第293話 恋は盲目
「マナ様〜!おはようございます!!」
「おはようございます。レナ様。」
翌日になり、教室に入るとすぐにレナ様が私に話しかけてきた
「昨日の放課後!マナ様に教えて頂いたように新聞部に伺いましたの!そしてまた会えたのです!カーコック・エド様に!!」
「本当に行ったんですね…」
「学園を卒業後も情報収集の為にスカーレット学園で働いているそうで…今は王家から直々に依頼されて情報を集めているのですよ。」
「そうみたいですね。」
「私、お願いしましたの!是非入部させて下さい!って!」
「えぇ…大丈夫ですか?」
「そしたらね!“私は情報を王家に売っているんだよ?入部するならレナ様の国の機密情報も流してもらうことになるよ?レナ様には出来るのですか?国を裏切ることが”って脅されまして…私人生で初めて脅されましたわ…冷たい視線に蔑むような横柄な態度…あぁ今思い出してもゾクゾクしますわ!!かっこよすぎて鼻血が出そうでしたわ!!」
「脅されるのがお好きなんですね…」
「そして私言ってやりましたわ!愛の為なら国を売っても構いません!!って!!」
「ちょっとそれは…まずいのではないでしょうか…?」
「そうしたらですね!“ハァ…こんな俺のお遊びの仕事の為に国を売らないでください。王女様は入部させることは出来ません。”ってとってもアンニュイな感じで気怠そうに言われましたわ…私のことを心配してくださったのです!!口は悪いけど、本当はお優しい方なんですわ!!ますます惚れてしまいました!!」
「そ…そうですか…」
「だから私言いましたの!!エド様に会えるならどんな情報だって集めてみせます!!って!!」
「熱烈な愛の告白ですね。凄いです…」
「そしたら何て言ったと思います!?“貴様のようなバカ女は入部させることは出来ないって言ってるんだ。わかったなら今すぐ私の目の前から消えろ。目障りだ。”って言われたんです!」
「うわ…ひどい…」
「冷たい態度とは裏腹に私の身を案じてくれているその姿にもう私はメロメロでしたわ…エド様に認めて貰えるような賢い女なって出直しますわと言って泣く泣く帰りましたの…」
「新聞部に入部は諦めた方がいいのでは…」
「いいえ!諦められませんわ!!私の土魔法は誰がどこにいるか探知することが出来る情報収集には最適な能力を持っているのです!!私は使える賢い人間だとアピールしていかなきゃ!!」
「…そんなことが出来るのですか?私はこの国の最高峰の魔法使いであるミケ様からもそんな魔法は聞いたことがないけれど…」
「土魔法のエキスパートは少人数しかいませんから、あまり知られていないんですよ。出来ても地味ですからね。どこに誰がいるか把握するというのは意外と情報になるので重宝されるんですよ。」
「凄いですね…」
「マナ様が教室に来る前にどこにいるかも私は知ってますわ。」
「!?」
「どうやら同意の上での密会みたいなのであまり口出すつもりはありませんが…」
「…誰にも言わないで頂きたいです。」
「フフッ。マナ様の秘密を言いふらしたりしませんよ!言うならエド様にだけですわ!!」
「…エド様はもうご存知です。」
「そうなの!?さすがはエド様ですわ!!この学園のことは何もかもご存知だと噂で聞きましたが本当なのですね…!!」
「情報を売ったり買ったりしてるらしいですから…」
「そうなの?じゃあ私がお客として通おうかしら!」
「え!?だ…ダメですよ!!機密情報を売ったりしたら!!」
「情報を得て流す客になったらお得意様としてVIP待遇になったりして…ぐふふふ…」
「やめた方がいいですよ…あまり関わらない方が…」
「お得意様になってお気に入りになれば私のことを好きになってくれるかもしれませんわ!!エド様が欲しい情報は何かしら…そこから情報収集しなくちゃ!!」
「だ…大丈夫かなぁ…」
私はアルテミスからカップルを3組成立させるように契約されているからレナ様とエド様を本当は恋仲になるように取り持つキューピットになるべきなんだけど…エド様を彼氏にするなんて不安すぎる。身分的にいいように使って捨てるなんてすれば、エド様の首が飛ぶからそんなことはしないだろうけど…
なんでこんな悪趣味な人を好きになってしまったのだろうか…
応援したいけど…したくない
私は新聞部のシガーレット・アレクサンダーに近づき小言で聞く
「ねぇ…エド様はレナ様のことどう思っているの?」
「知りたいなら対価を。」
「…どんどんエド様みたいに悪い人になってきたわね。シガーレット・アレクサンダー。」
「俺は新聞部としていつも公平に情報を渡すだけです。」
「…私の体操服姿の写真で。」
「いいですよ。マナ様も取引が上手になりましたね。」
「あまり嬉しくないわ。」
私は体操服の写真をシガーレット・アレクサンダーに渡す
「エド様は頭を抱えて悩んでましたよ。隣国の王女を無下に扱うことも出来なくて昨日は追い返すのに必死になっていました。2度と関わりたくないと呟いていましたね。」
「レナ様の話を聞く限り結構無下に扱っていたみたいだけれど…」
「こちらに関わってほしくなかったようでかなり強気な言葉を吐いていましたが…レナ様の目を覚まさせる為にあえてわざと言っているのは俺達にもレナ様の護衛騎士にもわかりましたから…レナ様を心配して言っていたと見透かされていましたよ。」
「恋仲になれそうかしら?」
「それどころではない気がしますけど。レナ様が機密情報を流したりしたらそれこそ国際問題に発展していきます。」
「だよね…」
恋のキューピットではなく、戦争の火種になりかねない2人を私はどうやって応援すればいいのだろうか…
恋する乙女の暴走ほど恐ろしいものはないからな
アルテミスは喜んで見ているだろうけど
恋愛って難しい




