第291話 大失敗
「いってきます…。」
クリスとレナ様の仲睦まじい2人をまた見なければいけないのかと憂鬱になりながらも学校には行かなくてはいけない
世の中の恋する乙女は憂鬱な気持ちで登校することもたくさんあるのだろうか
恋なんてするもんじゃない
でもこの気持ちを止めることは出来ない
なんて厄介な感情なんだろう
乗馬デート楽しかったなぁ…
過去を振り返ることは基本的にあまりしない主義だけど
過去にも逃げたくなるよ
私はいつも通りに隠し部屋へ入る
「おはよう!マナ!!今日はロリータ系のハイブランドの服が手に入ったんだ!!見てよこの素晴らしいレースの服!!黒とピンクと水色があって何色にするか迷ったんだけど…ピンク色にしたんだ!!とっても可愛いだろう!!」
「おはようございます。イシュタル先生。今日もとても元気そうですね。悩みなんてなさそうで羨ましいです。」
「何を聞いていたんだい!?私は黒とピンクと水色で悩んだよ!!」
「とても幸せそうな悩みですね。」
「マナに出会ってから私の人生は薔薇色だよ!!毎日楽しいよ!!!」
「それはとても光栄です。」
「マナを一生愛でる生き物になれることを誇りに思うよ。」
「…イシュタル先生は私のどこが好きですか?」
「えっ…やっぱり顔かな。」
「まぁ…そうですよね…」
私はピンク色のレースが沢山入ったロリータ服に着替えた
「どうですか?」
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!最高だよ!!!お人形さんのように愛くるしい!!ほら!!テディベアを抱えてこうお人形のように座って!!」
私はテディベアを抱えて座る
イシュタル先生はカメラで何度も私を撮っていた
「メイクもしようか。まつ毛エクステをつけてお人形感をもっとあげよう。」
私はイシュタル先生にされるがままにまつ毛を盛られてメイクされる
「完璧だ…私は天才かもしれない…マナを輝かせる天才だ…!!」
出来上がったメイクにご満悦でまた何回も写真を撮っていた
「私輝いてますか?」
「ああ!!私の1番星!!この世の全てを照らすスーパースターだよ!!」
「…昨日のポニーテール気に入ってくれたんだよね…」
「ポニーテールは青春のしっぽだからね!嫌いな男なんていないさ!!」
「今日もポニーテールにしたら喜んでくれるかな?」
「それは好きな男を喜ばせようとしているのかな?」
「…だって惚れ直してくれないと婚約者のレナ様に取られちゃうもん。」
「なんていじらしいんだ!!マナが頑張って可愛くなりたいというなら協力を惜しまないよ!!私は!!」
「自分で今日はオシャレしてみたくて…」
「可愛い…可愛くて可愛くて可愛くてやばい。」
「だから今日はもう脱いで髪型セットするね。」
「わかったよ。」
私はロリータ服を脱ぎ、制服を着てポニーテールに髪型をセットする
「よし。これでいいかな。」
「うーん…やっぱり昨日と違うアレンジをした方が喜ぶんじゃないかな?」
「どうするの?」
「お団子にしてみるとか。」
「えっ…どうやってするの?」
「ポニーテールをくるくる巻いてピンで止めるんだよ。」
私はポニーテールをくるくる巻いてお団子を作ろうとするけど
「出来ない…!!髪の毛が落ちてくる!!どうやるの!?」
「私がやろうか?」
「いい!!自分でやるの!!」
私は何度もチャレンジするけれど上手にお団子は作れなかった
「…びっくりするぐらい不器用だね。今まで可愛くしようと努力なんてしたことないから出来ないんだね…」
「…私はお団子にすることすら出来ない無能な人間だ…」
「初めては誰でも上手く出来ないものだよ!私だって衣装作る時、初めはとても下手だったから!!」
「う…うぅ…3年生にもなってお団子も作ることも出来ない女子なんて私だけだよ…」
「いやいや!結構難しいから!!案外みんな苦労してるよきっと!!ツインテールとかどうだい?可愛いよ!!」
「子供っぽくない?」
「すごくよく似合うと思うなぁ!!やってみなよ!!」
私はツインテールをしてみる
「ねぇ…やっぱり変だよ…ロリすぎるよ…」
「そんなことない!!そんなことないよ!!めちゃくちゃ可愛いよ!!」
「本当に…?」
「最高に可愛いよ!!めちゃくちゃ喜んでくれるに違いないよ!!」
「そ…そうかな…」
「この世で1番可愛いよ!!」
「前髪とかも切ってみようかな…」
「えっ!?もっと慎重に切った方が…!!」
ジョキンとハサミで前髪を切る
「ああああああああああああああああああ!!」
「だから言ったのに!!」
切りすぎてしまった
少ししか切ってないと思ったのに!!
「どうしよう!!すっごくブスになっちゃった!!」
「いや…これはこれで可愛いけど…」
「絶対嘘!!イシュタル先生の話はもう信じない!!」
「ドジっ子感が出てて可愛いよ。」
「嫌よ!!しっかりとして自立したかっこいい女になりたいのに!!」
「女の子はちょっと抜けてる方が可愛いんだよ!!」
「うう…唯一の可愛さも失ってもうおしまいだ…髪を伸ばす魔法はないの?」
「大丈夫だよ!!可愛いから!!」
「教室行きたくない…」
今まで可愛くなろうとオシャレしなかった代償がこれか
いざ好きな人が出来て可愛くみせようと努力した結果が大失敗だなんて
なんてカッコ悪いんだろう…
教室に着いてしまった
中に入るのがこわい
大失敗した私の姿を見て大笑いされたらどうしよう
震える足を無理やり動かして教室へ入る
私が教室に入った瞬間に視線が私に集まる
当たり前だ
やったことのないツインテールに切りすぎた前髪
あまりにも異質すぎる
クリスが私の目の前に立つ
私は大失敗した自分が嫌で目を合わせることが出来ない
「…可愛い。」
そう言ってぎゅーっと抱きしめてきた
「えっ…」
「めちゃくちゃ可愛い。誰にも見せたくないぐらい可愛い。俺、その前髪もこの髪型も好き。」
「そっそう?えへへ…」
何故かクリスにはよかったらしい
引かれたわけではないとホッとする
「可愛い〜♡」
と声を掛けてきたのはレナ様だった
「レ…レナ様!?」
「髪型変えるだけで印象が全然ちがーう!今日のマナ様は年下の妹感があってめちゃくちゃ可愛い♡こんな可愛い妹欲しかった〜♡」
「幼くみえますよね…恥ずかしい…」
「いやいや!それがいいのよ!最高よ!!私もだきしめたーい♡」
「ダメだ。離れろ。マナを汚すな。」
「いいじゃない。ケチな男ね。」
「マナは俺のだ。」
「束縛強い男は嫌われるわよ?」
「嫉妬深い女も嫌われるぞ。」
「はぁ?適当なこと言わないで。ねぇマナ様私のこと嫌い?」
「え!?そんなわけないです!!とても…素敵な女性だと思います…」
「だって♡」
「マナは誰にも優しいんだ。調子にのるな新参が。」
「誰にも優しいからクリスにも優しいだけじゃないの?」
「黙れ。俺はマナの特別だ。マナは俺にだけ怒るからな。」
「それって嫌われてるだけじゃないの?」
「何も知らないくせに適当なこと言うな。お前が隣国の王女じゃなければ今すぐに不敬罪で牢屋に入れてやるのに。」
「クリスとレナ様仲良しですね…」
「マナはどう見たらそうなるんだ?」
「マナ様!!私はクリスと腐れ縁なだけです!仲良しだなんてそんな勘違いやめてください!!」
喧嘩するほど仲がいいって感じがする
昔から仲良くて心を許している仲良しにしか見えないよ
はぁ…




