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第244話 初恋の人

「私1人に世界の命運がかかってるのって荷が重すぎると思わない?メンタル病んで当たり前だと思う。」

「この世界はマナの為の世界だから。マナがどんな選択をしてもいいんだよ。」

「いやいやいや。そんなこと言ってるのスリー様だけだから。確かにこの世界は私の為に作られた世界だけれども、この世界は10億人ぐらいの人口がいて、私の身勝手な選択で崩壊してもいいわけないんですよ。」

「崩壊した後、世界は再生されるだろう?やり直しになるだけだよ。」

「いやいやいや!それがダメなんじゃん!私の身勝手で何度もループさせることになるってことでしょう?」

「みんな記憶はリセットされるから大丈夫だよ。」

「全然大丈夫じゃないよ…スリー様は世界が崩壊してもいいの?」

「まさか。崩壊しない為に四六時中働いているのに。」

「じゃあどうしてそんなことを言うの?」

「もしもそうなってもマナのせいじゃないし、気にして欲しくなかったからね。」

「世界が崩壊したら私のせいでしょう?」

「マナのせいじゃない。だって…マナは世界が崩壊しないようにこんなにも努力している。私は知っている。世界を救う為に頑張っていること。だから失敗しても…マナのせいじゃない。マナはこの世界を愛していて、救う為に働いている。」

「私の努力が報われるかはわからないけどね。」

「それはみんなそうだよ。努力は報われるかはわからない。それでも…成功する為に努力は惜しまない。」

「ねぇ…マオって私と恋人になりたいって言ってる?」

「うん。」

「そっか…」

「マナはマオ君がこの世で1番大事だと思ってたから…好きな人がいるって聞いて驚いたよ。」

「今でもマオが1番大事だよ。」

「でも迷っている。だから相談したいんだろう?」

「…うん。そうだね。迷っている。何を選んでも正解なんてないから。」

「どちらを選んでも後悔するってこと?」

「好きな人を選んだらマオと戦うことになって…マオを傷つける結果になる。マオを選んでも私は別の人を愛してしまっているし…誰もハッピーエンドにはならないよ。」

「恋愛は誰かが傷つくように出来ているんだ。全員が幸せになるのは不可能だよ。」

「それは…わかっているけど…」

「マナがどの選択をしてもこの世界が崩壊しないように私達がサポートする。気にせず好きなように選べばいい。」

「えぇ…やだぁ…スリー様が決めてくださいよ…私はそれに従いますから…」

「何故わたしが!?」

「世界の命運背負いたくないですよぉ。スリー様に言われてやりましたって言って責任逃れしたい。」

「なんて卑怯な発想なんだ…」

「卑怯者でもいい。自分の選択でこの世界の命運を背負いたくない。誰か助けて。」

「誰でもいいならガードン王に背負わせたらいいじゃないですか。」

「マオを殺せとしか言わないよ。あの人。」

「ほら。結局誰が選んでもマナは自分で選択するんだよ。諦めて覚悟しろ。」

「あーぁ!優秀なスリー様が決めてくれたら楽だったのになぁ!!」

「役不足で申し訳ございません。」

「大役担ってるくせに。」

「私なんて脇役ですよ。」

「1番優秀なのに…いつも謙遜するよね。スリー様。」

「マナ様だけですよそんなに私を買ってくれているのは。」

「そんなわけないじゃん。王様から重要な役割任されて結果出してるのにさ。」

「たまたまですよ。」

「…スリー様は友人も家族もいないって言ってたじゃん?」

「はい。そうですね。」

「家族はともかく…友人は欲しいと思わないの?」

「思わないですね。」

「どうして?孤独は辛くないの?」

「私にはマナがいるから。それだけで十分です。マナが私を認めてくれるだけで…私の世界は色づきますから。」

「それでも…友人が出来るなら欲しくないですか?」

「…私にはそんな経験がないのでわからないですね。」

「スリー様はさ。凄い優秀で、才能が秀でているから孤独になりやすいんだよ。天才の考えは一般人には理解され難いからね。人と違うと言うだけで排他される。世の中生きづらいよね。」

「私は1人が気楽だからいいんだよ。理解してくれるのはマナだけで十分だ。」

「私もさ。普通じゃないんだよね。容姿もそうだし、白魔法もそうだけど…1番変なのは全人類愛せること。私を襲った変態教師でさえ愛せるの。常人には理解し難いよね。」

「うん。そうだね。イシュタル先生は死刑にするべきだよ。」

「フフ。面白くていい人なんだけどなぁ。」

「ただの性犯罪者のクズ野郎だよ。到底許されるような人間ではない。」

「まぁ…イシュタル先生のことは今はいいや。話が逸れちゃった。私が言いたいのは私達は普通の人に理解されないから孤独になりやすいってことだよ。それでも…理解されなくても自分のアイデンティティを貫きたい。孤独でも構わないから自分を貫きたい。」

「私にはそんなアイデンティティはないけれど。」

「そう?低脳なフリをすることだって出来たはず。本当に友人が欲しかったらね。」

「そんな余裕なかっただけだよ。」

「違うよ。他者と関わるよりも、自分のアイデンティティを優先したんだよ。だから私達は孤独なの。」

「他者と関わるメリットなんて何もなかったからね。」

「孤独が消えるという大きなメリットがあるじゃない。」

「本当の自分を理解されることはないよ。」

「そう。だから私達は結局孤独になることを選ぶ。理解されないから。」

「マナには友人がたくさんいるじゃないか。」

「本音を話し合うような間柄はいないけどね。」

「ずっと孤独だってこと?」

「そう。でもそれでも構わない。…私達本当によく似てると思わない?」

「それさ。マナはよく言うけど私は全く思わないよ。」

「どうして?」

「マナみたいにみんなに愛されたことなんてないからね。」

「アハハ!似てるはずなのに不思議だね。」

「だから似てないんだよ。マナと私は。」

「えぇ〜?似てるよぉ。自分に自信がなくて、他人任せで、努力していないと不安で、周りに理解されづらくて、孤独になってしまうところがね。」

「…ハハ。嫌なところの詰め合わせが似てるんだね。」

「欲張りセットだよ!」

「笑えないよ…」

「それでもさ。私は自分のこと好きじゃないけど、スリー様は私のこと好きだし、スリー様は自分のこと好きじゃないけど私はスリー様が好きでしょう?だから…もっと自分を愛せる気がするんだよね。私達は似ているから。」

「そういう意味では私はマナに出会ってからは以前より自己肯定感が上がったよ。マナに認めて貰えるようになったからね。」

「フフフ。そうなんだ。嬉しいな。」

「マナも私に出会ってから自分を愛せるようになれば…こんなにも嬉しいことはないよ。」

「えへへ!私スリー様のことだーい好きだし、自分のこともめちゃくちゃ愛せるポテンシャルがあるってことよね!」

「そうだよ。マナは魅力的な女の子だからね。」

「フフッ。ありがとう。じゃあそろそろ寝ようか。」

「待て!何故私のベッドにまた入るんだ!!」

「据え膳食わぬは男の恥だよ?」

「私は遊びで女と寝る趣味はない。」

「かっこいい…ますます好きになっちゃうよ。」

「嘘つけ!他に惚れてる男がいるくせに!」

「もうちょっと強引にスリー様が迫ってくれたらなぁ〜絶対にスリー様を選んだのになぁ〜」

「ヘタレで悪かったな。」

「このまま2人で過ごせたら世界一幸せだと思わない?」

「思わない。私はマオ君に勝てる気がしないからね。」

「…そう。」

「でも…マナの好きな人ならきっと勝てるよ。」

「私の好きな人が誰かも知らないくせにそんなこと言うの?」

「誰でもいいんだよ。マナが恋した人ならね。愛は世界を救うのがお約束だから。」

「どうだか。世界が崩壊するのだって愛憎なんだから。」

「夢がないこと言うなよ。」

「私の選択で世界の命運かかってるんだから現実的に考えるのは当然でしょう?」

「ハァ…じゃあ今日は一緒に寝てやるから。人肌を感じてマナがゆっくり眠れるようにさ。」

「そのまま好きなように抱いて貰っても構わないですけど。」

「人の親切を下世話にするなら一緒に寝ない。」

「申し訳ございませんでした。是非添い寝させて頂きたいです。」

「マナさぁ…誰にでも添い寝をねだったりするのか?」

「いいえ。スリー様だけですよ。」

「何故私だけ?」

「大好きだからです。」



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