魂もこの身体も全てマナちゃんに捧げられる幸せ。この世界の神様は大嫌いだけれど、マナちゃんと同じ世界に転生ささてくれたことは感謝しなくちゃね。」
「うん…」
私のことが好きな人はたくさんいる
私を好きになっておかしくなっていった人を何人も見てきた
幸せの価値観は人それぞれだから否定してはいけないと思いながらも
どうしても幸せそうに見えないのは私の価値観の押し付けになるのだろうか
私を未来永劫愛すると言うマリアちゃんに
恐怖を抱くのは失礼すぎることだと思うけれど
こわいと思ってしまった
ストーカーしている人は
本当に幸せなのだろうか
目を覚ましてあげた方がいいと思うのは
私の傲慢だろうか
「マリアちゃんは私にして欲しいことある?」
「クリスと別れて欲しい!!」
「…それは難しいかな。」
「アハハ!冗談だよ!」
「冗談かぁ…」
「本気にしてもいいけどね!」
「…。」
「アハハ!!」
とてもとても優しかったマリアちゃん
今もずっと変わらず優しいはずなのに
こわい




