第292話 人を呪わば穴2つ
「おい。マナは俺と2人きりになりたいんだ。必要以上にマナに近づくな。レナ。」
「クリスがマナ様を独り占めするからマナ様が孤立しているんじゃないの?」
「マナは他の奴らと仲良くする必要なんてないからいいんだよ。」
「うわ…王族が独占欲丸出しでマナ様の側にいるから他の人達が寄ってこなくなってるんでしょう?マナ様可哀想。」
「うるさい。俺達の邪魔をするな早く散れ。」
「私はマナ様と仲良くなりたいだけだから。」
「マナが嫌がってるのがわからないのか?マナはレナと仲良くなんてなりたくないよ。」
「そんなわけない!ねぇマナ様!私とお友達になってくれますよね?」
「えっ…私で良ければ是非よろしくお願いします。」
「やったー!ほら!邪魔者はクリスの方だから!散れ散れ〜!!!」
「マナの優しさにつけ込む悪魔め…」
「マナ様!次の授業は男女別の体育ですって!私まだ更衣室の場所もわからなくて…案内してくれますか?」
「うん。一緒に行きましょう。」
レナ様は私の腕に抱きついて歩く
クリスは悔しげな顔をしていたけれど
男女別の授業でクリスも連れて行けるわけもないので私達は2人で更衣室へ移動する
「あーぁ!クリスが羨ましい〜。私の国にも魔法学校があればよかったのにぃ。この国は魔法学校があって自由恋愛が出来てそのまま結婚する貴族が多いのでしょう?羨ましい〜。私も政略結婚じゃなくて自由恋愛してみたい〜。」
ここで気楽に自由恋愛を進めると隣国との国際問題に発展するかもしれないので下手なことは言えない
でも…
「レナ様ももうこの学園の生徒なんですから。自由恋愛してもいいんじゃないでしょうか。」
忖度なく、自分の気持ちを私は言う
王族や貴族の背負うものはたくさんあってそんな簡単なことは出来ないだろうけれど…
学生の間ぐらい夢を見させてあげて欲しいと強く願う
若い時ぐらい自由に恋をして学園生活を送ったって神様は許してくれるだろう
アルテミスなら尚更だ
「こんなに素敵な男がたくさんいるのにクリスを選ぶなんてマナ様趣味悪いですね。」
「よく言われます。」
「やぁ。久しぶりだね。マナ様。あまり顔色が優れないけれど…大丈夫?」
何故かご機嫌な様子で意気揚々と話しかけてきたのはエド様だった
「卒業したのに制服でうろうろするのはやめた方がいいですよ。エド様。」
「私はスカーレット学園が職場なだけだよ。」
「先生みたいな服着ればいいのに…」
「そんなことはどうでもいいんだよ。それよりも…クリス様の婚約者が転入してきたようだね?恋のライバルだっていうのに仲良く腕組みしているなんて…さすがは聖女様のお心は広い。私のクリスに近づかないでなんて低脳なことは口走らないようだ。」
「そんなこと言う権利私にはないわよ。」
「アハハ!!そうだね!!マナ様に出来ることは白魔法だけでこの国の王妃になって統治しようなんてことは夢のまた夢だろうからね!!」
「…エド様がガードン王に協力して婚約者を転入させたのですか?」
「私は助言しただけだよ。この国の未来の為にね。」
「学生の間ぐらい夢見せてくださいよ。」
「私達はいつだって現実を生きているんだよ。マナ様はいつだって夢見がちなことをするからね。現実を教えてあげているだけさ。」
「…むかつく。」
「あぁ!仏のような優しさのマナ様を怒らせて顔を歪ませることが出来るなんて人生最良の日だよ!!」
「相変わらず性格悪いですね。エド様。」
「最高の褒め言葉ありがとうマナ様。」
「はぁ…もう行きましょう。レナ様。」
「…かっこいい。」
「え?」
「マナ様!!誰ですか!?この超絶メロい男の人は!!」
「メ…メロい?」
「かっこいい…蔑むような目で見下ろされた時のドキドキが止まりません♡お名前は!!お名前を教えてください!!」
と言いながらレナ様はエド様の手を繋ぐ
「わ…私のような人間は隣国の王女様の目には毒なので…名乗るような身分ではないです…」
「ここの学園に通っているなら貴族でしょう?どこの家の者なの!?」
「確か…カーコック・エドという名前だった気がします…」
私が答える
「おい!余計なことを言うな!!」
私がエド様の名前を教えるとエド様は慌てふためいている
「カーコック家!?上流階級の貴族じゃない!!それなら家柄も問題ないわ!!」
「私は家のはみ出し者で…」
「血筋がしっかりしていれば周りは黙るから関係ないわ!ねぇ!!私と…」
エド様はレナ様の手を無理やり振り払い風魔法で逃げてしまった
「あぁん!逃しちゃった!ねぇまた会えるかな?」
「エド様は新聞部にいるので放課後会いに行かれては?」
「新聞部!?裏社会を牛耳ってると噂の!?」
「そんなことまで知っているのですね。」
「ますますかっこいい…裏社会のボスなんて…なんてミステリアスで素敵なの…♡」
こんなことを思うのは失礼だと重々承知の上だけど…
レナ様男の趣味悪すぎると思う




