第312話 モモフル城デート
モモフル国はスリーとかいう男の力で一瞬で陥落させた
スリーなんて聞いたことない下級貴族だったけれど
頭も切れて力もある恐ろしい男だった
ハーバランド国やラブラドール国もスリーが本気を出せば1人で国家転覆させることも出来そうだ
絶対に敵に回してはいけない
こんな脅威的な男がいるなんて知らなかった
ほとんどスリーのおかげでほぼ1日でモモフル国の事件は解決した
学生の修学旅行をモモフル国家と魔女アーリナに台無しにされて落ち込んでいたが、1日だけ自由行動が許された
「一緒にモモフル城へ行かないか。」
とエド様からデートの申し込みをされて心は浮きまくっている
修学旅行ってすごい
神イベントすぎる
私は2つ返事で了承して明日はエド様とモモフル城へデートに行くことになった
好きな人に誘われてデートするってこんなにも嬉しいものなのか
洋服は制服だから変えられないけれど
髪型は変えてみよう
ブロンズ髪を夜から巻いて、明日は巻き髪になるようにしよう
肌はパックをして少しでも美人に見えるようにしよう
ドキドキわくわくして眠れない
目に隈ができたら最悪なのに
幸せな葛藤を抱きながら私は眠りにつく
恋をするって本当に楽しい
朝の支度にこだわりすぎて待ち合わせ時間のギリギリになってしまった
最悪だ
エド様と一緒にいられる時間が減ってしまう
私は待ち合わせ時間ギリギリに着くとエド様はもう既に待っていた
「ごめんなさい…準備に時間がかかってしまって…」
走ってきたのでせっかくセットした髪もボサボサになっている最悪
あんなにこだわって時間かけてセットしたのに…
「全然大丈夫だよ。あれ?今日は髪がくるくるなんだね。デートだから?」
「あ…はい。」
「似合ってる。」
どうしよう…今日私、死んじゃうかも
いつも態度が冷たいエド様が何故か今日は甘々だ
ギャップがやばいえぐい
こんなん誰でも好きになっちゃうだろ
好き
私達は歩いてモモフル城へと向かった
「モモフル国家は全員投獄し、使用人も全員クビにしているから今はモモフル城を調べ放題だ!なんて素晴らしいんだ!!」
とエド様は興奮気味に話す
「先代まではモモフル国は情報国家と呼ばれていた国ですからね。モモフル国の王家は魔法の力がほとんどなく、頭を使って国を統治していた。モモフル国に知らない情報はないと言われているほどこの世の全ての情報を管轄してその情報を元に国を守ってきた国だからね。」
「モモフル城で秘密の話をしてはいけない。全ては筒抜けになるからと言われていたんだ。」
そう言ってエド様は廊下に飾られている観葉植物を調べる
「す…すごい!都市伝説じゃなかったんだ!本当にカメラが仕掛けてある!」
観葉植物に隠れて超小型カメラを見つけた
「本当ですね…声も映像も残すことが出来るらしいと言われていたけれど、あまりにも非現実的で都市伝説にされていたけど…」
「本当かもしれない!映像を映す部屋がどこかにあるかもしれない!あぁ〜夢があるなぁ!」
嬉々としてエド様はモモフル城を探索する
どこの国も王城には隠し通路が仕掛けられているが
モモフル国の仕掛け量は異常な程多かった
地下道は迷路のようにあり、地下で帝国が作れそうなほどだった
こんなに無数の逃げ道があったにも関わらず一瞬で全員捕らえてしまったスリーは改めて恐ろしい男だ
「スリーって恐ろしい男だったわね。」
「そんなことはない。あいつは小心者で穏健派だ。」
「えぇ…とてもそうは思えないけど…1日でモモフル国家を陥落させたのよ。」
「スリーを怒らせるからだよ。スリーが怒るのはマナのことだけ。マナに危害を加えなければスリーは優しい聖人君子だよ。マナによく似ている。」
「怒った姿しか見たことないから想像つかないわ…」
「まぁ敵には絶対に回さない方がいいだろうな。マナがクリスの婚約者のレナ様なんて辛くて見てられない…!!なんてスリーに泣きついたらラブラドール国ごと破滅させられるかもしれない。」
「こわすぎるよ!!全然穏健派じゃない!!」
「まぁレナ様は私に夢中だし、マナに気に入られているから平気だ。気にするな。」
「私がクリスを略奪しようとしていたらラブラドール国は破滅していたかもしれないってことでしょう?こわすぎ…エド様を好きになって本当によかった。エド様は救世主です。」
「私は略奪して欲しくてレナ様を呼んだけどな。」
上へ上がり、各階を念入りに調べていく
すると扉が開かない部屋があった
「鍵がかかっているな。鍵を探して開けるしか…」
私は開かない扉を土魔法で蔦を出して無理やり破壊した
バキッと扉は破壊して開いた
「…新しい王になるアレクサンダーに怒られるぞ。」
「こんなに簡単に壊れる扉なんてセキュリティが低いですわ。新しくした方がいい。」
破壊した扉の部屋を入るとたくさんの映像が映っているモニターだらけだった
「す…すごい!!本当に映像も音も残っている!さすが情報社会の頂点だ!!」
「凄いですね…こんなにも監視することが出来るなら城での出来事は全て把握して当たり前ですね。」
「こんなに素晴らしい技術を受け継いでいたのに破滅するなんて馬鹿なモモフル王家だな。こんなに素晴らしい技術を引き継げるアレクサンダーが羨ましいよ!」
「羨ましいならエド様が新しい王になればいいのではないですか?」
「馬鹿なことをいうな!私は国を統治するなんて絶対に嫌だ!学園内のくだらない情報を集めて平和に過ごすことが好きなんだ!あぁ…隠しカメラがこんなになるならアレクサンダーに頼んで何台かカメラを貰いたいなぁ!」
「監視される学園生活なんて嫌ですよ。」
「観葉植物に隠してカメラを設置すれば問題ない。」
「そのうちスカーレット学園が要塞になっていきそうですよ…」
「知っているか?先代のモモフル国は情報を大事にしていた。モモフル国で働く使用人1人1人に王自ら面談をして城で働いている環境をヒアリングしていたらしいよ。」
「へぇ。先代は熱心な方だったのね。」
「私も生徒1人1人に面談する時間とか作ってくれないなぁ!全校生徒インタビューなんて憧れるよ!!」
「新聞部の活動の為にそこまではしてくれないでしょうね。残念ながら。」
「アレクサンダーはきっといい王様になれる。情報国家モモフル国に相応しい王様にね。」
「アレクサンダーばかり褒めないでよね。せっかくのデートなのに嫉妬しちゃう。」
「レナ様は趣味が悪い。私のような人間を好きになるなんて。」
「そうかしら。私はエド様を好きになってよかったと心の底からそう思います。」
「全然優しくもないし、他の男を紹介するような男なのに?」
「冷たく突き放すエド様の姿はかっこいいですから。」
「やっぱり趣味悪いよ。」
「一緒にいるだけでこんなにも楽しく過ごせる人なんてエド様しかいませんから!」
「まぁ…今日は私も楽しかったよ。」
「ねぇ…キスしていいですか?」
「だ…ダメだ!!」
「ケチですね。せっかくのデートなのに…」
「私は恋人なんて作らない!恋なんて不可解な感情に左右されるのはごめんだからな!」
「えいっ!」
と私はエド様の腕を組む
「これぐらいならいいでしょう?」
「よ…よくない!あ…当たっている!!」
「何がですか?」
「その…胸が…」
「当ててるんですよ。」
「破廉恥だ!やめろ!!」
「興奮しちゃいますか?」
「黙れ!離せ!!」
「今すぐここで押し倒してキスしてもいいんですよ?」
「や…やめろ…やめてくれ!!」
「恋しちゃえばいいんですよ。不可解な感情ではありません。全人類持っている正常な感情です。ドキドキしてキスしたくなる…そんな感情は当たり前なんです。知りたくないですか?新聞部の部長として恋を知らないなんて恥ですよ?」
「う…」
「ほら。目を閉じて。キスしてみてください。」
「手を…手を繋ぐことから始めないか?」
ぷるぷると震えながら精一杯そう言うエド様が愛らしくて私は笑ってしまう
「はい。じゃあ手を繋ぎましょう。」
私は腕を組むことをやめて手を差し出す
エド様は手を眺めたまま動かない
「どうしたのですか?早く手を繋ぎましょうよ。」
「いや…手を繋ぐなんて恥ずかしくないか…?」
と照れながら言うので少し揶揄って言う
「そうですね。好きな人と手を繋ぐだけでドキドキして照れてしまいますよね。」
「そ…そんなことはない!」
「じゃあほら。早く繋ぎましょう。」
エド様は私の手を繋いでくれた
手から緊張が伝わって愛おしく思う
「エド様。恋って楽しいですね。」
「別に恋ではない!友人でも手を繋ぐぐらいする!」
「フフッ。でもこんなに緊張して手を繋がれたら好きだって言われてるみたいで嬉しいです。」
「そ…そんなこと思っていない!!」
「大好きですよ。エド様。」
「…趣味悪いな。レナ様。」
私達は手を繋いでその後はモモフル城を歩いた
キスは出来なかったけど
手を繋いで歩いただけで
こんなにも幸せ
エド様を好きになってよかった




