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第30話 十四年ぶりの再会

「十四年ぶりだね。華ちゃん。」

穏やかに微笑む顔は前世の私の姿ではあるけれど、私ではない。品のある美しい笑みだった。

私は部屋に入った。

「元気そうでよかった。葉月ちゃん。」

「お陰様で。元気には過ごしているよ。」

「うふふ。私も。」

「入学式では華ちゃんに気づけなかったよ。見つける自信あったのにな。」

「学園では大人しくするように心掛けてるからね。でも原田さんはすぐにわかったって言ってくれたよ。」

「えぇ…なんか負けた気分。悔しい。」

「あはは!原田さんに初めてあったのは社交界デビューのパーティだったからさ。パーティでは少し悪目立ちしちゃってたし、わかりやすかったのかも。」

「私は聖女だけど庶民だったからパーティとかは無縁だったな。」

「庶民の暮らしはどうだったの?」

「私が生まれてすぐ父親が出て行っちゃったから、家庭は少し苦労はしたかな。私は六歳からレストランの手伝いをして働らいていたし。」

「六歳で!?」

「実家がレストランだから。お母さんと私の二人で経営してたよ。私が考案した前世の料理が珍しかったみたいで、繁盛したからお金にはそんなに困らなかったけど…。働くことは好きだからレストランの手伝いは楽しかったよ。」

「へぇー!行きたいなぁ。」

「いつでもいいよ。」

「楽しみー!!」

「私さ。見た目はそのまま前世の佐々木華ちゃんじゃない?」

「うん。びっくりした。今も私に話しかけてるみたいで変な感じ。」

「このゲームのヒロインのビジュアルって金髪ウェーブでグレーの瞳だったんだけどさ。生まれた私は黒髪で黒目でしょう?お父さんがお母さんの浮気を疑って出ていっちゃって…。」

「え。」

「もちろんお母さんは浮気なんてしてないんだけどさ。私はこの世界の神様が勝手に華ちゃんにビジュアル変えたってわかってたけど…。もうちょっと考えて欲しいよね。この世界の神様。お父さんかお母さんどっちか黒髪に変えて欲しかったな。お母さんはやってもない浮気を疑われてお父さんに出て行かれて苦労したからさ。この世界の神様に会ったら絶対文句言ってやろうと思ってたんだ。」

「最低すぎるよそれ…。」

「苦労したのは私よりもお母さんだったな。」

「聖杯からこの世界の神様と話せるから今度持ってくるよ。」

「華ちゃん神様と一緒だったんだ。」

「勝手に聖杯置いてかれて、そこから話しかけてくるだけだけど…。この世界のこと私はよくわからないから攻略対象のこととかは神様に聞いたよ。」

「神様本当に気持ち悪いね。華ちゃん過激派なとことかさ。私はほったらかしのくせに。」

「はははっ…。」

神様への恨みつらみが溜まっているのがわかる。神様のせいで家庭が崩壊したのだから当然だろう。

「私、聖女なのにまだまだ白魔法が上手く使えなくて。」

「まだ入学したところだし、そんなに気にすることないと思うけど。」

「いや。入学当時からゲームでは体力回復。魔力回復。病気の治療も出来ていたのに。私が出来るのは少しだけ体力回復とかすり傷程度の治療だよ…。やっぱり私には聖女の才能がないのかなって落ち込むよ。」

「そんなことないよ!葉月ちゃんほど清廉潔白で美しい魂はないんだから!自信持って大丈夫だよ!」

「…ありがとう。」

「今日からゲームスタートしたでしょう?何かイベントあった?」

「一応ね。王子のクリスのハンカチを拾って渡すイベントはこなしたけど…。」

「葉月ちゃんはこのゲーム知ってるんだよね。」

「一応王子様ルートで一周だけしたけど、私はあまりハマらなくて。本当に少ししかわからないんだ。」

「そうなんだ…。じゃあ王子様ルートにするの?」

「うーん…。一応幼馴染のレックスも候補だけど…。」

「レックスは幼馴染なの!?」

「一応ね。私の店の昔からの常連客で気楽に話せる仲だよ。」

「レックスが好き?」

「うーん…友人としてだけどね。私に王子様攻略出来る気がしないよ。今日ハンカチ渡した時だって、凄い塩対応だったし…。だからといってレックスも厳しそうだけど…。」

やっぱりビジュアル変えたのは改悪だったのでは?本来のヒロインの姿のほうがクリスもレックスもタイプだったんじゃないか?

「難しいね…。イベントするうちに好きな人に出会えるといいね。三年もあるし大丈夫だよ!」

「…うん。」




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