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第248話 ちょろイン

イシュタル先生が“痺れて動けないから白魔法で回復して欲して!”と懇願してきたが契約違反の罰だと一蹴して隠し部屋を出る

電撃の魔法は痺れはあるものの、動ける程度には調節したからほっといていても大丈夫だろう

最近のイシュタル先生は触れてはいけないという掟をすぐ破る

破った罰が毎回痺れる程の電撃を喰らわせるだけだからだろうか…

絶対調子に乗ってる

すぐに動けないほどの電撃のはずなのに

電撃喰らいすぎて耐性ついてきてるんじゃないか

そんなことを考えながら歩いていると教室に着いた

「おはよう。マナ。」

いつも朝1番に声をかけてくるのはクリスだ

「おはよう。クリス。」

「今日は何の日か知っているか?」

「勿論。バレンタインデーでしょう?」

「恋人になってから初めてのバレンタインだからね。今日という日を楽しみに毎日指折り数えていたよ。」

「恋人になった覚えはないですが。」

「あぁ…まだ友達以上恋人未満ってやつだっけ?」

「…。」

「マナがこの世で1番大事にしているラスボスを待たないといけないからね。」

「期待している所申し訳ないけれど…全員同じ義理チョコしか持ってきてないわよ?」

「えぇ!?嘘だろう!?」

「当たり前でしょう…私達は友人なんだから。」

「ちょっと!こっち来て!!」

そう言ってクリスは私の手を引っ張ってどこかに連れて行こうとする

「だめだめだめ!!ここでチョコは渡すから!」

「いやだ!せめて2人きりになりたい!」

「だめだめだめだめ!!密会だけはダメ!!」

「バレンタインに少しぐらいのご褒美があってもいいじゃないか!」

「だからこの手作りチョコがあるじゃない!」

「こんな有象無象が貰っているチョコなんて興味ないよ!」

「あーーーー!!今ライン越えのひどいこと言った!!有象無象だろうが私が気持ち込めて作ったチョコをそんな風に言うなんて最低!!絶対クリスにあげないんだから!!」

「チョコレートなんておまけみたいなものだろう!?バレンタインデーだから恋人同士イチャイチャが許される日のはずだ!!」

「だから私達恋人じゃないってば!!」

「くそっ!!何でなんだよ!!去年だってほっぺにチューまでは許してくれたじゃないか!」

「なっ…!!ちょっと!!こんな教室で恥ずかしいこと暴露するなんて信じられない!最低!!」

「もっと恥ずかしいことを暴露してもいいんだよ?俺は別に困らないし?」

「なっ…!!」

なんて卑怯なやつなんだ

そして自己中すぎる

欲望丸出しの獣じゃないか

つい雷魔法で電撃を出しそうになる

一応私はまだ白魔法しか使えないということになっていて

全部の魔法が使えるのはまだ秘密にしているので

人が大勢いる前では白魔法以外の魔法が使えない

攻撃したい衝動をグッと堪える

落ち着け

クリスは私に惚れていて盲目になっているはず

ここは私が逆に押せば

全て丸く収まるのでは…!?

私はクリスの顔をガッと掴んで視線を合わせる

「なっ…」

クリスは驚いてる

効いている

押せばいける!!

「そんな意地悪言わないで…やめて…ね?」

私は最大限にあざとく可愛くクリスに言う

絶対にノーとは言わせないように

「冗談だよ?マナの困ることを俺がするわけないじゃないか。」

脅してきた態度とは180度変わって大人しく従順になった

「よかった!じゃあこれチョコレートね。1つ1つ愛情込めて作ったから有り難く食べてね。」

「あ。」

クリスが口を開けて待っている

「…何?」

「食べさせて。」

「こんな公衆の面前で?恥ずかしくて出来ないよ。」

「トマトは口に入れたくせに。」

「…まぁそんなこともあったわね。」

「じゃあ2人きりになれる場所に移動する?公衆の面前じゃなければいいんだろう?」

「え…」

2人きりはまずい

私達が両思いであることが確定してる今

クリスに押せ押せで迫ってこられたら

私が上手くあしらえる自信がない

だって好きなんだから

私達が理性なく暴走してイチャイチャして

魔王様が大激怒して

世界崩壊しましたなんてなったら

洒落にならない

頭の中お花畑の大馬鹿エンドになる

それだけはダメだ!!

だってバカすぎる!!

私は意を決してチョコレートをクリスの口に入れることにした

「あーーん。」

私は手作りチョコを持ち、クリスの口を開けるように言った

クリスは口を開けてパクッと食べる

「美味しい。」

にっこりと目を合わせてクリスは言う

あまりのかっこよさに照れてしまって、私は顔を真っ赤にして俯く

「マナ?どうしたの?」

「な…なんでもない。」

「照れちゃって。かーわいい♡」

「私はいつも可愛いもん。」

「アハハ!確かに!でも照れてるマナは貴重だから照れマナをもっと見たいな。顔を上げて見せてよ。」

「ゔーーーーーーーーむりいいいいいいいいい。許して…。」

クリスは私の耳元に囁いて小さな声で

「いつか恋人になったらその照れた顔を隠さないで見せるって約束してくれるならいいよ。」

と言った

私は思わずバッと顔を上げてクリスを見ると

クリスは私の顔をガッと掴み

「捕まえた♡」

と言ってそのままキスしてきた

私が驚く間もなく、上から護衛騎士のレイが降りてきて、あっという間にクリスを拘束してしまった

「無礼者。マナ様に近づくな。」

とレイが言う

「俺はマナを口説いているだけさ。無礼なことは何もしていない。」

クリスが答える

「黙れ。本人の同意もないままキスしただろう?」

「いちいち確認してキスなんてしないよ。」

「恋人じゃないならルナ様に対してのセクハラだ。投獄する。」

「え!?ちょっと待って!!俺達は両思…」

クリスが言い終わる前に、レイはクリスの首を落として気絶させた

「マナ様。申し訳ございませんでした。この無礼者は牢屋に入れてきますのでご安心ください。」

「べ…別にそこまでしなくても…。」

「ダメです。周りに示しがつきません。マナ様の同意なくキスする無礼者は犯罪者です。」

「でもその人この国の王子様だけど…」

「関係ありません。では。」

そう言ってレイは本当にレイを連れて行ってしまった

気を取り直して私は教室にいるローズ様とミメットにチョコレートを渡す

「バレンタインのチョコです。美味しく作れたので食べてください。」

「マナもさ…あざとくて可愛いから隙だらけなんだよ。クリスに毎回騙されて喰われてるじゃない。いい加減学びなさいよ。」

とローズ様から苦言を言われる

「ちょっと反撃したつもりだったんですけどね…。」

「どこが?あんなの襲ってくださいって言ってるようなものじゃない。警戒心なさすぎる。」

「そ…そうでしょうか?」

「佐々木華の頃は警戒心しかなかったくせに…いつのまにくそちょろヒロインになってしまったのか…」

「そ…そんなことないです!ちょろくないです!」

「ミメットもそう思うわよね?」

ローズ様はミメットに話をふる

「ちょろインですね。」

とミメットが答える

「うう…」

2人に責められて私は縮こまる

「あれはクリスも被害者のようなものよね。あんなので牢屋に入れられるなんて可哀想。」

とローズ様が言う

「そ…そんな!ローズ様がクリスの肩を持つなんて!!」

「男を誑かした罪でマナが牢屋に入れられるべきだわ。」

「ひどい!そんなことしてないのに!」

「無意識なのがタチ悪い。極悪女ね。」

「聖女だもん!!」

「公衆の面前で男を誑かすのやめなさい?そんなことばかりしてるから女に嫌われるのよ。」

「魔性でしたね。クリス様ご愁傷様…。」

「聖女なのに!!」

女子2人に冷ややかな目で非難されてしまった

私が女の子からの支持が上がることはないのだろうか

可愛い2人からの好感度がガクッと落ちてしまって

普通に落ち込んだ

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