第243話 遊び相手
「今日はスケートをやりましょう!」
「スケート?何それ?」
「氷の上を滑って遊ぶんですよ!」
「危ない遊びだな…」
私はマナに案内されてスケート場へと向かった
スケートをするには専用の靴を履くらしいが…
刃物が底につけられており
氷を削って滑るようだ
理論は把握したが…
本当にそんなことが可能なのだろうか
「スケートはやったことありますから!任せてくださいよ!」
「それは前世の話かな?」
「あれ?知ってるんですか?私の前世。」
「マナが前世の記憶を持っているとかそんな情報しか知らないけどね。」
「もしかしてエド様から?」
「そうだよ。」
「そんなことしなくても直接聞いてくれたら教えるのに。」
「今度からはそうするよ。」
マナはスケート靴を履いてスケートリンクへと入る
私も続いてスケートリンクへと入った
「うわっ」
思ったよりもよく滑ったので私は尻餅をついて転んでしまった
「スリー様!大丈夫ですか!?」
「うん…思ったより難しいんだね。スケート。」
「大丈夫ですよ!私は経験者ですから!私がスリー様に教えてあげましょう!」
マナは私と手を繋いで起き上がらせてくれた
そのまま手を繋いでスケートを滑る
立っているのもやっとで足元がふらつく
「こうやって〜ハの字をイメージして滑るんですよ〜。」
「なるほど。」
マナの言う通りに滑ると滑ることが出来るようになった
「えっ…すごぉい…もう上手じゃん!」
「お陰様でね。もう手を離しても大丈夫だよ。」
「えぇ…そんなぁ…スケート初心者と手を繋ぐのが目的でデートするのが定番なのに。そんな簡単に上手くなったら醍醐味がなくなっちゃうじゃん。」
「そんな不純な動機で…?」
「手を繋ぎたいなんてめっちゃかわいい動機です!」
「出来ない人の弱みをつけこんだ行為だけど?」
「いいじゃんか!イチャイチャしたいんだよ!!」
「手離してくれる?」
「ひどい!」
ルナの手を振り払い、1人で滑る
慣れてしまえば早く滑ることも出来るようになった
「さすがはスリー様。もうそんなに早く滑れるようになるなんて。」
「コツを掴めば楽しいね。スケート。」
「もっと楽しい技を教えてあげますよ。」
「滑るだけじゃないの?」
マナはクルクルと回転をして滑りだした
「凄い!マナ!!」
「えへへ…ちょっとしか出来ないですけど、スピンという技なんですよ。」
「どうやるの?」
「こうやって助走をつけてからクルクルって回るんです。」
見よう見真似で挑戦するが難しい
「うーん…上手く綺麗に回転しないなぁ。助走のやり方が違うのか?」
「こうやってひょいって回るんですよ!ひょいって!」
「ひょいって回る…?」
くるくる可憐に回るマナは妖精のようだ
何度練習してもスピンは難しくマナのように綺麗に回ることは出来なかった
「他にもジャンプとかもあるんですよ。さすがに出来ませんけど。」
そう言いながらマナは助走をつけてクルクルと回って飛んだ
「えぇ!?す…すごい!!」
「今のは風魔法で飛ばしたから。」
「それでも凄い!」
「えへへ…」
少し照れた顔で笑うマナはとても愛らしく可愛かった
スケートも終えて、宿へと帰る
食事をしてお風呂に入って
ベッドに入る
「おやすみ〜」
「ちょっと待て!」
「何?」
「何じゃないよ!マナのベッドは向こう側だろ!?なんでまた私のベッドに入ってくるんだよ!」
「いいじゃん減るもんじゃないし。」
「ダメだ!向かうにいけ!」
「こんな美少女に迫られているのに据え膳食わぬは男の恥じゃない?」
「バカ!どういう意味の言葉かわかっているのか!?」
「当たり前でしょう?」
マナは私を押し倒してにこにこと笑う
お風呂上がりのいい香りと
妖艶な雰囲気に飲み込まれてしまいそうになる
「や…やめろ!やめてくれ!!」
「アハハハ!!必死に耐えてるスリー様可哀想で可愛い〜♡」
目の前にいる女の子は
私を救ってくれた女神様だけれども
本当は私を翻弄する
悪魔なのかもしれない
マナはそのままギュッと抱きついてきた
「ほら。こうしていると心が落ち着いてきてよく眠れませんか?」
「全然落ち着かない。心臓が飛び出そう。」
柔らかいものが当たっている
こんな状態で心が落ち着くわけがない
マナは気にならないのか?
心頭滅却して手を出さないようにするのに必死だ
「…食べないの?」
プツッと理性が切れる音がした
私はマナを押し倒し
目の前には世界一可愛い美少女のマナが横たわっている
可愛い
好きだ
大好きだ
俺の…
「マナは…私のことが好きなのか?」
「いや?好きな人は別にいるけど。」
その言葉に急激に冷静になっていく
は?こんなに誘惑しておいて好きな人が別にいる??
というか好きな人がいる…!?
「な…え…はぁ!?」
私は混乱して意味不明な言葉を発してしまう
「まだ付き合ってないし…スリー様は初恋だし…ワンナイトならいいかなって。」
「あ…遊ばれたってこと?」
「えぇと…まぁ…はい。すみません…。」
私はマナの額にデコピンをする
「いたっ!」
「2度とするな!このバカ!」
「だって付き合ってからじゃ浮気になるし…スリー様になら初めてを捧げてもいいかなって。」
「マナの貞操概念はイシュタル先生のせいで崩壊している!そんな大事なことを簡単に捧げるな!」
「簡単にじゃないんだけどな…」
「好きな人とそういうことはするんだ。」
「初恋の人でもいいじゃん。」
「ダメだ。」
「…ヘタレ。」
「なんか言ったか!?」
「いえ。別に。」
そう言ってマナはやっとベッドから降りてくれた
「せっかくなのでソファで少しお話ししてから寝ましょうよ。明日には帰らないといけないですし。」
「話…?」
「悩み相談みたいな?」
「…いいよ。聞こうか。」
私もベッドから降りてソファへと向かった