第262話 頑固
昼休みになり、生徒会室でフェイ君とマリアちゃんに会う
マリアちゃんは副会長に立候補して今年の副会長に当選して今年度の生徒会のメンバーになった
私はソファに座り膝の上にフェイ君をのせて後ろからバックハグをしてフェイ君の頸を吸い込む
「すぅぅぅぅぅぅぅぅ」
「マナ先輩何してるんですか…」
「癒される…」
「セクハラですよ。」
「なによ。私がフェイ君にルークを紹介した恋のキューピットなのよ。少しぐらい私に対価を頂いてもいいじゃない。ケチくさいわね。」
「珍しいですね。本当に心が荒んでいそうです。そんな攻撃的な口調のマナ先輩初めてです。」
「初体験♡なんちゃって。」
「そんなおやじ臭いことどこで覚えたんですか?今すぐ辞めた方がいいですよ。」
「あぁ〜おじさんになりた〜い。人生終わってて何も期待なんてされていないおじさんになりた〜い。」
「かなり病んでますね…」
「クリスに毎日毎日執着されているからマナちゃんが病むことになるよ!マナちゃんは優しすぎる!嫌なことされたら首絞めていいからね!」
とマリアちゃんに言われる
「クリス1人だけならあしらうのになれたけれど、マオとクリスの2人に挟まれるのはキャパオーバーだよ…」
「クリスとマオ君以外の友人と過ごせばいいんじゃないかしら。」
「え?…私…友達なんていないし…」
「ローズ様は?」
「ローズ様は面倒事には手を貸してくれない。」
「本当に役立たずね。ローズ。」
「マナ先輩!行動力あるのみですよ!僕も友達が欲しくてたくさん話しかけて頑張った結果、クラスのみんなと普通に話せるようになりましたよ!」
私はフェイ君の頭をよしよしと撫でる
「フェイ君は本当にすごい。眩しくて仕方ないよ…」
「何言ってるんですか!マナ先輩の方がすごーい人ですよ!どんなことも諦めずに希望を持って努力出来るかっこいい女子です!」
「トラウマに負けずに友達を作ったフェイ君は本当に凄い。私は自分に自信がなくて、努力して手に入れたものしか信じられなくて。臆病で何も出来ない。恋愛初心者の臆病者だよ。」
「最初から全て上手くいく人なんていませんよ。まだ1週間しか経ってないじゃないですか。マナ先輩の恋愛経験はまだ始まったばかりです。まだまだこれからですよ。」
「上手くいくかな…」
「恋愛なんて失敗してもいいんですよ。またやり直せばいいんですから。」
「…フェイ君が大先輩に見えるよ。」
「ふふーん!僕のこと見直した?」
「クリスに隠れてた臆病なフェイはもうどこにもいないね。成長しすぎてびっくりしちゃう。」
「えへへ!マナ先輩のおかげですよ!だから元気だしてくださいね!今度は僕が恋のキューピットになってあげますから!」
「ありがとう。フェイ君。」
私はその後もフェイ君を膝に乗せて吸いまくっていた
なんて良い子なんだろう
後輩にかっこ悪いところばかり見せてられない
愚痴ばかりじゃ何も進まない
覚悟を決めて行動しなくちゃ
放課後、部活動が終わり魔塔へ帰宅しようと下駄箱へ向かうと
マオが待ち伏せをしていた
「…まだ今日ですけど。どうしても我慢できなくて。話しかけてもいい?」
と弱々しい声でマオは言う
「うん。」
「…ごめんなさい。マナに好かれようと必死でマナの気持ちを全然考えていなかった。」
「私は…マオとは恋人にはならないよ。」
「どうして…クリスが好きだから?」
「うん。」
「マナはクリスが好きなのに…キッカ国へ留学を決めているよね?どうして?」
「そんなの恋心とは関係ないでしょう?」
「あるよ。マナはクリスが好きだけど…結婚したり添い遂げる気はないんだ。」
「…。」
「王妃になる選択肢はなく、クリスのことは好きだけど離れる選択を最終的にはする。違うかい?」
「違うわよ。せっかくピアニストとして努力してきて成果を上げれたんだからプロとして本格的に活動したいだけ。」
「離れる選択をするってことはその程度の気持ちってことだよ。クリスが別の人間と結婚したって構わないんだろ?だから…」
「何言ってるの?」
「え?」
「別れる選択肢なんて私してないけど。」
「でも…キッカ国に行くんだろう?王妃になるつもりはないんだろう?」
「キッカ国に行くし、王妃になるつもりもないけど。」
「じゃあクリスとは恋人になっても終わりが来るってことだろう?」
「クリスなら全て捨てて私についてきてくれるわよ。王座なんて他に譲ればいいだけじゃない。」
「…え?さ…さすがにそんなこと…マナに出会う前は王になる為に努力してきたんだぞ?」
「クリスが私に出会ってからは私が世界の中心だから。そうでしょう?」
「…。」
「フフッ。私の恋心がその程度って思ってたんだ。笑っちゃう。世界最強のヒロイン様の一途さみくびらないでよね。私は何度世界がやり直しになったってクリスを選ぶ。必ず。」
「何故?どうしてクリスなの?」
「クリスなら…何度入れ替わっても私を見つけてくれる。たとえおじさんになったって私を見つけてくれる。絶対に。外見じゃない。才能じゃない。私のことを見てくれている。だから好きなの。大好きなの。」
「そんなの僕にだって出来る!!目を覚ませ!クリスだけが特別じゃない!」
マオは私の肩を掴み強引に迫ろうとするので
私は雷をマオに落とす
さすが魔王全く効いていないようだ
「離してよ。」
「嫌だ!僕だってマナの全部が好きだ!絶対に負けてない!1年間も我慢して男として成長したんだ。諦めないよ。絶対に。」
「…誰に似て頑固になったんだか。」
「マナしかいないよ。」