第26話 一件落着?
アリサが突然私にキスをして、場が静まる。
「フフッ。キスして黙らせることって本当にあるんですね。」
「うるさかったのは私じゃないよ…。」
「そうでしたか?」
アリサが惚けたようにイタズラしたような顔で笑う。
「アリサ!!何やってんだ!!不敬で解雇だぞ!!」
「はわわわわ!!ドロドロの百合百合展開に!?」
レイが慌てて取り乱しているが、アルテミスは更なる恋愛要素に喜んでいる。
「レイ。お嬢様隙だらけなんだからちゃんと護衛しないとダメじゃない。私が解雇なら一晩で二人に口付けを許した無能な護衛騎士も一緒に解雇ね。」
「そんな理論通らねえよ!解雇されるのはお前だけだよ!!一生お嬢様に仕えるんだろうが!!なんでこんなこと…。」
「マリアお嬢様。このままだと私解雇されるそうです。」
「え…やだ…。」
「嫌ですよね。お嬢様は私のこと大好きですもんね。」
「うん…。」
「じゃあ私にキスしてくれますか?」
「はぇ!?」
「このままだと主人を穢した使用人として解雇されちゃいます。マリアお嬢様は美人なら誰でもキス出来るのでしょう?私が相手でも問題ないですよね?ローズ様が良くて私がダメな理由なんてないですよね?」
そう言いながら、アリサは顔を近づけてくる
「ねぇ?私じゃダメ?」
あざとい。可愛い。急な過多のデレ要素に頭が追いつかない。
「や、辞めろ!!」
レイがアリサと私を慌てて遠ざける。
「まぁ。冗談ですよ。」
「当たり前だ!」
「本気でも良かったですけど。」
「おい!ふざけるのもいい加減にしろ!!今ここで俺に首を跳ねられても文句言われないんだぞ!!なんでキスなんかしたんだよ!」
「ポッと出の悪役令嬢に盗られてムカついたからですね。美人なら誰でもいいようでしたので。」
思わず苦笑いをする。私の評価が美人なら誰でもキスするようなキス魔になってしまっている。
「私がマリアお嬢様の唇を奪ったことは黙認して頂けると助かります。解雇で済めばまだいいですが最悪首が跳びますので。」
「言わないよ。」
「レイもね。」
レイは無言でアリサを睨みつける。
「…今回だけな。次は俺がお前の首を跳ねる。」
「うん。よろしくお願いします。」
物騒な約束をしてるけど、大丈夫かな。
「私は口が軽いので秘密とかは苦手なのですが…」
アルテミスが空気を読まずに発言をする。
その言葉の後にアリサは聖杯を地面に叩きつけて聖杯を壊してしまった。
「完全犯罪完了と。」
「一応この世界の神様なんだけど…」
「ただの過激派の少女マンガオタクでしたよ。」
砕け散った聖杯を黙々と掃除をしながらアリサは答える。
この世界の神様めちゃくちゃ雑に扱われてるな。