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第270話 デート日和

3年生の1学期が終わり、夏休みになった

今年もピアノコンクールで優勝し、キッカ国に行く

キッカ国に行くのは1週間後で

今日はクリスと乗馬デートの日だ

レックスと朝食を作って食べた後

私はデートの準備をする

好きな人とデートをするのは初めてで

心が落ち着かない

いつもと同じ格好だとがっかりするかなとか思って

髪をアイロンで巻いてみて

少しだけ化粧をしてみる

見慣れない自分の容姿に少し戸惑う

あれ…?これって大丈夫なんだろうか?

変…かな?

いつものマナの方が好みとか可愛いとか言われたらどうしよう

服装は乗馬が出来やすいように白シャツにハーフパンツを履いた

全身鏡で自分の姿を見ているとなんだか気合いを入れすぎているようにも見えて恥ずかしい

下に降りてリビングに行くとミケお爺ちゃんがいた

「え…嘘だろ…マナがおしゃれしている…?」

ミケお爺ちゃんが驚き、たじろいでいる

「やっぱり変かな…?」

「いや…珍しいと思っただけだから…変とかじゃないよ…」

「じゃあ可愛い?」

「え。」

「私…可愛い?」

「あ…あぁ…可愛いよ。」

「えへへ…よかったぁ。」

「…デートするのか?」

「ふぇ!?まぁ…はい。そうです…。」

「その…健全なお付き合いをしているのか?」

「まだ付き合ってはないですけど…まぁ…キスぐらいはしました。」

「ば…馬鹿野郎!!付き合ってもないのにキスするような男なんて最低だ!やめろ!やめろ!!」

「まぁ…私からキスしたこともあります…」

「全然健全じゃねえ!!爛れている!何やってんだお前!!」

「キス以上はしてませんよ?」

「当たり前だ馬鹿!!キスとかそういうのは付き合ってからするんだよ!付き合う前なんて手を繋ぐのもダメだ!」

「えぇ…それはさすがに過保護すぎませんか?」

「儂は普通のことしか言っとらん!マナが爛れているんだ!付き合ってからそういうことはするんだよ!」

「まぁ確かに…」

「今日は手を繋ぐのも禁止だ!」

「じゃあ告白して付き合えたらキスまではOKってことですか?」

「な…!!馬鹿野郎!!付き合ってすぐにキスするなんて破廉恥すぎる!!1年後だ!1年後!!」

「付き合って1年もキスしない恋人なんてこの世にいませんよ…もしかしてミケお爺ちゃん1年もキス出来なかったんですか?そんなに奥手だから大事な彼女に捨てられるんですよ。」

「うるせぇ!儂の話はいいだろうが!!」

「今日のデートは盛り上がりすぎて朝帰りでもしちゃおうかな。」

「絶対ダメだ!!そんな不健全な交際認めないぞ!デートになんか行かせないからな!!」

「フフッ。冗談ですよ。まぁ…手を繋ぐぐらいは許してくださいよ。ね?」

「…17時には帰って来い。」

「早すぎません?」

「普通だ!17時に帰って来なかったら迎えに行くからな!!」

「わかりましたよ…」

ミケお爺ちゃんと話をして少し緊張がほぐれた

私は…クリスのことが好きだけど

王妃になる度胸はなくて

卒業後はキッカ国でピアニストとして活動することを決めていて

そうなると…クリスとはもう長い間会えなくなるわけで

それなら少しだけ思い出が欲しくて

2人きりの恋人同士みたいなデートがしてみたかった

マオにバレないようにこっそりと1日だけ

1日だけ恋に浮かれてデートをしてみたかった


「マナ〜!迎えに来たよ〜!!」

予定よりも30分も早くクリスは魔塔へ迎えに来た

「早すぎだよ…まだ準備終わってないかもしれないのにさぁ。」

「マナ!!めちゃくちゃ可愛い!!デート用にコーディネートしてくれたの?」

「う…うん。」

「凄く似合ってる!世界一可愛いよ!!」

「えへへ…よかった。クリスも今日もかっこいいね。」

「え!いつもかっこいいって思ってくれてたの?」

「うん…」

「可愛すぎる…このままお持ち帰りしちゃいたい…」

「持ち帰ったら後悔するよ?意外と面倒くさい女だからね。」

「いいよ。マナから貰う面倒な事も迷惑な事も俺は嬉しいから。たくさん困らせて欲しいな。」

「フフッ。変なの。」

「愛だと言って欲しいね!」

「じゃあちょっと早いけど…出発しようか。」

私がそう言うと手を差し出してきたので、私はその手を繋ぐ

その瞬間

私とクリスの手は謎の光線に貫かれる

それでもクリスは手を離すことはなく、より一層握り返してきた

私は白魔法ですぐに貫かれた手を治す


後ろを振り返るとそこにはマオの姿があった

「どうして…」

どうしてマオが魔塔に?

私にたまたま会いに来たの?

それより…マオに内緒で私がクリスとデートしようとしていることがバレてしまった

明らかにデートを意識して浮かれてオシャレをした格好をした私を見せることは

マオの心を折るのは十分だった

マオの目には涙が流れている

その後ドラゴンの姿に変化して魔王になった

魔王に変化した瞬間に辺り一面はみるみる草木が枯れ果て

地面が砂漠化していく

ドラゴンのマオが咆哮し、木々があっという間に吹っ飛んでいく

私は急いで鞄から聖杯を取り出して祈る

「恋する乙女に愛の奇跡を!メタモルフォーゼ!!」

アルテミスが考えた祈りの言葉で私は聖杯の力で変身をする

完全にアルテミスの趣味で作られた戦闘服に私は変身する

戦闘服といってもウエディングドレスのような純白ドレスに頭にはティアラもついている

完全なアルテミスの趣味だ

この姿になるとアルテミスの加護の力を最大限に使うことができるが、3分ほどしか力を保てない

今の私の力ではマオを止めて人間に戻すことは不可能に近い

3分で出来るのは…

マオを殺すことだけ

私はマオが砂漠化した土地を一瞬で復活させる

もう少し…修行をして力をつければマオを人間化出来るまで力をつけれたかもしれないのに

今戦うことになるなんて

殺し合いの勝率でもスリー様によると4割ほどしかない

私がマオを殺すことに躊躇いを持てば

私は殺されてこの世界は崩壊する

それだけは…絶対にダメ

甘えを捨てろ

心を鬼にしろ

この世で1番大事な恩人でも

私は殺すと決めたのだから

マオが私に向かって龍の息吹を放つ

息吹を直接浴びるだけで即死するものだ

私は白魔法で防ぎ

「レイ!!」

私は護衛騎士のレイと共に戦う

今の私の力では1人を庇いながら戦うことしか出来ない

1番戦闘力のあるレイをサポートしながら作戦通り私は戦う

レイは炎のドラゴンを召喚してマオへと炎を放つ

鱗が少し焦げた程度だけど効いてはいるようだ

白魔法でレイの魔力を上げながら、マオの動きを封じるように白魔法で作った糸でドラゴンの体を拘束する

浄化することは魔力を消費しすぎるけれど

動きを封じるぐらいなら今の私でも十分出来る

身動きが取れないマオに高火力の炎を浴びせてマオは苦しんでじたばたしている

スリー様の作戦通り上手くいっている

最後に私が白魔法で作り出した剣でドラゴンの弱点である左目を刺せばマオを殺せる

私は白魔法で剣を作り、マオの左目に近づく

ドラゴンの顔の目の前まで風魔法で移動すると

マオは私を噛み砕こうと大きな口を空けた

あ…

死んだと思ったその瞬間


「おい!!何やってんだ!!マオ!!」

チーノが叫ぶ声にマオは反応して動きを止める

「俺がマオと喜劇を一緒に観に行くことを楽しみにしていたこと知ってんだろう!?世界崩壊なんてくそだせぇことしてねぇで早く行くぞ!!」

マオは戸惑っている様子だった

「おい!約束破るつもりかてめぇ!!早く!そんなくだらねぇことしてんじゃねぇよ!行くぞ!!」

マオは観念したのかドラゴンの姿から人間の姿に変えた

「殺せ!今なら息の根を止めれる!マナ!!」

レイが叫んでいるけれど、戦意がなくチーノの元へと歩いていくマオの姿を私は眺めることしか出来なかった

レイがマオを殺そうとするのを

「ダメ!!」

と叫んで止める

「今殺さなければ次は本当にマナ様が殺されてしまうかもしれません!!」

「次はマオを救えるかもしれない!戦う意志が向こうにない限り戦わないで!!」

「殺すのも出来ないのに救うなんて…そんなのやっぱり無茶です!今なら殺せます!マナ様!!」

「ダメ!お願い…レイ…殺さないで…」

か細い声で私はレイに懇願する

こわかった

死ぬかと思った

それでも1番こわかったのは

マオを殺そうとした自分だ

震えと涙が止まらない




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