第286話 願い事
私達は引き続きミケお爺ちゃんの魔法修行を行っている
ミケお爺ちゃんはクリスに火の龍の召喚方法を教えていて
私とスリー様はこの世界の神様アルテミスを召喚しようとしているところだ
「聖杯があれば話すことは出来るのに召喚する意味はあるの?」
「あるよ。こちらから召喚することが出来れば主人の言う事を聞かなければいけないからね。」
「神様を従わせるなんて可能なの?」
「理論上は可能だね。それぞれの精霊の神様は龍であり、彼らを召喚さて従わせている以上、白魔法の神様であるアルテミスも召喚出来るし、従わせることが出来るはずさ。」
「アルテミスを呼んで何を願うの?」
「初回は難易度の低いものにしようと思ってね。夢の世界で天界に行けるようにしてもらおうかな。」
「な…なんで?」
「天界から情報収集したいことがあるから。」
「…寝ている間も働くつもり?」
「とても効率的でいいアイディアだろう?」
「白魔法の魔法石でそんな大魔法が発動できるの?」
「理論上は不可能ではないよ。」
「そんなことが出来たらミケお爺ちゃんは大喜びだろうね…魔法研究オタクが大喜びする姿が目に浮かぶよ。」
「まぁ今は机上の空論かもしれないからね。今日はマナにアルテミスを召喚してもらおうと思って。」
「私がですか?」
「マナはアルテミスを呼ぶことが出来るだろう?しかも、入れ替わりのお願いまで聞かせている。」
「そうですけど…私から実体を呼んだことはないですよ。勝手に降りてくるだけで。」
「じゃあ今日初めて実体を呼ぶことになるね。」
「そんなこと急に言われても…呼んでどうすればいいの?」
「何でもいいから願い事を叶えて貰えばいいよ。」
「えぇ…」
「召喚の儀式は龍を呼ぶ時と同じだよ。じゃあマナよろしく。」
なんてこった
まさかアルテミスを召喚して願い事を叶えるなんて…
私は少し戸惑いながら召喚の儀式をする
「お願い。アルテミス。」
私がそう言うとアルテミス召喚の儀式は成功し、実体の状態のアルテミスが目の前に現れた
「愛しい愛しい華ちゃんから呼んでくれるなんて夢のようだよ!!」
「いつも聖杯の姿で話しているから退屈しないでしょう?」
「華ちゃんから会いたいと願ってくれるのは初めてだからね!テンション爆上がりだよ!!」
「アルテミスは変わらないね。」
「神は不老不死だよ!変わるわけないさ!実体を保つのは難しいから早めに願い事を言ってくれるかな?」
「えぇ…と…離れていても会いたい人がいるから…瞬間移動の魔法とか…時空空間移動のアイテムが欲しいです。」
「それは卒業して離れ離れになってもいつでもクリスと密会したいと…」
「そ…そうだけど!!恥ずかしいから言わないで!!」
「なんてことだ!!私の華ちゃんが完全に恋愛脳のバカになってしまった!!」
「そ…そんなことないもん!!私は自分の実力で生きていく道を選んだもん!!」
「それでもやっぱり会いたいからこうしてお願いしているんだろう?」
「そう…だけど!!!」
「可愛い〜♡なんて愛らしいんだ!!あんなに恋愛することが苦手だったのに!!すっかり恋する乙女になってしまって!!感激だよ!!私はこういう華ちゃんを見たかったんだ!!」
「もう!!アルテミスの感想なんて聞いてないから!!願いを叶えてよ!!」
「ふむふむ。いくら華ちゃんでも対価なしで願いは叶えられないんだよ。こんな可愛いお願いならすぐに叶えてあげたいんだけどね。一応世界の理というものがあるのさ。」
「何をすればいいの?」
「私は恋愛が大好きだ。」
「知ってる。」
「そうだね…マナちゃんがあと3組カップルを成立させたら願いを叶えてあげる!!」
「ほぇ!?」
「白魔法に瞬間移動の魔法を組み込むことはめんどくさいから私が天界で時空空間を越えるアイテムを作るよ。華ちゃんがカップル3組を成立させる頃にはアイテムが完成出来るようにしておくね!」
「本当に!?約束よ!!」
「契約成立だね!私に楽しい恋愛物語を見せてくれよ!華ちゃん!!」
そう言ってアルテミスは天界へと帰って行った
「…凄いね。聖女様なら成功するとは思っていたけれど…まさか時間空間アイテムがカップル3組成立と引き換えに手に入るなんて破格だよ。」
「本当だよね。私もびっくりだよ。」
「願い事に応じて取引内容はアルテミスが決めるシステムのようだね。」
「アルテミスがこの世界で1番恋愛脳だよね。カップル成立を対価にするなんて…」
「私は恋愛については全くわからないから対価で苦労しそうだな…」
「スリー様は恋人が出来たら叶えてあげるとか言われそうだよね。」
「なんてハードルが高い対価なんだ…」
「私が今から恋人探してあげるよ。そしたら1組目のカップルが成立する。」
「いや…私はいいよ…他の人にして…」
「そんなんじゃ一生アルテミス呼べないよ!!恋愛にちゃんと向き合わないと!!」
「ぐっ…」
「恋愛に苦手意識があるからダメなのよ。案外堕ちるのは一瞬なんだから大丈夫大丈夫!」
「私は仕事しかやらないつまらない人間だよ。私の恋人になっても相手が可哀想だよ。」
「そんなことないって!恋人が出来たら大切にすると思うなぁ〜。」
「そんな未来全く見えないけど…」
「なんか心動かされる女はいないの?王城とかで働くメイドとかさぁ。」
「恋愛は仕事の邪魔になるからね。そんなこと考えたことないさ。」
「今から考えよう!好きな女を作るわよ!」
「私は絶対嫌だ!!恋人が欲しい人なんて他にもたくさんいるだろう?その人達をカップル成立させればいいじゃないか!」
「レックスとかニックとか?」
「なんでマナが振った男の恋のキューピットをしようとするんだよ!!地獄の始まりになるだけだよ!!レックスとニックは絶対やめろ!!」
「マオとか…」
「世界崩壊させたいのか!!やめろ!!」
「冗談よ。」
「心臓に悪い冗談を言うな!笑えないジョークなんて意味ないぞ!!」
「アハハハ!!」
私が楽しそうに笑っていると
「おい!!マナ!!スリーと仲良くしすぎじゃないのか!?浮気だ!!浮気!!」
と遠くからクリスが怒鳴っている
「ごめーん!私スリー様大好きだからー!!」
私がそう叫ぶとクリスは鋭い視線をスリー様に向ける
「ひぃ…ちょっと!!私に敵意を向けるようなことを言うなよマナ!!」
「だって本当のことだもーん。」
「クリス様!マナは私の魔法の姉弟子なだけで!本当にそれ以上の関係は何もないですから!!」
「えぇ〜?嘘はよくないなぁ。寒い夜に身体を温めあった仲なのにぃ。」
「マナ!!やめて!!本当に冗談ではすまないよ!!」
「冗談じゃなくて事実だよ?」
「本当に!!もう喋らないで!!お願いだから!!」
「出でよ!火の龍!!」
クリスは怒りのあまり火の龍を召喚することに成功してしまった
「…習って初日で火の龍を召喚出来るなんて凄いね。」
「きっと私を殺すつもりだからだよ。マナのせいだからね。」
「ごめんね♡でもスリー様なら勝てるから大丈夫だよ♡」
「はぁ…敵にしたくない相手なのに遺恨を残すようなことしたくないなぁ。」
文句を言いながらスリー様は水の龍を召喚してクリスの火の龍と戦い、勝利した
私はクリスに駆け寄って言う
「習って初日で火の龍を呼べるなんて凄いね。びっくりしちゃったよ。」
「…でも負けた。」
「スリー様は1年もミケお爺ちゃんから修行を受けているから今の時点で勝てるわけないよ。」
「…負けたくない。強くなりたい。」
「魔法より剣士の方が向いてると思うけど。」
「どっちも強くなるんだ!」
「フフッ。」
私はクリスの頬にキスをする
「クリスが1番かっこいいよ。」
「負けたのに?」
「スリー様は特別だから。」
「…なぁ。寒い中温めあった仲ってどういうこと?」
「あ。」
「どういうこと?」
「昔の話だよ?外が寒い時に暖炉の前で2人で話したことがあるだけで…」
「ふーん…マナがそんなことをねぇ。マナってスリー様だけは特別な感情があるよね?好きだとかさっきも言ってたし。」
「まぁ…初恋相手?みたいな…」
「はぁ!?」
「え…?」
「俺はマナしか愛したことがないのに!今も昔もこれからもマナ一筋なのに!!」
「昔の話だから…今はクリスしか見てないよ!本当に!!」
「スリー…絶対に…負けねぇ…」
「いや…やめよ?スリー様は全部の精霊の龍を召喚出来る化け物だし…」
「俺だってやってやれる!!マナがスリーが強くて俺が弱いと思っているのも腹が立つ!!」
「剣の腕ならクリスの方が上だよ?」
「マナはスリーのことを俺よりも強くてかっこいいと思っている事実が耐えられないんだ!!」
「別にそんなことないって…」
「そうだよ!俺にはわかる!だって俺はマナをよく見てるから!」
「えぇ…」
「絶対に負けたくない!!マナのことは絶対に渡さない!!」
変に煽ってしまったが為に思わぬ展開になってしまった
「マナが笑えない冗談なんて言うからこんなことになるんだよ。」
スリー様にそう言われて口は災いの元だなと反省した




