第297話 慈善事業
昼休みになり、私はシガーレッド・アレクサンダーから紹介して貰ったカップル秒読みの男女をカップル成立させようとしている
「どうしてクロネコガールのお面をしているのですか?」
とシガーレッド・アレクサンダーが私に1聞く
「マナの姿で急に話しかけられたら恐縮しちゃうでしょう?学校内でヒーローとして活躍しているクロネコガールの姿ならフランクに接することが出来るでしょう?」
「いや…変わらないと思いますが…」
「それよりターゲットはどこなの?」
「2年B組のルーラン・ショウ君です。グレー髪で短髪で眼鏡をかけた男の子ですよ。」
「あの子ね。じゃあ声をかけてくるわ。」
私はクロネコガールの姿で2年B組の教室に入る
教室はざわざわと騒ぎになるが、私が気にせず一直線にルーラン・ショウ君の元へと向かい目の前に立つ
「スカーレット学園の悪を滅ぼす!!!私が来たからにはこの学園で悪事はさせない!!姿は漆黒!!心は純白!!正義の審判は中立を!!我が名はクロネコガール!!!」
私はお決まりの登場セリフを吐いてポーズを決める
「ひぃ…!!お助け…!!ぼ…僕は誰にも意地悪をした覚えはありません!!本当です…!!」
ルーラン・ショウ君は涙目になりながら私に無実を訴えている
「あぁ…今日は悪を滅ぼす活動じゃないの。今日は慈善事業をしに来たのよ。」
「慈善事業…?」
「慈善事業の手伝いをルーラン・ショウ君にお願いしようと思って。」
「何故僕が選ばれたのでしょうか…?まさかこの前サッカー部で下級生に理不尽ないじめをしていたワドル先輩のように罰として魔法実験の生贄にされるのでは…」
「違う違う!!もっとハッピーな計画だから!!」
「ハッピーな計画…?」
「とにかく一緒に来て!!」
「断ることって…」
「そんなに大変なことじゃないから!大丈夫!大丈夫!!」
私は半ば強引にルーラン・ショウ君の手を引いて連れ出した
「ターゲット捕獲しました〜。」
私はシガーレッド・アレクサンダーの元にルーラン・ショウ君と戻った
「クロネコガールの姿で会うのは悪手だったのではないですか?魔法実験の生贄にされると思い込んでショウ君怯えていますよ。」
「なんで魔法実験の生贄にしたことがそんなに広まっているんだろう…?」
「ワドル君は魔法実験の生贄にされた後、人格が変わったかのように会心して…精神が乗っ取られる恐ろしい実験だと噂になってますから…みんな恐ろしい実験の生贄になるのは恐ろしくていじめをする人間はいなくなったんです。」
「ミケお爺ちゃんとスリー様に任せてたからなぁ…何をしていたのか知らないんだよね…優しい2人だからそんなに過酷なことはしないと思うんだけど…」
「優しいのはマナ様にだけですよ。あの2人は恐ろしい人間です。」
「そんなことないのになぁ。」
「あの…僕は何をするのでしょうか?」
ルーラン・ショウ君が私達に聞く
「告白。」
「え!?こ…告白!?」
「ハッピーな計画でしょう?」
「いやいやいや!!僕は好きな人がいるので…こ…困ります…」
「大丈夫よ。好きな人に告白するから。」
「ええ!?ますます無理ですよ!!」
「もう1人のターゲットがいたぞ。2年特進クラスのヨークシャリア・ノエル。2年生のマドンナで、男女共に高い人気を博している美少女だ。」
「え!私でも知ってる有名な女の子じゃん!すっごく可愛くて優しくて天使のような子だって!!」
私はチラッとルーラン・ショウ君を見る
ショウ君は涙目になりながら怯えて震えている
「ねぇ…シガーレッド・アレクサンダー。2人はカップル秒読みなのよね?」
「そうだよ。」
「クラスも違うし…どこか接点があるの?」
「いや。2人が会話したことあるのは1度だけだよ。」
「本当にカップル秒読みなの…?」
「間違いないよ。」
「無理ですぅ!!告白なんて!!僕は遠いから眺めているだけで満足しているだけなんですから!!僕なんかが告白したって気持ち悪いと思われるだけです!!」
ルーラン・ショウ君は泣きながら蹲ってしまった
「俺がショウ君を落ち着かせておくから、マナ様はヨークシャリア・ノエルを連れ出して来てくれ。」
「わかったわ。」
私は2年特進クラスに入りヨークシャリア・ノエルちゃんの前に立つ
「スカーレット学園の悪を滅ぼす!!!私が来たからにはこの学園で悪事はさせない!!姿は漆黒!!心は純白!!正義の審判は中立を!!我が名はクロネコガール!!!」
私は登場セリフをヨークシャリア・ノエルちゃんの前でも決める
「マナ様…?何かご用でしょうか…?」
「マナではない!クロネコガールだ!!」
「ちょっと屋上まで来てくれる?」
「私は魔法実験の生贄にされるほどの大罪を犯した覚えはありませんが…」
「もう!違うわよ!!いいことがあるから一緒に来て!!」
「いいこと…?」
私は半ば無理矢理風魔法を使ってヨークシャリア・ノエルちゃんを屋上まで連れて行った
「ここでちょっと待ってて!!」
私はヨークシャリア・ノエルちゃんを屋上に1人残して去る
そしてシガーレッド・アレクサンダーとショウ君の元へと帰った
「ターゲットの連れ出しに成功しました!屋上で愛の告白待ち中です!」
「ありがとうマナ様。じゃあ行こうか。ショウ君。愛する人が君を待っているよ。」
「ひいいいいいいいいいいい!勘弁してください!!僕を揶揄って遊んでいるのですか?どうして僕がこんな目に…」
泣いてショウ君は告白を拒否している
「…本当に秒読みカップルなの?シガーレッド・アレクサンダー。」
「当たり前だ。誰もが知っている秒読みカップルだよ。」
「ショウ君からそんな気配全く感じないけれど…」
「彼が内気だからカップルになれていないだけだよ。告白すれば恋人になるのは確実さ。」
私はショウ君に白魔法をかけて顔の鼻水や泣いて腫れた目を治す
「今、ショウ君には自信が持てる特別な魔法をかけたから。」
「特別な魔法を…?」
「そう。大好きな人に好きだと伝える勇気が出る魔法だよ。」
もちろんそんな魔法はない
ショウ君の勇気が出るように
私は嘘をついた
「ハッピーな結果にはならないと思いますよ。」
「ショウが勇気を出して告白することがハッピーな計画なの。」
「…ありがとうございます。」
そう言ってショウ君はノエルちゃんの元へと向かった
2人の行く末を私とシガーレッド・アレクサンダーは影から見守る
「あの…!!ノエルさん!!」
ショウ君がノエルちゃんに声をかける
「好きです!!入学式の時からずっと…!!ノエル様のことが好きでした!!僕と…お付き合いしてください!!」
さっきまで震えて泣いていたとは思えないほど漢らしい告白だった
「私も…ショウ君が大好き!!」
ノエルちゃんは涙を流してショウ君に抱きつく
幸せそうに抱き合う2人はまさに少女漫画のワンシーンのように美しかった
「修学旅行の時、ノエル様は悪いやつらに襲われて…その時に命懸けで助けたのがショウ君だ。ショウ君は死にそうになりながらもノエル様に傷1つつけさせることなく助けた。ノエル様が惚れるのは当たり前だろう?それでも自分に自信がなくて釣り合ってないと感じていたショウ君は告白することが出来ず、クラスも違うことから接点もなく…2人は思い合っているのに話すことすら出来ていなかったんだよ。」
「ショウ君かっこいいじゃん。2人が無事にカップル成立してよかった。紹介してくれてありがとうシガーレッド・アレクサンダー。」
「また情報が知りたければ新聞部がいつでもお助けしますよ。」
「ねぇ。シガーレッド・アレクサンダーが私の立場ならどうする?ピアニストになる?王妃になる?」
「私がマナ様なら絶対に王妃になりますよ。」
「恋に生きるんだ。意外ね。」
「そんなわけないじゃないですか。恋なんておまけです。私はこの国を掌握出来る立場になれるなら喜んでなりますよ。」
「王妃になるのってこわいくないですか?自分の判断で国を滅ぼすことになるかもしれないんですよ?」
「最高に楽しいですよ。俺は非日常を求めているんです。特別な何かになりたい。それが俺の夢です。この国を掌握出来るなんて夢のようですから。」
「こわくはないの?」
「自分の思い通りに国を動かすなんて最高に楽しそうですよ。」
「国を背負う覚悟なんて私には…」
「マナ様が恐れているのは王妃という立場もではなく、恋に溺れる自分じゃないですか。」
「…。」
「別にいいと思いますけどね。今まで世界を救う為に頑張ってきたんですから、恋に溺れた無能な王妃でもこの国は平和だと思いますよ。」
「恋をしたら強くなれるタイプならよかったのになぁ。」
「クリス様が甘やかして依存させて縛りつけるタイプですからね。堕ちていって幸せになる未来だっていいと思いますよ。」
クリスと2人でいれば幸せにはなれる
でも…私はやっぱり挑戦したい
幸せじゃなくても
不幸になっても
ピアニストとして頑張ってみたいんだ
クリスは私の思いを理解してくれるだろうか




