第245話 ワーカーホリック
私とスリー様はアーシャ国でスキーとスケートを2日間楽しんだ
「帰りたくないなぁ…。」
「私はようやく帰れることに安堵していますね。」
「えぇ!?こーんなに楽しく遊んだのに!もっともーーーっと遊びたくないんですか?」
「楽しかったけれど…やっぱり仕事をしていないと落ち着かないや。」
「ワーカーホリックですよそれ。」
「年に1度マナが遊びに連れて行ってくれるぐらいで十分だよ。」
「私は1年中遊びたい。」
「堕落した生活は不安にならない?」
「一生遊んで暮らせるお金があるから平気。」
「ダメな人間になるって思わない?」
「世界救った後は思いっきり堕落してダメ人間になって余生を過ごしたい。」
「まだ10代なのに余生を過ごすのかい…?」
「私は1日中何もしないで過ごせる人間だよ。」
「信じられない…。」
「でもね。私は人に影響されやすいの。今はスリー様みたいなワーカーホリックと住んでいるせいで私も常に働く人間になっちゃったわ。」
「ミケ様のこと?」
「そう。ミケお爺ちゃん人使い荒くてひどいんだから。」
「ミケ様は魔法研究が生きがいで毎日黙々と研究されてますからね。」
「あ。そうだ。ちょっと試したいことあるんだよね。」
「何?」
「修学旅行でマチャマチャ島に行ったじゃない?あそこは自然豊かで海が近いし、水龍が住んでいるからか水魔法が使いやすかったのよ。」
「ほう。」
「私達は精霊から力を借りて魔法を使うでしょう?精霊達が過ごしやすい場所は魔力が上がるんじゃないかなって。」
「うん。素晴らしい仮説だね。」
「だからね。ここ。雪国でしょう?」
「そうだね。」
「バーバランド国で雪や氷を操る魔法を使うのは難しくてほとんどの人間は使わない。同じ水魔法でも難易度が跳ね上がる。でも…雪国アーシャ国なら。」
私は魔法を使って氷を作る
「ほら。簡単に出来る。」
「うーむ…気温の関係もありそうだけど…」
スリー様も氷や吹雪を魔法で使う
「なるほど。確かにいつもより魔力が上がっている。」
「そうでしょう!?ミケお爺ちゃん引き篭もって研究してるから気づかないんだよ!!」
「いや…流石に知ってると思うけど…こんな簡単に判明するんだから。」
「いや!わかってないよ!引き篭もりだもん!」
「つまりはさ。もしも魔王と戦うようなことになるなら自然豊かな場所がいいってことだろう?」
「さすがスリー様!理解が早いですねぇ!」
「攻撃力が高いのは炎の魔法だけど…そうなるとどこがいいんだろうね。」
「火山とかマグマがある場所とか?」
「そんな場所こちらが体力消耗しそうだけどね。」
「うーん…魔王の森はさ。絶対魔王が有利だよね。」
「そうだね。黒魔法が使いやすい環境だと思うよ。」
「魔王を弱体化させるような場所ってどこかあるのかな?」
「それは白魔法が使いやすい場所という意味?」
「うん。」
「魔王の森があるなら聖女の聖地のような場所もあるかもね。帰ったらアルテミスに聞いてみよう。」
「マオと戦いたくはないけどねぇ。」
「対策はしないとね。」
「そろそろ帰ってあげないとミケお爺ちゃんも寂しがるかもしれないし、帰ろっか。」
「フフ。マナもワーカーホリックなんじゃないか?遊びに来ているのに働いている。」
「そう見えるならミケお爺ちゃんのせいね。」
「もしもの時の為にこの世界全体の精霊の力を底上げする為に環境保護を進めていかないとね。」
「そんなこと出来るの?」
「出来る出来ないじゃないよ。やってみないとね。」
「不思議だね。無謀なことなのにスリー様が言うと全て解決してくれるんじゃないかって安心感があるよ。」
「来年の今頃は世界崩壊の危機も乗り越えていて…何も考えずに思いっきり遊びたいですね!」
「いいね。とても楽しみだよ。」
私達はアーシャ国からハーバランド国へと帰り、3日間の正月休みを終えた