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第25話 キス

「少しは懲りましたか?」

お兄様の部屋から自室に戻った。私の部屋にいるレイと目を合わせた時に言われた。

いつもは私の行動に全肯定するのに…

私はお兄様に感電させられてボロボロになって帰ってきたけど、怒る様子もない。

いつもはかすり傷一つで大騒ぎするのに

レイが私のことを冷めた目で見つめるのは初めてだった。

レイの態度にアリサも驚いている。

「はい。もう懲り懲りですね。」

「まだまだ元気そうに見えますけどね。」

「なんかいつもと違うね?レイ。」

「マリアお嬢様がいつもと違うことをしたからじゃないですか?前世の女が一番好きなんですね。俺達はおまけですか。前世の絆なんて言われたら俺達敵いませんから。」

「やだなぁ。そんなんじゃないよぉ。前世でローズ様と話したことなんて殆どなかったし、さっき初めて沢山お話したんだから。」

「前世の女友達だったと聞いてましたが。」

「少し盛りました。前世のクラスメイトです。話したことはあまりなかったよ。」

「じゃあなんでそんな相手とキスしたんですか?前世の想い人だったとか?」

レイがそう言うとアリサはとても驚いていた。

「ローズは私のこと嫌いだよ。だからローズからキスされたのはただの嫌がらせだと思う。だから、私も少しローズを困らせたかった。ただそれだけ。好きとか嫌いとかそんなんじゃない。私達の間柄は寧ろ敵対関係に近いし…。」

「マリアお嬢様はすぐに好き好き言うし、抱きついたりすることは誰にでもよくやる行動だけど、キスだけはしたことないんですよ。手にも、頬にも、ましてや口なんて。それはキスの行為をマリアお嬢様は特別なことだと思っていたからじゃないですか?本当の恋人にしたかったから誰にもしなかったのでしょう?」

「まぁ…そうかもしれないけど…。」

「それを少しも好意のない相手にするんですか?本当に?」

「前世では私のせいでローズは辛い思いをさせた。そのことをローズは今も昔も怒ってるし、私のこと嫌いだから…。ほっとけないの。ローズには幸せになって欲しい。前世からの仲間だし仲良くしかったの。ローズからしたら余計なお世話なんだろうけど…。二度と会いたくないって言ってたし。」

「私が知りたいのはマリア様の気持ちです。あの女が好きか嫌いかどっちなんですか!!」

「好き。」

「ほら。やっぱりあの女はマリア様の特別なんだ。」

「そんなんじゃないってば!私はアーネルド家のみんなも大好きだよ?」

「俺達は家族だからでしょう?マリアお嬢様はあの女を明らかに特別扱いしている。」

「前世からの仲間だからだよ。」

「…イライラする。前世からの仲間だからという理由だけで特別に大事にされてるあの女が気に入らない。俺達が願っても手に入らない愛情をあいつは貰えることが気に入らない。」

「愛情というか…熱い友情かな…。」

「うそだぁああ!!マリアお嬢様が誰と恋仲になろうと一生側で守ろうと誓っていましたが、あんな女はいやだああああああ!!ポッと出の女にマリアお嬢様が盗られたあああああ!!あんな女のどこがいいんてますかあああ!!」

「だからそんなんじゃないって…どこがらいいかを答えるならキスされた後の顔が最高に妖艶で美人だったよ。勝ち誇ったような悪戯そうな笑顔が最高でしたね。」

「やっぱり恋じゃないですかああああ!!いやだああああ!!お嬢様にはまだまだ早いですうううう。」

「だからそんなんじゃないってば…」

「うわあああああああああ。現実を受け入れられないいいい!!何でよりによってあんな女なんだあああ!!前世とか知らねーよ!!なんでたった一日で俺の大事なお嬢様盗られないといけなんだあああ!!」

「すごーく!盛り上がってるね!!」

急に聖杯が話しだす。アルテミスだ。

「今呼んでないんだけど…。何か急用ですか?」

「何も用はないけれど語りたくてね!!どうしても!!いやーマリア様のヒロインぶりは悪役令嬢も手玉に取るんだから凄い!!凄すぎるよ!!敵対関係のライバル関係だと思ってみてたらまさかのラブ展開に心が天に登ったよ!!

ケンカップルっていうやつ!?さすがはマリア!!君は天性のヒロインだ!!誰とでも恋愛が出来るんだあ!!」

「用がないなら黙ってて貰えますか?今構ってる暇ないので。」

「マリアは女も男も虜にする最強のヒロインだ!」

「私はモブ令嬢です。黙ってくれますか?」

「マリアお嬢様はまだ十四歳なのに!穢された!ポッ出の女に!!キスなんかしやがって!!会って5分も経ってないのに!!そんな女に横取りされるなんて耐えられねぇよ!!」

もう収集がつかなくなってきた。反論するのも疲れた。現実逃避して寝たい。

なにもかもが嫌になってボーっとしていると

突然、アリサがキスしてきた。




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