第296話 盲目
新聞部に呼ばれて部室に行った後、隠し部屋でイシュタル先生と密会をしてからいつも通り教室へと向かった
「おはようございます。マナ様。」
教室に入ってすぐにレナ様から挨拶をされる
「おはようございます。レナ様。」
「今朝は新聞部に呼ばれて部室に行ったようで…エド様に呼ばれるなんて羨ましいです。」
「えっと…私はシガーレッド・アレクサンダーに呼ばれただけなので…」
「上手く相手を振る方法を教えてあげたんですよね?」
「…えっと…あの…ご…ごめんなさい…」
「いえいえ!いいんですよ!まさかマナ様が私とエド様の仲を切り裂く魔女になるかと思いましたが…マナ様は私とエド様の恋を応援してくれているようで安心しましたわ。やはりマナ様は魔女ではなく、世界一最強の聖女様でしたわ!」
「土魔法で相手がどこにいるのか把握することが出来るとは知っていますが…会話の内容までどうしてもご存知なんですか?」
「うふふ。秘密ですわ。情報屋の嫁になるんですものこれぐらいは出来るようにならないとね。」
「とてもお似合いの2人だと思います。応援しています。」
「ありがとうございます。マナ様。もしもマナ様がエド様に他の女を紹介する魔女なら今ここで全面戦争を宣言するところでしたけれど…マナ様は私の味方で本当によかったですわ。」
「…。」
実は言うと結構適当にエド様にはアドバイスしていた
シガーレッド・アレクサンダーが私にカップルが成立しそうな男女を紹介してくれると言うので、私はエド様にレナ様を上手に振るアドバイスをしたのだけれど…
一応真面目には答えたけれど、恋愛なんて人にアドバイス出来る程経験豊富なわけじゃないし、レナ様と付き合った方が丸く収まりそうだったから言っただけだったけれど…
気まぐれでレナ様をエド様と付き合った方がいいと言っておいて本当によかった
気まぐれで他の女の子を紹介していたら今ここで私の首がレナ様によって飛ばされていたかもしれない
恋に盲目な人間が苦手だ
恋をするとどうして気が大きくなるのかわからないけれど、相手の為と言い張って犯罪行為に手を染める
そして牢屋に入ってしまう
周りが見えてなくて恋に盲目になり暴走する
「フフッ。私、スカーレット学園に入学出来て本当によかったです。マナ様がクリス様と付き合ってくれたおかげで、私は運命の出会いが出来たのですから。」
「クリスとは結婚しないのですか?婚約者なのですよね?」
「アハハハ!!するわけないじゃない!!」
「でも…エド様と付き合うことは出来ても結婚は認めて貰えないですよね。立場的には。」
「家も国も関係ない。私はエド様が好きだし、エド様以外と結婚するつもりなんてない。それに…エド様が他の女と結婚するなんて絶対に許さない。許されない恋だと言うなら、許して貰えるようにするだけ。それでも許してくれないなら国なんか捨てて全部破壊してやるわ。」
「そんなこと…エド様は望まないんじゃないでしょうか?付き合うことと結婚することは別です。許されない結婚なんて…大事な人達を不幸にしますよ。」
「だからクリスと結婚するべきだとマナ様は言うのですか?周りから祝福される結婚が正しいから?バカバカしい。政治的戦略の結婚なんて誰も幸せになんてならないですわ。愛しあう2人が結ばれるべきなんです。」
「愛し合う2人が結ばれても…王族という立場では国を守る為に政治に参加しなくてはいけなくなりますよね。何も知らない人は場違いになってしまうのではないでしょうか。」
「それはエド様の話ではなく、マナ様の話ですよね?」
「…どっちもです。」
「フフッ。そうですか。まぁ答えてあげましょう。関係ありません。そんな理由で愛し合う2人の仲を引き裂く世の中の方がおかしいんです。場違いなんていう王族も貴族もエド様が嫌がるなら全て駆除してしまえばいいだけ。おそらくクリスも同じことを思っていますよ。マナ様は何も恐れなくていいんです。マナ様のことを悪く言う人間なんて全然駆除してくれますから。」
「駆除なんて…そんなこと望んでないです。」
「じゃあどうすればクリスと結婚するんですか?何が不安なんですか?」
「…自分の原動力が恋になることがこわい。自分の積み上げてきた努力を信じて生きていくほうが地に足をつけて生きられるから。」
「今まで積み上げた努力って本当にそんなに大事ですか?」
「…え?」
「私は今までの努力なんて全て捨てても構わない。この恋より大事なものなんてこの世にない。」
「こわくはないのですか?今まで大切にしてきたものを全て捨てるなんて…」
「この恋を捨てる方がこわいです。マナ様はこわくないのですか?大好きな人と結ばれた奇跡的な恋をたった半年で捨てるつもりですか?そんなにマナ様が積み上げた努力の方が本当に大事ですか?」
「私だって本当は捨てたくない!生涯大事にしたい!でも…こわいんです。恋に生きることがどうしてもこわい。」
レナ様は私の手を繋いで言う
「大丈夫です。恋に生きるってとても幸せですよ。何もこわいことなんてないです。今、クリスと恋人になって幸せなんでしょう?結婚しても変わらないですわ。マナ様の幸せはずっと続きます。こわいことなんて何もないですよ。」
「恋に溺れるのがこわい。2人だけ幸せならそれでいいって思考に陥ることがこわい。」
「いいじゃないですか。2人が幸せで周りが不幸ならハッピーエンドだと思いませんか?」
「…思えない。」
「愛する2人を切り裂く世の中の方が狂ってるんです。そんな国は滅んだ方が幸せです。」
「…恋だけが世の中の全てじゃない。恋のもつれで国が滅ぶなんて…国民はどうなるの?」
「だからってエド様と別れろって言うの?絶対にありえない。この世にエド様より大事なものなんてない。エド様の幸せの為ならなんでもする。クリスだって同じことを言うわよ。」
「…。」
「マナ様より大事なものなんてクリスにはない。マナ様との仲を引き裂くもの全てを破壊するわ。」
「だから恋はこわいのよ。」
「尊いの間違いでしょう?」
恋に盲目になることがこわい
その恐怖心は未だに薄れない
私がキッカ国に行きたいとクリスには1度も言ったことがない
私はこわい
恋よりも私が自分のことを優先したら
クリスはどうなってしまうのだろうか
私はこわい




