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第284話 月が綺麗ですね

帰りの豪華客船はライブもなく、ゆっくりと過ごせた

騒ぎになるし、私を狙う刺客がどこにあるかもわからないので、どこに行くにも護衛をつけて

レストランで食事するなら貸切をしなければいけなかったので

ほとんどの時間を豪華客船の部屋で過ごした

レイとマリオお兄様とたわいもない世間話や

チェスやトランプ等、ボードゲームもした

仲良く3人で遊んでいるとアーネルド・マリアに戻った感覚に陥る

マナもマリアも私だけど

2人にとって私は今も昔もあまり変わっていないのだろう

自分の中では全く別人のように感じていたけれど

貸切で施設を使うのは申し訳ないけれど、夜の間1日だけプールを貸切にして貰って遊ぶことにした

「マナって泳ぐの好きだよね。」

とニックが言う

ナイトプールは貸切にして私とニックの2人で遊んでいる

「水の中って気持ちよくない?泳ぐのも好きだけど1番好きなのはこうやって仰向けになって水面に浮かぶこと。ぷかぷかと浮かんで空を見つめるのが好きなの。今夜は満月が綺麗に見えて最高のロケーションね。」

「男女2人きりでナイトプールなんてクリスは怒るんじゃないのか。」

「そうかも。じゃあ私は1人でプールに入るからニック出て行って。」

「やっぱり気のせいさ。クリスは懐が深くなって、俺達の友情を認めてくれているはずさ。」

「観覧車でレックスと2人きりになったぐらいで観覧車を燃やすような男にそんな懐の深さあると思えないけど。」

「そんなこともあったねぇ…懐かしい。あの頃のクリスは初恋を拗らせて暴走していたよね。」

「今も嫉妬深いよ?」

「それでも出会った頃よりは大分マシになったじゃないか。」

「まぁそうね。」

「まさかクリスがマナに選ばれるなんて誰も予想していなかっただろうな…」

「え?そう?」

「だって…マナは誰にでも穏やかで優しいのに、クリスにだけは本気でキレて怒っていたし…」

「私を怒らせるって相当ひどいことしてるよね。クリス。」

「そうだよ。観覧車燃やしたり、無理矢理キスしたり、カイの手紙を燃やしたり…」

「悪の手先そのものじゃない。」

「そこから恋人の座を勝ち取ったんだから凄いよ。クリスの粘り勝ちかな。」

「フフッ。そうね。」

「幸せそうで何より。」

「帰ったらまたデートしたいなぁ。プールと乗馬デートはしたけれど…ニックのおすすめのデートある?」

「仮にもマナに失恋した相手に聞くのはあまりにも残酷だと思うけれど。」

「え?そうなの?ごめんなさい…浮かれすぎかな私。」

「いや…俺はあんまり気にしないからいいけどね。デートはマナが行きたい場所ならどこでもいいよ。クリスはどこに行くのはあまり関係ないと思うよ。マナと2人で遊ぶことが楽しいんだから。」

「自分で行きたい場所とか決めるのって苦手。」

「受け身だね。まぁいいんじゃない?クリスはぐいぐい引っ張るタイプだし。デートのお誘いだけして場所とか全部決めて貰えばいいと思うよ。」

「でもちょっとリードしたい気持ちもあるのよ!」

「じゃあ好きに決めたらいいじゃん。」

「それが難しいからこうやっておすすめのデートを聞いてるんじゃない!」

「リードするなら自分で決めなよ。」

「なんというか…デートの穴場?みたいな知ってたからかっこいいじゃない?だからこうやって聞いてるの!」

「そんなかっこつけなくてもいいのに。等身大のマナがクリスは1番好きなんだから。」

「好きな人に少しでもよく見られたいと思うのは当たり前でしょう?」

「マナって恋愛になると意外と面倒くさい女になるね。」

「え!そんな…嫌われちゃう?恋人になったら思ってたのと違うって思われちゃうかな?」

「クリスはマナの全部を愛してくれるから大丈夫だよ。」

「そ…そうかな!?えへへ!!!」

「…マナはクリスと結婚するの?」

「付き合って間もないのにそんなのわからないよ。」

「クリスと結婚するのは障害が多いからね。一生側にいることを約束しないなら俺だってまだチャンスはある?」

「ないよ。」

「…バッサリ言うね。まぁその方が諦めつくからいいけど。」

「私は一生クリスしか愛さないから。」

「そっか。」

「それに愛なく結婚するなら絶対スリー様にするから。」

「え!?そうなのか!?」

「うん。だからニックは諦めて他の人と恋愛してね。」

「どうしてスリー様なの?」

「下級貴族は継承者問題もないし、頭がいいから黙ってついていけば安泰した幸せな暮らしを用意してくれるからね。」

「なるほどね。」

「2学期始まったらまたカイとミメットを呼んで恋愛相談会やろうよ。上手なお付き合いの方法とか知りたい。」

「俺だけ失恋して独り身になったから惨めになりそう…」

「新しい恋の始め方も教えてくれるわよ!きっと!」

「暫くは音楽が恋人でいいや。」


ザバっと海から巨大な水龍が現れる

水龍は海から出てきて私に近づく

私は水龍の顎を撫でてあげる

「どうしたの?呼んでもないのに出てきちゃって。」

「びっくりした…マナの水龍か。野生の龍に食べられるかと思ったよ。」

水龍はごろごろと甘える仕草をする

それがとても可愛くてよしよしと撫で回す

「構ってほしくなっちゃったのかな?可愛い〜♡」

「水龍って人懐こいんだね。」

「水龍が来てくれたから水龍に乗って空のお散歩でもしようか。」

「え!いいのか!?」

「うん。ほらほら乗って!」

私とニックは水龍の角に捕まると水龍は空高く登って飛んだ

「真っ暗な海と満月しかないけれど、とても綺麗な景色ね。引き算の美学ってやつかしら。」

「うん…俺は風魔法使いだから空はよく飛べるけれど…こんなに高くは飛んだことない。凄い…」

「天界も行けるよ?行ってみる?」

「え…まだ死にたくない…」

「死ぬわけじゃないけど…」

「なんかこわいからやめとく。」

「別世界ってだけでこわくないんだけどな。」

「今の景色が1番いい。」

「そっか。じゃあこの漆黒の海と光輝く満月を楽しもう。」

「月が綺麗だね。」

「その言葉は私の前世では愛の告白の意味があるのよ。」

「え?どうして?」

「2人で月を眺めて美しいと言える関係性は恋人と同じだよって言う意味なの。」

「趣きがある表現だね。気に入ったよ。」

「恋愛講座になったかしら。」

「うん。次に恋をしても2人で月を見て…幸せな時間を共に過ごせる相手にしたいな。」



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