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第249話 王の器

お昼休みになり、私は生徒会室へと向かう

「ハッピーバレンタインです!マナ先輩!」

この世界で1番可愛い男の子のフェイ君が私にバレンタインチョコをくれた

「ありがとうフェイ君…。めっちゃ嬉しいよ…。」

教室で村八分にされた後にフェイ君の癒しの笑顔は心にくるものがある

あまりにも可愛くて思いっきりぎゅーっと抱き潰してしまった

「ちょっと!何するんですか!?」

「手放したくないなぁ…」

「何言ってるんですか!マナ先輩がルーク様を紹介してくれた愛のキューピットなのに。僕がチョコをあがるのはマナ先輩とルーク様にだけですよ。マナ先輩はルーク様と出逢わせてくれたお礼にです!」

「ルークはフェイ君のこと可愛がってくれているの?」

「そりゃあもう!毎日世界で1番可愛いのはフェイだよって言ってくれるんです!」

「目に浮かぶよ。」

「えへへ!マナ先輩もちゃんと髪とか肌とかお手入れすれば僕にも勝てる可愛さが身につくと思いますよ!」

「可愛さはもう身につかなくていいや。もっとこう…恋愛のやり方とか…そういうのが身につきたいな…」

「お!マナ先輩にも春が来たんですか?」

「言い方が謎におっさん臭いわね。」

「そんなに照れなくてもいいですって!大好きな殿方へのアプローチのやり方を困ってるんですか?」

「いや…相手はもう私にメロメロだから。」

「マナ先輩!僕はもう恋人がいるので気にしませんが、モテ自慢をするのは不愉快に思われますよ!」

「事実を言っただけなのに。」

「その態度が気に入らないんですよ!好きな人に振り向いてもらおうと、可愛くなろうと努力してモテようとしている乙女達が報われません!」

「そんなこと言われても…」

「存在が女の敵なんですから!発言には気をつけてくださいよ?」

「わかったわよ。」

「ところでクリス様はどうされたのですか?」

「え…」

「え。じゃなくて。どうして早退されたんですか?」

「あぁ〜…私とキスして投獄されました…」

「…。」

「あはは…」

「しっかり手綱握ってあげてくださいよ。」

「そんなこと出来るわけないじゃん。恋愛初心者が。」

「早く付き合ってあげればいいじゃないですか。可哀想なクリス様。」

「色々と事情があるんですよ!」

「大人の事情ってやつですか?」

「まぁ…そうなのかな?」

「ふーん…まぁいいや。さぁ!食べてくださいよ!僕のチョコはマナ先輩の有象無象に気安くあげているチョコとは違って特別貴重なんですから!」

「どさくさに紛れて私のチョコの価値を下げないでくれます?」

「ほら!見てください!流行りに疎いマナ先輩は知らないかも知れませんが…貴族の間で大流行している貴重なチョコなんですよ!」

「そんな貴重なの?」

「マナ先輩のチョコとは比べ物にならないほど!!」

「そ…そう…」

私はパクッと一口食べてみた

「え…凄い…滑らかで美味しい…」

「そうでしょう!そうでしょう!!」

「ありがとうフェイ君。」

「えへへ!マナ先輩の手作りチョコもとっても美味しいですよ!ありがとうございました!」


そして私は生徒会長席に座っているマール様に話しかける

「マール様。お久しぶりです。」

「マナがクリスを牢屋送りにしたせいで俺が生徒会の仕事に駆り出されることになった。最後まで手がかかる後輩を持って…本当に楽しかったよ。」

マール様は本来ならもう生徒会も引退しているが

今日はクリスがいない為、ここで生徒会長の仕事をしている

「卒業後はなかなか会えなくなりますから…寂しいです。」

「制服の男女差別化をなくしたり、生徒間の揉め事を解決することも本当に大変だったけれど…最後までやり遂げられた達成感はあるよ。」

「マール様の名演説がもう聞けないなんて寂しいなぁ。人前に立つとスイッチが入ったかのようにかっこよくなりますよね。」

「人前では貴族らしく振る舞うように気をつけているだけさ。」

「スリー様の後任の生徒会長なんて重圧も凄かったのに素晴らしい活躍でしたよ。本当にお疲れ様でした。」

「本当に辛かったよ。でも…それでも楽しく仕事が出来たのはマナやクリス様やフェイ君が俺を支えてサポートしてくれたからだよ。ありがとう。」

「マール様の人柄の良さがあるからみんなが頑張ってサポートしてついていけたんです!マール様は人を導く才能がありますから!王様とか向いてると思いますよ!」

「…プッ!アハハハ!!1年間生徒会長をやっただけで力尽きている男が王になんてなれるわけがないよ!」

「私は人を見る目には自信があるんです。クリスよりもマール様の方が絶対国を支える王に相応しいと私は思いますけどね。」

「面倒なことを押し付けようとしてないか?」

「押し付けるなんてそんな!いつも一緒に仕事してきたじゃないですか!」

「意外と真面目にやるから驚いたよ。」

「私を何だと思ってたんですか…?」

「可愛い後輩達に囲まれて楽しい生徒会だったよ。マナ達ならもっとより良い学園生活を作れるんだろうな。安心して卒業出来るよ。」

「私も大好きでしたよ。この生徒会が。マール様のお陰です。」

「うん。ところで俺に渡すものはないか?」

「え?」

「その有象無象のチョコとやらを」

「あ…」

「え?まさか…」

「ま…まさか生徒会にまたマール様が来るなんて思わなかったから…」

「思わなかったから?」

「マール様のチョコはないです!!」

「ひどい!予備のチョコぐらい用意しておけよ!リスクヘッジ管理が足りないよ!!」

「明日教室まで届けに行きますから…」

「いいよ!もう!恥ずかしい!!」

「本当に感謝しているんです!大好きです!マール様!!」

「うるせぇ!俺のチョコは用意しなかったくせに!」

「3年の教室にチョコだけ渡しに行けないですよ!」

「下駄箱にでも入れとけ!」

「明日!明日下駄箱に入れますから!!」


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