表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
261/279

第261話 拒絶

マナの別れてドラゴンになってから

魔王の森でずっとマナを見守っていた

ずっとずっとずっと

マナだけを見つめていた

愛おしくて堪らない

弟じゃなくて恋人になりたい

どうしてもマナを手に入れたい

それなのに…マナは別の人間を好きになった

僕ではない他の人を

それでも…負ける気がしなかった

だってマナは恋人よりも僕を優先すると言っていたから

いくら初めて恋をした相手でも

僕より大事なわけないんだから

同情でも構わない

マナに恋人にして欲しいと僕が頼めば

マナは最終的には僕を選ぶ

だって僕がマナ中心に世界が動いているし

マナだって僕中心に世界が動いているんだから

僕達は運命共同体

そうだろう?マナ


マナと再会した時に振られてることなんて想定内だった

俺は知っている

お人好しで優しいマナは

強引に迫られたら断ることが出来ないことを

そのせいでクリスが勘違いしているようだけど

僕が強引に迫ると

困ったように揺れる瞳が好きだ

僕のことが大好きなくせに

拒絶をしなくてはいけないと思い込んでいるから

僕のことを意識して考えてくれていることが嬉しくて

このまま強引に押していけば1ヶ月も経てば僕を選んでくれると思っていた


「話しかけないで。」

マナは僕の目を見てはっきりと拒絶をした

初めてマナが僕を本気で拒絶した

怒らせてしまった

マナの優しさに甘えて

あんなに穏やかなマナを怒らせてしまった

どうしよう…

僕のせいだ

…嫌われた?

嫌だ

マナに嫌われたらもう生きていけない

僕はマナの言いつけの通り話しかけなかった

こうして1人で過ごす方がマナはいいのだろうか

僕は…マナの邪魔になっていて

迷惑なのだろうか

僕は1日意気消沈して落ち込んでいたが

恋敵のクリスは全く気にしていないようで

飄々としていた

クリスもマナの言う通り今日は話しかけていないのに…

「ねぇ。マナに怒られたのに元気そうだね。なんで?」

不思議に思ったのでそのままクリスに聞いてみた

「怒っているマナは貴重だからね。久々に見れて嬉しいなって。」

「あんなに穏やかな人を怒らせたのに…気にしないんだね。」

「マナは主体性がなく、他人の意見に合わせることがほとんどだからね。こんな風に自我を通して怒ることはレアなんだよ。」

「それほど嫌なことをされたってことだろう?」

「まぁね。でもさ。マナは寛容で優しいから我儘なんて言わない。こうやって時々怒らせて我儘言わせることもいいんだよ。マナはね俺にだけは怒るんだ。他の人には怒ったことなんてないのにね。ちょっと優越感。」

「ポジティブすぎませんか?唯一の嫌われ者じゃないですか。」

「マナが人を嫌うことなんてほぼないから大丈夫だよ。」

「そんなことを繰り返していたからいつか本当に嫌われてしまいますよ?」

「大丈夫大丈夫。一緒にいれば嫌なこともあるけれど、それ以上にたくさんのいいことがあるから。」

「僕は嫌われたくない…話しかけるのがこわいよ。」

「じゃあ明日から俺がマナを独り占めだな。」

「…。」

「ちょっと怒られたぐらいで冷める男に負ける気がしねぇな。」

「冷めたわけじゃない。こわいんだ。」

「怒ったマナがこわかったのか?アハハ!!尚更やめとけよ!怒ったマナも最高に可愛かったよ。もっと好きになっちゃったね!」

「ドMなの?」

「マナの全てが好きなだけさ。」

「怒らせてばかりで、笑顔にさせたことなんてないくせに。」

「そうなんだよな…マナは愛想笑いはよくするけど…マナは本来心の底から無邪気に笑うやつなんだ。アーネルド・マリアの時に初めて見た笑顔は本当に可愛かったなぁ…また見たいから笑わせようと頑張っているけれど、俺にはユーモアのセンスがないみたいだ。」

「王様になる為に生きていきた人間がユーモアセンスがあるわけないだろ。」

マナに拒絶されたくせに

嬉々として話すクリスに

敗北感を味わった

さすがマナを強引に堕とした男だ

それでもマナだけは譲れない

僕の最愛の人を

返してもらうよ


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ