第285話 魔法修行デート
私達は無事にハーバランド国に帰国した
驚いたのはミケお爺ちゃんが波止場まで出迎えてくれていたことだ
「ミケお爺ちゃん!!」
私は嬉しくてそのままミケお爺ちゃんに抱きつく
「魔塔から出ることなんてほとんどないのに…どうしたの?」
「…出迎えして何が悪い。」
「ほ…本当に?私を出迎えるだけの為にここまで来てくれたの?」
「マナはいつもキッカ国で問題を起こすから!」
「心配して来てくれたの?」
「別に心配してというわけでは…」
「ありがとう。」
私はにっこりと微笑んで感謝を伝える
「ニック。またスカーレット学園で会おうね。」
「学園生活が始まったらまたピアノ指導するからね。覚悟しておいて。」
「うん。」
私はニックに別れを告げて、ミケお爺ちゃんと一緒に魔塔へと帰る
「おかえり。マナ。」
魔塔にはスリー様がいて出迎えてくれた
「ただいま。スリー様。」
「さっきまでクリスがいたんだけどね…忙しいみたいで城に帰ってしまったよ。明日は1日お休みみたいだからマナとデートしたいと言っていたよ。朝の10時に迎えに来るってさ。マナの好きな場所に行こうって言ってたよ。」
「そう…明日か…」
「何?何か不都合なことでもあった?」
「いやいや!そうじゃなくて…好きな場所って言われても困るなって。明日ならすぐに決めないといけないし…」
「マナは水族館が好きじゃないか。水族館に行って来たら?」
「だって水族館はスカーレット学園の課外授業で行ったことがあるもの。」
「恋人として出掛けるのはまた違うと思うけど。」
「うーん…私は水族館大好きだし、楽しめると思うけど…水族館が好きすぎてクリスのことほったらかしにしそう。」
「別にいいんじゃない?クリスはマナがはしゃいでる姿を見るだけで喜ぶだろう。」
「ねぇ。スリー様なら恋人とデートするならどこに行く?」
「え?私?うーん…遊園地かな。」
「遊園地好きなんですか?」
「いや…私は人を楽しませたり喜ばせることは下手だからね。遊園地なら喜んでくれそうと思って…」
「スリー様だって自分の好きな場所にデートに行かないじゃないですか。」
「だって図書館とかに行っても恋人を放置してしまうだろう?」
「わかります…自分の好きな場所に恋人と行くのって逆に難しいですよね。恋人との時間を疎かにしてしまいそうで…」
「じゃあまた乗馬デートにしたら?」
「新しいことにもチャレンジしたいんです!もっと他にいい感じのデート場所ないんですか?」
「恋愛経験のない私がそんなこと知っているわけないだろう?」
「スリー様は優秀だから何でも知ってるんじゃないんですか!?」
「私が得意なことは仕事だけだよ。恋愛の教授なんて出来るわけないだろう?」
「ミケお爺ちゃんは?恋人と付き合った経験があるじゃない。デートしてよかった場所とかないの?」
「儂はデートなんてしたことない。」
「…本気で言ってる?恋人がいたのに一度も出掛けたことがないの?」
「魔塔から出たくなかったからな。」
「そりゃあ捨てられるよ。」
「うるさい!儂のことはどうでもいいだろう!?」
「明日ってスリー様とミケお爺ちゃんは魔塔で修行だよね。」
「そうだよ。いつも通りのね。」
「じゃあお願いがあるんだけど…」
私はミケお爺ちゃんとスリー様に明日のことをお願いをした
そして翌日になり、朝の10時に約束通りクリスが魔塔へと来てくれた
「おかえり。マナ。キッカ国は楽しめたかい?」
「ただいま。クリス。今回、私はデビューコンサートを行ったのよ。」
「凄いじゃないか!」
「…いつかクリスにも見に来て欲しいな。」
「勿論さ。マナが望むならどこにでも俺は飛んで行くよ。」
「本当?」
「あぁ。約束する。」
「それなら丁度よかった。クリスは風魔法が使えないでしょう?今日は魔法の修行に一緒に混ぜて貰えることになったから。」
「デートじゃないのかい?」
「魔法修行デートだよ。」
「甘い空気がゼロすぎるよ…」
「まぁまぁ。私もクリスのことを紹介したいし。ミケお爺ちゃん。この人はハーバランド・クリス。私の恋人だよ。」
「ハーバランド・クリスと申します。お噂は予々、ミケ様。」
「…よろしく。」
「“儂の孫娘はやらん!”とかそういうのをやってもいいのよ?」
「儂は別に反対等しておらん。それにマナはガードン王に交際を反対される立場じゃないのか?王子様の恋人は由緒正しい血筋の娘じゃないと認めて貰えないんじゃないのか?」
「いきなり現実を叩きつけないでね。泣いちゃうよ?」
「そんなヤワなタイプじゃないくせに。ガードン王に対して図太いことしかしてこなかったじゃないか。」
「世界平和の為だったの。」
「嘘つけ。我儘言ってただけだよ。」
「わかった!わかったから今日の修行を始めましょう!クリスが飛んで会いに来れるように風魔法を習得させてあげて欲しいの。」
「クリスは見るからに複数の魔法を習得するのが得意なタイプではない。火の魔法使いは攻撃力特化をさせた方がいいんじゃないか?マナの護衛騎士のレイも他の魔法は使えなくて火の魔法だけは特化して強くなれたんだから…明らかにクリスもそのタイプだろう?風魔法を習得させるのは難しそうだよ。」
「えぇ…クリスに風魔法を習得して会いに来て欲しかったのに…」
「私利私欲で魔法を使おうとするな。」
「世界が平和になった今、私利私欲以外で魔法なんか使い道ないわよ。」
「あるだろう!?他にも!!」
「うーん…じゃあ今日は初めてだし、火の魔法を特化する修行でいいや。」
ミケお爺ちゃんはクリスに魔法の指導を行う
炎の火力の攻撃力は十分に優れていたようなので
火の龍を召喚する方法を指導しているようだ
スカーレット学園の教師には誰も出来ないから学園で教わることは出来ない
ミケお爺ちゃんに新たなことをクリスは教わって楽しそうにしていた
クリスは私のことになるとバカになるけれど
元々は勤勉な努力家だから魔法の研究とかも好きなのかもしれない
クリスは意欲的な生徒でミケお爺ちゃんも教えることが楽しいようだ
あまり性格が合わないかもと思っていた2人だけれど
意外にも仲良く修行をしている
「初日から火の龍の召喚を練習するなんてさすがクリスだね。」
とスリー様が私に言う
「スリー様は私と同じで複数の魔法を使う方が得意そうだったから初日から龍の召喚とからしなかっただけでしょう?」
「それでも凄いよ。龍の召喚は最大火力が出る奥義のようなものだからね。初日から伝授されるのはさすがだな。」
「龍の召喚はかなり時間かかったからなぁ…今も水龍はすぐに来てくれるけれど、風の龍はまだまだ難しい。呼ぶだけで倒れちゃうもん。」
「マナは2体呼べるんだね。」
「スリー様は?誰か呼べるようになった?」
「私は全部の龍を呼べるよ。」
「…。」
「私は雷の龍が1番苦戦したな。私のような人間はつまらないようでなかなか応えてくれなかったよ。」
「全部の龍を呼べるようになったの?そんなのミケお爺ちゃんも出来ないじゃん。もうミケお爺ちゃんに教わることないんじゃないの?」
「今はこの世界の神様であるアルテミスを召喚する修行をしているよ。」
「いつの間にそんなことに…」
「この世界の神を牛耳れば世の中をもっと過ごしやすく出来そうだからね。」
神を牛耳ろうとしてるのかよ
スリー様は優秀だと思っていたけれど
ここまでくると恐怖を抱くよ
私を畏怖の目で見ているクラスメイトの気持ちが痛いほどわかった




